#1 夏休みの予定
夏。summer。終業式を終えた特待組とあればもう話題は夏休み一色なのだ。ボクは寝て過ごす予定だからそういう話題には参加しないつもりだ。
「ダークドラグーン、夏休み暇??」
寝ることで忙しいから暇じゃない。
「オレ達浜松ではっちゃける予定なんだけどダークドラグーンはこないのか?」
うん。て、なんか参加者名簿に書かれたんだけど。まぁいい。浜松に行ってもホテルで寝てればいいのだ。
「泳ごうぜ!ダークドラグーン」
だが断る。
「ビーチにキャラメルアイス売ってるらしいぜ!」
よし、泳ぐぞ!
今日は幸い一人で下校できるようだ。のんびり帰るか。ボクの夏休みの予定を埋められる前に帰る!
「おにーちゃん、トリックオアトリート!」
ハロウィンならまだだぜ?
「トリックオアトリートって聞いてるの。高校生の癖にそんなことも分からないの?」
オイメスガキ。
「トリックオアトリート!」
「遊び相手ならそこにいるお姉さんがいいよ。ボクは地球の平和を守ることで忙しいんだ。」
「あのおねーちゃん見た目馬鹿そうだからおにーちゃんがいい!」
あれ彼女なんですけど…。
「じゃあ何して遊びたい?」
「オタク死ねーゲーム!今からおにーちゃんの持ちで池袋行ってアニメイトでオタク死ねー!って言って生還できたら勝ち!」
親の顔が見てみたい。
「それはモラルに欠けてるからあまりオススメできないなぁ」
「じゃあ無賃乗車!改札を飛び越えたら」
お巡りさんこいつでーす!
やっと撒いたか。新浦安は今日も平和だな。因みに新浦安にはボクの友達が結構いる。柊念と真弦くんとさっき見かけた音聖。音聖に至っては隣のマンションというオチだ。
「ただいまー。ただいまー。ただいまー。」
大事なことだから三回言ったけど反応ないな。今日は妹の隆奈が早く帰るって聞い
「…」
「…」
これって主人公補正だよね?
「この変態!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
閉めておこう。幸い罵声だけで済んだ。
学校も終わったことだし軽音部も八月までないから暇だな。暇だしテレビでも見るか。この時間8チャンネルでは「激熱大陸」が放送されている。
『今宵のゲストはー?今話題の週刊フィフティーン専属モデル!』
週刊フィフティーンか。15歳の少々エロめの写真を集めた雑誌だ。ボクは読んだことないからどんな人なのか気になるな。
『目星 美兪、現在15歳!』
は?
『身長168cmの高身長に美しいボディ!』
柊念と身長同じじゃないか。
『現在世田谷区のとある高等学校に通っている美兪ちゃんですが、放課後よく行くこのキャラメルスイーツ専門店。』
知ってる。
『「このほど良い甘さがたまらないんですぅ」』
知ってた。
『スタッフ:「甘いだけじゃ駄目なんですか?」目星ちゃん:「そこはこだわりってもんですね!」』
そう、こだわり。目星ちゃんなら現実で腐るほど謁見できるから、別の番組を見ることにしよう。こちらは7チャンネル。「クイズマロン」だ。早押しクイズである。
『クイズマロン!本日は一般のゲストをお呼びしています。』
またゲストか。妙な期待をしないでおこう。
『千葉県浦安市にお住まいの…堂春 柊念さん!』
とにかく憂鬱である。
『「オレにかかればどんな問題でも瞬コロだぜ!」』
とにかく憂鬱である。
『やる気満々ですね!では第一問。近頃有名なある時事ニュースについての問題です。Q:単細胞生物から生成されるバイオダストと植物樹脂を合成することによって起こる中和反応。これによって生まれた新しい細胞の名称を』
答えはESP細胞。超能力のメカニズムに似寄った働きを示すことから名付けられたそうだ。
『柊念:「EPS細胞!」』
チャンネル変えよう。
ボクはアニメについてそこまで詳しくないのだが、凪那や柊念も大好きな6チャンネルの『バイオリズム』というアニメは毎週見ている。独特な世界観や生物力の脅威を描いた戦闘モノのスタイル。今日は二期が始まるらしく、期待を胸にOPを聞いた。
『「人類の希望は消えた。オレ達に勝ち目なんかない。そうだろ?生物力研究長、舞崎。」』
謎の既視感は気のせいだろうか。
『「その可能性は否めないな、国防保安官の緒美君。」』
神は言った。何かが可笑しいと。
やれやれ、読書をするか。今日は未来予知では読書日和らしいからな。まぁボクとしてはテレビにキャラメルラテの組み合わせを望んでいたのだが、この様じゃ他のチャンネルもろくな事がなさそうだ。
いつも通り家族で食卓を囲み、入浴後は音楽を聞きながら就寝。ボクの生活リズムは平常運転である。今日は疲れたからメロウ系の音楽をチョイスしよう。
朝。夏休みの開始だ。今日は家族全員出かけるらしく、ボクは待望の留守番。もう少し寝てたいが、健康に悪そうだからシャワーでも浴びよう。シャワー上がりにキャラメルマキアート。冷蔵庫に数個貯蔵してるからいつでも飲めるのだ。さて、テレビ…。
ピンポン!
