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――家に帰り夕食などを済ませた湊がADのプロゲーマー同士の試合を見ていると美麻からアプリを通してチャットを送ってくる。

【起きてる?】

 そう聞いてきたのは少し遅めの時間だからだろう。

【起きてますよ】

【今日のデート本当に楽しかったわ。ありがとう】

【どういたしまして】

 まず当たり障りのない話題として昼間のことを言う美麻に湊も無難に返事を返す。

【それで私の家に来る話なのだけど】

 美麻はいったんそこで区切りをつけ、続きを分けて送る。

【急になってしまうけれど明後日はどう?】

 そう言われて湊はカレンダーを確認する。明後日は八月の十日だ。幸いなことに一日中用事のない日である。仮にあったとしてもなかったことにしていただろうが。

【大丈夫ですよ。行けます】

【そう。それじゃあ午後の一時ぐらいに駅に待ち合わせで問題ない?】

【それでいいですよ】

 そんなやり取りの中湊はふと、今美麻は自宅で何をしているのだろうと思いチャットを送る。

【美麻さん、今何してるんですか?】

【エアガン弄ってるところ。ただ手に取って眺めてるだけでも楽しいのよ】

 そうチャットが送られてきて数秒立つと今度は画像が送られてきていた。そこに写っていたのは可愛らしい薄いピンク色の寝間着姿の美麻がG19と呼ばれる片手で持てるサイズのエアガンを持っている姿だった。

【可愛いですね】

【そうなの、G19って少し小さめであんまりごつごつしてなくて可愛いのよ】

 美麻が可愛い、と送ったつもりなのにエアガンが可愛いと返ってきて驚く湊だったが、そんな一面も魅力的に見えた。恋は盲目と言うことだろう。

【エアガンが、じゃなくて美麻さんが可愛いって言ったつもりだったんですけど】

 湊がそう送ると少し遅れて美麻から返事が返ってくる。

【勿論知っているわ。わざとよわざと】

 なんとなくだが湊には早とちりしてしまったことに恥ずかしくなっている美麻の姿が目に浮かんでいた。

【そう言えば湊くんは好きな銃はあるの?】

 基本的にFPSは強い銃に人気が偏る傾向があり大会で見る銃は二三種類だけというゲームも中にはある。だがADは豊富なカスタムの種類のおかげかバランスの良さのおかげか人気が集中することはなく、プロゲーマーも様々な銃を使っている。その中に気になる銃もあるにはあった、しかし。

【気になってるのはあっても好き、とまではいかないですね】

 見た目が好きな銃、リロードモーションがかっこいい銃などだ。

【それじゃあ私の家にあるエアガン触らしてあげるわ。エアガンになるほど知名度ある銃ならADにも大体実装されているし】

 どうやら美麻は自身と同じ銃が好きな仲間を増やしたいらしい。日本国内で一般的な銃のイメージは悪い方に向いており、FPS自体も人気がない。その中で女性ということもあり、あまりそう言った知り合いがいないのだろう。

