第23話 勇者一行への精神攻撃
メルフィーの食事を生暖かい目で見ていると、驚くべきことが起こった。
なんとメルフィーが物凄い勢いで成長し、俺と同じくらいの年齢の見た目になった。…着ていた服を引き裂いて。
座っていたから服だった布が、見えたらアウトな箇所を隠しているものの、立ち歩こうものならたちまち全裸になるだろう。
「きゃっ、きゃあぁぁぁ!!えっとその、ま、まだ心の準備がまだ済んでいなくて…って違う違う違う!いやあああぁぁぁーーー」
パニックになったメルフィーは新しく用意した彼女の部屋に逃げていった。その際盛大に服だった布を撒き散らして行った。眼福眼福。
ところでどうしてあんなに急に成長したのだろうか。
《この世界の獣人は、成長期に栄養不足に陥ると成長が一時的に止まり、必要な栄養が摂取出来ると今回のように、急激に成長します。》
フムフム。そうこうしているとメルフィーが新しい服を着てきた。もう召喚は問題なくやれそうだな。ちゃっかりと本来ならとても召喚できない性能のやつを作っているし。
「えっと…見ました?」
「ああ。」
「まあいいです。人生の伴侶ですから。私たち獣人は【割愛】」
「うん知ってた。伴侶云々は聞かなかったことにして、まだ自己紹介していなかったな。始めまして、俺、DMの田中 太郎。田中って呼んでくれ。」
「はい、わかりました。これからよろしくお願いします。 ところで、勇者たちはどうしたのですか?」
俺は勇者の動向を調べるのを怠る間抜けではない。奴等はメルフィーがいきなり消えたことに警戒し、荷物が無くなったことでメルフィーに逆ギレしている。あっ、重戦士が宥めている。そんなこんなでまだ俺のダンジョンに入ってすらいない。
俺はその旨を伝え、二人で策を練った。
まず入ってすぐに無色透明の虎ばさみを設置した。後は至るところに落とし穴を設置した。中身は泥、超臭いゼリー(申し訳程度に疲労回復効果あり)、元の世界の技術でも落とせない染料、超強力な下剤入りプールの四種類。
設置した後に二人でやり過ぎたと反省した。
因みにその階層の四半分の数の罠に引っ掛からないと次の階層に行けない仕組みとなっている。
残りは前と同じで問題ないと一致した。
そうこうしているとようやく勇者一行が入ってきた。…荷物が消えた八つ当たりでルールの看板を破壊して。その様子を女性二人はよくやった!みたいな顔で、重戦士は冷たい目で見ていた。
まず斥候が第一歩を踏み出した。
バチン!!
「ああぁぁぁ!!」
叫び声を上げて膝をつく。
バチン!!
「ああぁぁぁああ!!」
「「「どうした!?」」」
膝にも虎ばさみを食らった斥候を心配した残りのメンバーが駆け寄る。
バチン!!×3
「ぐあぁ!!」「きゃああ!」「うお!」
重鎧を着ていた重戦士以外は全員虎ばさみの餌食になった。あの重鎧、丈夫だな。
それから10分後、見えない虎ばさみをやっとこさ外した一行はポーションを使った治療の後、面白いように、吸い込まれるように落とし穴に落ちていった。
その中身は染料。因みに人体に悪影響は無い。
「ああ!斥候として有名になった記念に買った最高級の装備が!」
そんなに大事なら着ずに額縁に入れて飾っておけ。
「そっ、そんな…一流聖魔術師に贈られる聖なるローブが…」
上に同じ。
「うわ、僕の顔にベッタリと…」
ナルシストかな?ナルシストなら来るな。爆発四散してろ。
「と、取り敢えず脱出しようぜ?」
特にこだわりが無さそうな重戦士君は必死に慰めている。あっ、彼睨まれてる。逆ギレ可哀そ。
「くそ!この僕の顔に泥を塗りやがって!」
笑える。ふとメルフィーと顔があった。二人して素晴らしい悪巧み顔になった。
『泥じゃなくて染料だよ?そんなこともわからないおめでたい頭してるんだね?勇者って勇気ある者なら馬鹿でも悪人でも勇者になれるんだね?』
ダンジョン内放送で煽ってやった。
「てめえ《不適切な表現》のくせして何勇者様に口出ししてるんだ!?《自主規制》は《自主規制》らしく《自主規制》で《自主規制》してればいいんだよ!くそが!」
この反応には爆笑を禁じ得ない。二人で大笑いした。それにしても勇者とは思えないくらい口が悪い。
『いやあ、この程度の挑発に乗る馬鹿で暴言を吐く悪人でも勇者になれるんだね。教えてくれて、あ・り・が・と・ね!』
すると勇者は獣のような叫びを上げながら仲間と共に駆け出した。まるで違う道の落とし穴に向かって。
その落とし穴は中は泥になっている。
またやらせのように綺麗に落ちていった一行は、文字通り顔に泥を塗ることとなった。勿論顔だけではないが。学習しないなあ。
メルフィーの服
被ダメージ90%OFF 全ステータス50%ON
メルフィーの髪飾り
状態異常無効 毎秒1%各種回復 至ダメージ150%ON
豆知識
聖魔術師 闇属性魔法以外の魔法系統と、回復魔法、結界を使える人のみがなれる職業。威張っても許されるくらい凄い努力が必用。