今日も憂鬱である。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!
誰なんだろうか。
「あ!やっぱおにーちゃんここじゃん!まいざきのにーちゃん!」
ワットハプン?
「あたち!となりに住む岸士です!ひまだからあそびにきました!」
隣の岸士ってお前だったのか。やけに毎晩騒がしいのもコイツの仕業か。
「おにーちゃん今めちゃくちゃ忙しいから他を当たってね!」
「だめ!忙しくても子供の相手するのが大人ってもんだよ。」
クソガキ。
「上がるよ」
「待て。遊ぶなら近所の公園にしてくれ」
「はーい」
分かってんじゃねぇか。クソガキ。
「やあ!舞崎隆斗!音聖参上!」
おっいいタイミングだ。
「あ!頭悪そうなおねーちゃん!いいボディじゃん。こっちきて!」
「あっちょっ!」
いってらっしゃ…て、何故風呂?まぁいい。扉を閉めておけば騒がしくならない。さてと、テレビを見るか。今日の再放送は先週から始まった月9ドラマだな。ボクの大好きな若手女優が出演してるから見逃せない。しかしさっきいいボディとか言ってたの流石に怪しすぎないか?いくら音聖だからと言っても境界線がある。
扉を開けるのは気が引ける。とりあえず、
「何してるんだー?」
こうしよう。
「このスケベ小娘!この!このスケベ!やめ」
「おにーちゃんも一緒に遊ぼ!」
やれやれ。水道代に影響がでてはまずい。突入!
いいボディだな。
「わーおにーちゃんだまされたー!」
シャワーを止めろ。あとボクの使用済みバスタオルを使わないでくれ。
「隆斗くん、殺していい?」
もう見ないから服着ろ。
「服無い…びしょびしょ」
仕方ない、妹のを貸す…いや待て。それはまずい。ボクの服でいい?
「それじゃの、ノーブラじゃん!」
わかった。買ってくる。テレポート!
めちゃくちゃ恥ずかしかった。
「おにーちゃん、家族はいないの?」
しまった!妹がもうすぐで帰る…。てか察しいいな。
「着るからもう見ないでね…。」
おk。
「よっ!おねーちゃんのおっぱいパット!ゲット!」
おっぱいパット、恐るべし。
「ちょ!私のブラ返せ」
音聖、玄関に魔物がいるぜ。ボクはもう知らない。
「こんにちは!いもうとさん!あたち隣のぐふぇ」
ボクはもう知らない。
「そこの超能力者、来い。」
はい。
「歯食いしばれ!三下」
鉄製バットか。ちょっと痛むな。
「いてて!」
「次やってたらレールガンな!」
「はい」
隆奈は一応黙秘にしてくれるそうだ。まぁボクは何も悪くないけどね。ただ少し興奮した。
「なんか…ありがと」
うちのメスガキが大変ご迷惑をおかけしました。
「お礼にスタバ」
行かせて頂きます。
メスガキ、グッジョブ。
次回「グループ指導塾」