【分かりましたお願いします】

 ADをプレイしていくうちに銃自体にも興味が湧き始めていた湊は快くその提案を受け取った。

【それじゃあ楽しみにしてるわ】

 その美麻のチャットを最後に二人のやり取りは終わった。

 楽しみにしている。少し前までならそんなことを美麻から言ってくることはなかっただろうと喜びながら、流行る鼓動を抑えるためにベッドに飛び込んだ。



 ――心待ちにしている日が来るのは案外早いものだ。そう感じながら八月十日十三時より十分ほど前に湊は駅に到着していた。

 つい先日のデートの時も緊張していたが、今日この日のその度合いはさらに高かった。みっともないところは見せられないと深呼吸して落ち着けようとしたその時だった。

「こんにちわ。湊くん」

 この日も相変わらずの暑さだったが、それを感じさせない涼し気な鈴の音が響いたのだ。

 息を吸おうとした丁度その瞬間に待ち人に声をかけられ思わず咳き込んでしまう。

「だ、大丈夫?」

 そんな様子に美麻が慌てて心配する。

 出だしからやってしまったと後悔しながらも湊は大丈夫だと答えた。

「もう、心配したわよ」

 顔を上げると心配そうに覗き込んできていた美麻と目が合った。

「ふふっ」

 すると美麻が突然笑いだす。

「なんですか」

 突然の事に思わず戸惑いながらそう言った。

「いえ、私も緊張していたのだけれど湊くんも同じなんだなって思ったらつい」

 そう朗らかに言う美麻の服装は、清潔感あふれる白いチュニックにデニムのショートパンツだ。頭にはいつものキャスケットを被っている。

 今までのスカートとは違うショートパンツ姿のためか、太すぎず細すぎずの柔らかそうな太ももが描く曲線美が湊の目を引いてやまない。

「…………」

 思わず無言になって見つめてしまう湊の頭をぽかりと美麻は軽く小突いた。

「えっち」

 だがそんな言葉とは裏腹に嬉しそうに微笑んでいた。

 そんな姿を見せられてはどうにかなってしまいそうだったが、湊は気持ちを落ち着けることに成功する。

「美麻さんは僕を殺すつもりですか」

「そんなに喜んでくれるなら頑張って選んだかいがあったわ……あ、まって。今のなし。忘れて、気のせいだから」

 湊の喜び方が想像以上だったためか喋るつもりのないことまでぽろっとこぼしてしまった美麻は慌ててその言葉を否定する。

「嬉しいです、そんなに考えてくれて」

「ずるいわ、その言い方」

 そんなことを言われてしまえばもう何も言えないじゃないと恨みがましく視線を向けるほかない美麻であった。

「……それじゃあ行きましょうか」

 お互い無事に合流できたこともあり目的地に向けて美麻は先導を始める。

「美麻さんの家は近いんですか?」

 少し歩いたところで気になった湊が声をかける。

「そうね、十数分ぐらいかしら」

 慣れた道をたどる美麻とは反対に普段は通らない道を物珍し気に見回しながらついて行く。

 湊が普段通る道と比べると比較的緑が多く。木々の隙間から吹き付ける風は心地良い。

「それにしても、すっごいドキドキします」

 自身の胸の高鳴りを隠そうともせずに堂々とさらけ出す。

「それならもう一つドキドキしそうなこと教えてあげましょうか」

 そう悪戯っ子のように微笑む美麻の蠱惑的な魅力を受け止めながら湊は言葉の続きを待つ。

「今日は家に私以外誰もいないわ」

「えっ!?」

「期待したみたいだけれど狙った訳じゃなくて、ただの偶然よ。私の都合がつく日と家族が家を空ける日がたまたま被っただけ」

 正直なところ湊には家族がいない理由についてはどうでもよかった。大切なことは美麻の住まう家で他に誰もいなく二人っきりになれると言うことだ。

「でも二人っきりってことですよね」

 食い気味になって言う湊に少し戸惑う美麻。

「だからといって特別なことはないから。湊くんを信用しての事なんだから、ちゃんと期待には応えてね」

 そんな忠告が聞こえているのか聞こえていないのか分からなかったが路上だと言うことも忘れて喜ぶ姿に、呆れよりも微笑ましい気持ちから思わず美麻は笑ってしまった。

 湊も少しの間思う存分喜んだことにより落ち着きを取り戻したのか、いつもの大人しさを取り戻す。

「湊くんは感情を隠そうとしないから本当に面白いわね」

「馬鹿にしてるんですか?」

 先ほどの冷静さを欠いた自身の姿を思い出しむすっとして答える。

「違うわよ。私がちょっとひねくれた性格してるから純粋な性格が羨ましいの」

 どこか寂しそうに羨ましそうに言う。

「僕は美麻さんの性格も素敵だと思いますよ。とっても魅力的です」

「ふふっ。ありがと、気を遣わせちゃったかな」

「僕は美麻さんより年下だし頼りないかもしれませんけど……何か力になれることがあれば言ってください」

 元気になってほしくて、いつもの美麻に戻ってほしくて湊は心からそう言った。

「私は頼りないとは思ったことはないわよ、湊くんはとっても頼もしい男の子だわ」

 そんな湊の気持ちが伝わったのか、美麻も気を持ち直し始める。

「それならもっと頼ってください」

「そうね……そのうち湊くんに頼るときが来るかもしれないわ」

 頼れる人がいるのなら頼ればいい。そう言う湊にほだされ美麻は年下に甘えると言うことに少し恥ずかしくなりながらも素直に寄りかかることを選ぶ。

「任せてください。どんな問題でも解決して見せますから」

 それが、美麻に認められた証のように自分を近くにおいてくれているという証拠のように感じられた。

「頼もしいわね」

 そう言って先ほどのことは忘れたと言わんばかりに眩い笑みを浮かべるのだった。

 ――そして。

「ここよ」

 美麻の住む家へとたどり着く。湊たちの目の前にあるのは立派な一戸建てだ。二階や庭もあり家自体もどことなく豪華でオシャレな造りだ。門限があるといったり、しっかりした性格故に育ちが良いのだろうとは思っていたがそれでも予想以上だった。

「……美麻さんってもしかして金持ちだったりします?」

「私が、じゃなくて親が、ね。早く中に入りましょう」

 俗物的な話のためかあまりその話はしたくなさそうだ。

 そのため二つ返事で返し、鍵を開ける美麻の後ろについて行く。

 ドアを開けて中に入ると少し進んだところに階段があるのが見えた。そして気になったのは外から見た時に感じたように内装に気を使っているオシャレにしていると言うことだ。所々に置かれている小物が良い味を出している。それでいてどこか雑多な印象を受けるのはまだ見たことのない美麻の弟のためだろうか。玄関に立てかけられているバットやグローブを見るに野球少年なのかもしれない。一度は会ってみたいと思いつつも、今日は家族は誰もいないとのことなので今日会うことはないだろう。

「いい家ですね。僕も住んでみたいなー」

 そんな中で出た言葉は羨望の言葉だった。

「別にいいものでもないわよ。親はうるさいし、弟は生意気だし。湊くんが私の弟だったらよかったのに」

 この年頃として当たり前のことを言う美麻だが、普段そんな文句を聞かない湊にとってはとても新鮮に感じられた。

「あはは。やっぱり美麻さんも人の子ですね」

「ちょっと、どういう意味よそれ」

「誰かの文句聞いたことなかったんで」

「そりゃあね。人の悪口なんて誰かに聞かせるものじゃないわ」

 それでも言ってしまったのは湊を信用しているからか、家族のことを本当は大切に思っているからか。

「確かに。聞いてて気分の良いものじゃないですよね」

「ええ。……それじゃあ私の部屋に行きましょう。いつまでもここにいてもしょうがないわ」

 そう言うと美麻は階段を上って二階へと進んでいく。湊もその後ろをついて行くと、先を行く美麻との位置関係上、ショートパンツに包まれた綺麗な丸みを帯びたお尻と太ももの付け根が目の前に来てしまい目のやり場に困ってしまう。そんな居心地が悪くも嬉しいハプニングに見舞われながら二階へとたどり着く。

「ここよ」

 そう言って美麻は扉を開いた。

 部屋にはベッドがありその傍に可愛らしいぬいぐるみが並べられていて、勉強机の上に置かれている参考書なども美麻の性格を表すかのようにきちんと整理整頓されている。洋服を入れておくためのタンスやパソコンの乗っている少し小さめの机などもある。

 ここまでなら普通の女性の部屋と言えた。

 だがそれ以上に湊の目を引くものがあった。

 大小さまざまなエアガンたちだ。アサルトライフルにサブマシンガン、スナイパーライフルやハンドガンなどがそれ専用になっているらしい区画に置かれていた。それがガーリッシュな部分と不思議な調和を保っている。

「凄いですね」

 ごつごつとしたアサルトライフルや銃身の長いスナイパーライフルなどが圧倒的な存在感を放っていた。

「でしょ? コツコツ買って集めてきたの。でも驚くのはまだ早いわ」

 美麻はそう言うと勉強机の引き出しを漁り始めた。その様子を後ろで大人しく待っているとハンドガンが複数出てきた。

「まだあるんですか」

 流石に既に見える位置にあるものですべてだろうと思っていた湊は驚く。

「これで全部よ。……何か気に入ったものはある?」

 ワクワクした様子で湊を見つめる。

「うーん」

 そんな姿を見せられてしまっては、湊も何もないとは答えづらい。

「……これかな」

 悩んだ末に湊が選んだのはグリップ部分にメダリオンのはめ込められた黒いハンドガンだ。

「あ、MEUなんだ。流石湊くんお目が高い」

 少しふざけたように言うが、湊が良い銃を選んだと思ったのは事実だ。

 湊が選んだエアガンはM1911と呼ばれるハンドガンでその名の通り1911年にアメリカ軍に制式に配備された銃だ。近年では制式採用から外れたといえ未だに人気のある銃で様々なカスタマイズがされ使用している人も多い。MEUピストルと呼ばれるこの銃は海兵隊向けに改造したものだ。

「私はやっぱりCZ75かな。このフォルムが美しいの」

 見てる湊にも分かるほど美麻は嬉しそうにトリガーから指を離しつつ軽く構える姿をとる。好きな銃を触ってはしゃぐその姿はかっこよさと可愛さのアンビバレンスを湊に抱かせる。

「本当に美麻さん好きなんですね」

 これまでにも美麻が銃のことを好きだと思わせるシーンはいくつがあったが、ここまで具体的なことはなかった。

「変わってるって思う?」

 少しでも自分でそう思うことがあるのか、心配そうにそう尋ねてくる。

「思いません、ってのはちょっと違うかな。個性の一つだと僕は思ってますよ。……というか珍しいですね、美麻さんがそう言ったこと気にするの。他人にどう思われようと関係ないって言いそうですけど」

「確かにそうね……なんで私そんなこと気にしてるかしら」

 湊に言われて美麻は不思議そうに首をかしげる。

「まあ、いいわ。湊くんはADではハンドガン何使ってるの?」

「えーと、なんだっけかな……」

 銃に興味がないことに加え普段使うことがないためにそう聞かれても、答えに詰まってしまう。

「それならMEU使ってみたらどう? ADにもあるわよ。少しでも気に入った銃を持ってた方がやる気もあがるしね」

「考えときます……そう言えば美麻さんってADでどんな銃使ってるんですか?」

 この前の試合時には、開始数秒で遠距離から撃ち抜かれて終わってしまったために美麻のアバター姿も使っている銃も分からなかった。

「この前のじゃ分からないわよね。良いわ見せてあげる」

 そう言うと美麻はCZ75を大切そうにしまうとパソコンの電源を入れて椅子に座り、湊も画面をよく見ようと美麻の近くによる。すると傍に置かれているマウスなどはこないだ聞いた通りに一つのメーカーで統一されていることが見て取れた。

「ちょっと待ってね」

 良いパソコンを使っているのだろう立ち上がりも早く、すぐにデスクトップ画面に切り替わった。

 そして手慣れた動作でADを起動する。そして一番最初に誰もが見ることになるロビー画面に切り替わる。ここから試合を行うための部屋に移動したりアバターや銃のカスタマイズ画面に切り替えたりとするのだ。

 美麻はマウスを操作して自分の銃をカスタマイズする画面へと移行した。

「これよ」

 そしてそこに映し出された銃を美麻は自慢げに湊に見せた。

「最近の銃ってよりも、昔の銃っぽいですね」

 その銃は全体が木製で出来ており湊には現代の銃というよりは昔に作られた銃に見えた。そしてそれは当たっている。

「ええ、そうよ。この銃の名前はリーエンフィールドって言って百年以上前の物よ」

 イギリス軍に採用されたライフルで第一次世界大戦や第二次世界大戦などで使用された銃だ。未だにイギリス人に人気があり長く愛されている。ボルトアクションながら速射に優れた銃で狂気の一分間マッドミニットと呼ばれるほど早く撃て、ボルトアクションながら慣れた者なら一分間で三十発撃てるとも言われるほどだ。それはこのゲームでも再現されていてタイミングよくクリックすることで速射できるようになっていた。だがそのタイミングの難しさ、反動の魚の難しさがあるために扱いきれるプレイヤーはほぼいないと言われている。

「ちなみにエアガンもあるわよ」

 そう言って指さす先にはモニターに映っているリーエンフィールドと瓜二つのエアガンが大切そうに置かれていた。

「私が銃を好きになったきっかけだからね。特に思い入れがあるのよ」

 そう言ってリーエンフィールドと見る目付きは和やかなものだ。

「羨ましいです。僕にはそういうのないんで」

 湊は悠馬に誘われてADを始めた。銃自体も元々映画などで見たことがある程度の知識しか持ち合わせていなかった。

「いいじゃない、これから作れば。今使ってるAPCが好きになれないなら別に変えてもいいのよ」

 プレイヤーが使用する銃は試合中でなければいつ何時でも本人の自由で変えることが可能だ。

「まあ考えときます。別に今の銃に不満がある訳じゃないので」

「そう」

「……あ、もう一つ見せてもらいたいんですけど」

 話がひと段落したところで湊はもう一つ気になっていたことがあったのを思い出した。

「なに? なんでもいいわよ」

「アバターも見てみたいなーなんて……。ほら、このゲーム人によって結構アバターにも個性がでるじゃないですか」

「確かにそうね。私たまに奇抜な人のアバター見るとちょっと笑ってしまうときもあるわ」

「ああ、分かります。前見たアバターで服が虹みたいになってる人見た時僕笑っちゃいましたもん。で、そういう人に限って上手いんですよね」

 ハンドガンしか使わない、目立つ恰好をさせてプレイするといった縛りプレイをするプレイヤーというのは、長時間のプレイで普通にゲームを楽しむのに飽きたからであったり、自分の実力を誇示するためといったことが多い。

「普通にやるのが飽きてそういうプレイをし始めた人たちだからね。……私はスナイパーらしい目立たない服装をさせてるから、ご期待には応えられそうにないけれど」

「僕は別に美麻さんがどんな恰好をさせているか気になるだけですよ」

 そう言って興味深そうな視線を向ける湊に答えようとモニターを銃のカスタム画面からアバターが映る画面へと切り替える。

 そこに映っているのは全体的に黒い恰好をした女性型のアバターだ。基本的に特殊部隊っぽい恰好をしているが少しだけ差異がある。それはズボンではなくスカートという点だ。そしてそのスカートの少し下にはサイホルスターが装着されていた。

「先生、二つ質問があります」

「何よ急に。まあ言ってみなさい」

 唐突にふざけた口調になった湊に訝しみながら続きを急かす。

「とりあえず一つ目なんですけど、スカートの中ってどうなってるんですか?」

 つまり湊が言いたいことは下着が見えるのかどうかということだ。

「変態」

 ゲームの中でもそんなことを気にするのかと美麻は軽蔑したよう言う。そう言われるだろうと思って湊はふざけて話しかけたのだが全くの無意味だった。

「いっいや、違うんですよ。ただの知的好奇心と言うか……。他の人のアバターを盗み見るのも気が引けますし」

 アバターの性別はADを最初に起動したときに自由に決められるため、男のプレイヤーが多いゲームではあるが女性型のアバターの数は少なくない。だが中のプレイヤーが男だったとしてもやはりスカートの中を見るのには後ろめたく抵抗があった。

「まあ気持ちは分かるけど。私も覗いたことあるし」

「あるんじゃないですか」

「そりゃあ気になるじゃない。同じ女として」

「それでどうだったんですか」

「見えたわ」

 隠すこともなく素直に答えを告げる。

「てことは……」

「見せないわよ……というかもう見えないわよ」

「えっ?」

「このゲーム下着は初期状態から変えることはできないけどスパッツはあるの」

 流石にそういうゲームではないためいくら服装の自由度の高いADといえど下着は初期の物しかない。だがそれが見えてしまう状況を嫌うプレイヤーのために、隠すためのスパッツが実装されていた。

「てことは、今美麻さんのアバターは……」

「そういうことよ。それでもう一つの質問って?」

「もう一つはですね、男女のアバターで当たり判定が違うって噂ありますよね。あれって本当なんですか?」

 がっちりした体型の男性アバターと似たような体系ながらも女性特有の丸みがあったりする女性アバターで、当たり判定、つまりダメージを受ける判定のある場所に違いがあるという噂があるのだ。

「嘘よ」

 そんな質問に美麻は即答する。

「私も気になって色々検証してみたの。そうしたら変わりなかったわ」

 ADでは大きめの服装も存在する。しかし当たり判定は服にはなくアバターの身体がある部分にしか存在しないため、当たったように見えて当たっていないということもよくあることだ。そしてADには男性専用、女性専用の服も存在している。そういったことが結果として当たり判定に差があるという噂になっているのだろうと美麻は思っていた。

「流石美麻さん。よく知ってますね」

 聞いてみたものの、答えを知っているとは思っていなかった湊は素直に感心した。

「昔そういうことを調べてた時期があったってだけよ」

 大したことではないと美麻は答える。興味があったから調べた、ただそれだけだと。

「でも僕はわざわざ調べようなんて思いませんでしたよ」

「そう? まあありがと」

 自身では当たり前だと思うことでも周囲の人間から見れば凄いと思われる場合もある。そのことを知っている美麻は礼を言った。

「美麻さんは物知りですね」

「ただ湊くんより長い時間やってるってだけよ。湊くんもADを続けていればいろんな知識を身に着けていくと思うわ」

 お世辞でもなんでもなく美麻の本心からの言葉だ。プレイ時間が増えれば自分が知ろうとせずとも自然に知識がついて行くものだ。

「そういえば湊くん、喉乾かない? ごめんなさいね、普段人を呼ぶことがないから飲み物も出してなかったわ」

 話が一段落したところで美麻はふと気づく。

「あ、いいですよ。そんな気にしないで」

「ちょっと待ってて」

 暑い日差しの中歩いてきたのに飲み物の一つも出していなかったと美麻は謝りながら部屋を出て行った。

「いいって言ったのに」

 一人取り残された湊は自室とは違う女性特有のいい匂いが立ち込める部屋に少し居心地の悪さを感じ、意味もなく視線をきょろきょろと巡らせる。

 すると先ほど美麻がCZ75のエアガンをしまった引き出しに写真が入っているのが見えた。

 湊は勝手に覗き見るのも悪いと思いつつ、欲望に負けてその写真を手に取ってしまう。

「これって……?」

 そこに写っているのは、今よりも少し幼い雰囲気の美麻と湊の見知らぬ数人の人たちだ。その中には美麻以外にも女性がいる。彼女は髪が長く美麻の隣で嬉しそうに微笑んでいる。どうやらこの写真は何かの大会で優勝した時の物のようで大きなトロフィーも写っていて全員楽しそうにしていた。写真の裏側を見てみると年と日付が入っておりそれを見る限りでは約二年前にとられた写真のようだ。

 思わず食い入るように見つめていたために、湊は近づいてくる足音に気付けなかった。

「……はあ。ちゃんと閉じなかった私も悪いけど、勝手に取り出して見るのは良くないと思うわ」

 そう言われて初めて美麻が戻ってきたことに気付く。視線を声のした方に向けるとしょうがないわね、と言わんばかりの表情をしている飲み物を持った美麻がいた。

「すみません」

「いいわ、別に。正直なところ見られたら見られたで構わないと思ってたし」

 美麻にとって湊に見られては嫌なものではなかったらしく一安心する。

「どういうことです?」

「湊くんに話そうか話さないか迷ってたのよ。それで、もしその写真に気付いたら全部話そうと思ってたの」

 美麻は持ってきた飲み物を机の上に置きながらそういった。

「私ずっと湊くんに隠してたことがあるの」

 それは湊も朧気にだが気付いていた。

「別に無理に話す必要はないですよ」

 ずっと気になっていたことを聞くにいい機会だが、美麻に嫌な思いをしてもらってまで知りたいわけではなかった。

「いえ、いいの。信用できる人になら……湊くんになら聞いて欲しい」

「そこまで言うのなら聞きますよ」

 美麻が自分の意志で話すと決めたと言うのだ。これ以上断るのは逆に失礼というものだ。

 話して聞かせようとする美麻はベッドに腰掛ける。それを見た湊も先ほど美麻が飲み物を置いた机の椅子に腰かけようとすると、美麻が自身が腰かけている隣を軽く叩いた。そこに座って欲しいという意味だ。その仕草はどこか切なげにも見える。そんな美麻を見た湊は大人しく美麻の隣へと腰掛けた。

「……私ね、プロゲーマーだったの」

 一呼吸おいて美麻が静かに、はっきりと語り始める。

「…………」

 その答えは今までの美麻との会話の中である程度予想していたものだった。だがかと言って驚かない内容でもない。湊は思わず言葉を失って話の続きをうながすだけだ。

「高校に入って少ししたぐらいだったかな。いつものようにADをやってたら当時プロだった人に声かけられたのよ。最初は興味なかったんだけどね、説得されちゃって……」

「でも僕はシルヴィって名前動画では見たことありませんよ」

 湊は美麻がプロゲーマーだったかもしれないと考えた時プロゲーマーたちの動画を確認したことがあった。だが美麻が今使っているアカウントであるSiLvyという名前は一度も見たことがなかった。

「今のアカウント二つ目だから」

 ADをプレイするときに必ず必要になるアカウント。それは作ろうと思えば一人で複数作ることも可能だ。

「じゃあ一つ目は何て名前でやってたんですか?」

「それは秘密」

 どうやらそのことは湊にも秘密のようだ。昔のプレイ動画を見られるのが恥ずかしいのかもしれない。

「えー」

「えーじゃない」

 駄々をこねるようにする湊だが、美麻の反応は取り付く島もないものだった。

「話を戻すけど、私はそれから去年の秋ぐらいまでプロゲーマーだったの」

 高校一年生から高校二年生まで。一年と数か月の間美麻はプロゲーマーとして活動していたのだ。

「さっきの写真は当時出場した大会で優勝したときに同じチームだった仲間と撮った写真よ」

 現在の主流は個人戦だが、少し前までは五対五のチーム戦が盛んにおこなわれていた。湊にはその時はプレイしていなかったので動画で少し見た程度の知識しか存在しない。そんな少しの違いが体温を感じるほどの距離にいる美麻をどこか遠くに感じられた。

「後悔してるんですか?」

 プロゲーマーになったことを話したくないと言うことはつまりそういうことなのだろうと湊は思っていた。美麻の性格からして自慢してくることはないだろうが、隠すようなこともしないはずだ。

「後悔? まさか。しないわよそんなこと。……って言いたいんだけど、実際はしてるわ」

 そう言う美麻は辛そうだ。

「でも優勝したってことは活躍してたんですよね。なにをそんなに後悔してるんですか?」

「え……? ああ、違うの。プロになったこと自体は後悔してないわ」

 最初は湊が何を言っているかよくわからない様子だったが、すぐに誤解しているのだと気づく。

「そうなんですか」

「ええ。いい経験になったと今も思ってるわ」

「それじゃあなんでですか?」

「……私が引退したのは活躍できなくなったからでも自主的にでもないの」

 湊の問いの答えにはなっていないが、まるっきり関係のないことを話し出したとも思えない。静かに次の言葉を待つことにした。

「引退した理由……というよりも続けることが出来なくなった理由は、チート容疑がかけられたからよ」

「本当ですか!?」

 チートとはいわゆる不正行為のことで、銃口を自動で敵に向けたり壁に隠れている敵を透視して本来見えない位置にいる敵を目視したりグリッチとも呼ばれるバグを利用した行為なども当たる。

 どんな理由があったとしても行うことは禁止されている。それはプロゲーマーとて同じだ。

「こんなこと嘘で言わないわよ。あ、もちろんチートなんて使ってないわよ?」

「そんなこと疑ってませんよ」

 念を押すように言う美麻に湊は当たり前だと答える。

「それならよかった。……話を続けると、ある時大会に出てたんだけどその時に私物のUSBにチートに使うツールが入ってたってスタッフに言われたの」

「どういうことですか?」

「ゲームの設定とかをUSBに保存して持ち歩いてたのだけど、それにツールが入ってるって話があったらしくて調べさせてくれって言われたの。私は勿論そんなもの入れてないからそれに応じて渡したのだけど……」

「入っていたということなんですね」

「ええ……いつの間にかね」

 本人に身に覚えがないのなら、一つしか答えはあり得ない。誰かが仕組んだのだ。恐らくスタッフに言った人物が。

「心当たりとかないんですか?」

 そんなことをするような人ならば、予兆があったのではないかと湊は尋ねる。そんな人を野放しにしておくのは湊の気持ち的にも、美麻のことを思っても許せなかった。

「あるわ……というかなんとなくだけれど犯人は分かってるのよ」

 そんな美麻の返事は意外なものだった。

「じゃあなんで言わなかったんですか!?」

「湊くん落ち着いて」

 思わず詰め寄りながら声を荒げる湊を押し返しながら優しく言った。

「あ、すみません」

「言わなかった理由だけれど、確たる証拠があったわけではないのと当時の私がプロを続けるのに嫌気がさしてたから、よ」

 プロゲーマーとして活躍するためには普通は努力したりプレイに集中したりと、神経をすり減らすことが多い。それに美麻は耐えられなかったのだと言う。

「そういうことを気にしない、というよりも感じない人がプロの中でも上の人たちトッププロと呼ばれるようになるの」

 プロゲーマーの中でも人気があるない、メディアへの露出が多い少ないというのは存在する。そういったモノが多く、実力も才能も備えていて運も持っている。そんな人物がトッププロゲーマーと呼ばれる花形になれるのだ。そして当然ながらそんなプロゲーマーは少なく、最も憧れの目で見られる存在だ。

「私はそうじゃなかったから。才能なんて無くて最初はただADが好きで続けてて、プロになってからもっと強くなろうと意図して活動してたの。でも多分それが肌に合わなかったのでしょうね。プロを続けるのが嫌になっちゃって結局諦めちゃったの」

 美麻も当初はそんな存在に憧れていたが、そこにたどり着くには才能が足りなかった。

 目標は高く、そのための努力はずっと続けていたが才能という壁に立ちふさがれ先へと進めない。どんなにもがこうとも一歩たりとも前進できず、そんな自分に焦りを感じる日々の繰り返し。そんな美麻がたどり着く先は「諦め」しかなかった。

「美麻さん……残酷ですね世界って」

 そんな過去の美麻のことを思い湊は自分のことのように胸を痛める。

「残酷? いいえ、その反対よ」

 だが美麻はそんな湊の言葉を否定した。

「反対ですか?」

「ええ。だってそうでしょ、才能がないから仕方ないって理由を作れるんだから」

 そこで一呼吸おいて、再び話始める。

「どんなに頑張ってもたどり着けない場所がある、でもそれは才能のせいじゃない。こんなにも必死に努力しているのに……なんてことになったら逃げ場なんてないわよ。今までは才能がないからって逃げ場があったのに無いんだもの。言い訳が出来なくなってその結果を受け止めるしかなくなるわ。そして人が受け止めきれるモノってのはそんなに大きくないの」

「……」

「よく才能なんてない、努力しないだけだ。なんていう人いるわよね。でも私から言わせてもらえればそういう人こそ本気で何かに打ち込んだことがないのよ。スポーツでも勉強でもなんでもいいわ。本気で取り組んでみれば分かるはずよ、あの人には絶対に勝てないって思わされる相手がいるってことが」

 過去に何か言われたことがあるのか、辛い思いを吐き出すように言う。

「……私はプロになったこともやめたことも後悔してないわ。だけど一つだけ、あの子の相談になってあげられなかったことだけは……」

「あの子?」

 見知らぬ登場人物に湊は思わず首をかしげる。

「なんでもないわ」

 だが美麻は湊に教えるつもりはないようだ。

「一つだけ、言わせてもらってもいいですか」

「内容によっては殴るわよ」

 今話した内容を少しでも分かるとでも言ったら美麻はすぐ隣にいる湊を軽くではなく、全力で殴りつけるつもりだった。美麻が今言ったこと以外にもいろんな思いをしてきたのだ。それを同じ体験をしたでもない湊に分かった風な口をきいて欲しくなかった。

「……頑張りました、美麻さんは」

 そして、湊が言った言葉は予想とは違っていた。

「え?」

「諦めるってのは何かを目指した人にしか出来ないことです。努力したことのある人からしか出てこない言葉です。だから美麻さんからそんな言葉が出てくるってことは頑張ったって証拠です。世界中だれもがそれを否定したとしてもその事実は変わりませんし、僕は美麻さんを頑張ったって褒めてあげます」

「…………」

「あ、あれ!? 僕言っちゃいけないこと言いました!?」

「え……?」

 最初美麻はどうして湊がどうしてそんなに慌てているのか理解できなかった。だがそれから少しして、視界が潤み始めてきたことに気付いた。思わず指で拭うとそこには透明で綺麗な水滴があった。

「泣いてるの私……」

 そこで初めて自分が泣いているのだと美麻は気づいた。

 今まで褒められたいと思ったことも、褒められたこともなかった。美麻自身もプロとして努力するのが当たり前だと思い気にしたこともなかった。だから今初めて湊に言われて気付いた。自覚がなかっただけで心の底では褒めて欲しかったのだと、認めて欲しかったのだと。

「……ありがとね、湊くん。ほんとに嬉しいわ」

 涙目ながら美麻はとても魅力的に微笑む。

「つまり僕のおかげってことですね、嬉しいです」

 だから湊が照れ隠しにそう言ってしまうのも仕方なかった。

「生意気」

 そんな湊に美麻は軽くデコピンをした。

「でも、湊くんを家に呼んでこの話をしてよかった」

 それはまぎれもない本心だ。

「……そんな湊くんに紹介したい人がいるの」

「親御さ……いえ何でもないです。ごめんなさい」

 ふざけて返す湊を睨みつける。

「なんでいい雰囲気になった時に湊くんはわざわざそれを壊すようなことを言うのかしら」

 不思議そうに言う美麻だが答えは簡単だ。ヘタレなのだ。

「……まあいいわ。それで話を戻すけれど紹介したい人がいるの……そうね、明日はどう?」

「随分気が早いですね。まあ明日も暇ですけど」

「決まりね。今日と同じように駅前で同じ時間に」

「分かりました」

「それじゃあ今日はもうおしまいね」

「えー。まだ帰りたくないんですけど」

 まだ一緒にいたいと告げる湊に美麻は今更取り繕っても意味がないと本心を話す。

「文句言わないの。恥ずかしいのよ、泣き顔を見られちゃったから」

 そう言う美麻の顔は赤く、照れている表情は破壊力抜群だ。

「分かりました」

 美麻のベッドにお互いに腰掛けた状態で体温が伝わる距離にいるのだ。そのまま一緒にいたら手を出さないでいられる自信が湊にはなかった。

 そこで大人しく美麻の言うことに従い、名残惜しくも自宅に帰ることにした。

 部屋を出て階段を下りる湊の後ろを見送るべく美麻も一緒について行く。

 そして階段を降りたところで美麻は後ろから声をかけた。湊が振り返ろうとすると「そのままの体勢でいて」と言われ、動かそうとした体を止めた。

「これは、今日の……ううん、今までのお礼ね」

 そう言って美麻は静かに湊の背後から腕を回し、優しく抱きしめる。

 突然のことだが、女性らしい柔らかい身体つきや慎ましいながらもしっかりと主張するように伝わる胸の弾力を湊は確かに感じた。

「み、美麻さんっ!?」

 だから思わずそう声が出てしまうのも仕方のないことだった。思わず後ろを振り向こうとするが、美麻に抱き着かれているため思うように体が動かない。

「駄目よ、こっちを向いちゃ。私だって恥ずかしいんだから……」

 顔を見られたくないと言う意思表示をするように額を湊の背中に押し付ける。

「それじゃあ余分なこと言っちゃいそうなんで一言だけ。ありがとうございます」

「そう。それならよかった……」

 湊の言葉にホッと安堵したように美麻は答えた。ついやってしまったことだったが嫌がられないか不安だったのだ。

「じゃあ……これはもうおしまい! 次にこれをする時は私が湊くんを好きになった時ね。……まあ、そんな日が来るかは分からないんだけど」

 そう言って美麻は腕を離した。

「きっと近い将来に二回目がありますよ。覚悟しておいてください」

「ふふっ。それでこそ湊くんね」

「……それじゃあ美麻さん、また明日」

「ええ。またね」

 そう言って湊は玄関のドアを開き外に歩き出た。体を外に出すと、眩いばかりの光が湊を照らしていた。

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