表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
9/61

第9節-宿屋-

「……ん」


楓が目を覚ますとそこは知らない家の知らない布団の中

そして雪花が心配そうに楓の顔を覗き込んでいる


「……雪花?」


「楓!」


楓が目を覚まし体を起こすと雪花が嬉しそうに楓に抱き付こうとした時

雪花の体を手で押し、雪花を退かすと牡丹が楓を抱きしめ言う


「楓ちゃんごめんね……大丈夫だった?」


「ぼ……牡丹さん?」


「私もいるわよ」


壁によりかかるように春菊も楓の顔を見ながら笑顔で言う

その時の笑顔に嫌味や殺意てきな物は感じ取れなかった

しかし、楓は春菊の顔を見て警戒しているのか顔を強張らせている

それを見た牡丹は笑いながら春菊に言う


「あははは、春菊の顔怖いって」


「……そうかしら?」


「楓が怖がるんだから怖いわよ」


「……」


春菊は牡丹と雪花に言われ罰の悪そうな顔をすると楓が慌てて言う


「いえ……そのこの状況がよくわからなくて……

 それに……牡丹さんと春菊さん……敵でしたし」


「あ」


楓のその言葉に他の3人は顔を合わせ『言ってなかった』

と言わんばかりな顔をし、雪花が楓が倒れた後の状況を説明する

すると楓は春菊に頭を下げる


「すみません……」


「? 別にいいわよ、私は怖い人で」


春菊は楓の謝りにからかうような態度で笑顔で返す

それを他の2人が笑った後、楓は周りを見ながら質問する


「あ、あの……ここは?」


「ここは私が泊まってる宿、お金は私が払ってるから問題なし!」


「え、でも……」


「気にしない気にしない」


「……これじゃだめですよね?」


楓は牡丹の言葉に自分の制服のポケットから自分の財布を出し

そこから小銭を何枚か取ると牡丹に見せる

すると牡丹は首を傾げながら楓に聴く


「ねぇ、楓ちゃん……これは何?」


「えっと……」


楓は牡丹の言葉に困っていると牡丹が慌てて言う


「え、えっと……これはどこかで使える物かな?

 どこか専用の? それとも楓ちゃんの住んでた場所で使う……」


牡丹が慌てながらも楓に気を使うと楓は突然泣き出してしまう


「楓ちゃん?! 大丈夫? どこかぶつけてたの?!」


「あ……いえ……」


牡丹が困った顔で春菊を見るが春菊は首を横に振った後

雪花に『ちょっといい?』というと、雪花と牡丹は部屋の外の廊下にでる


「……何?」


「あいかわらず楓の前以外冷たい態度なのね」


「別にいいでしょ、あんたには関係ない」


「それはそうね……で、1つ聴きたいんだけど、あの子……楓は何者?」


「何者って普通の女の子でしょ」


「それはわかってるわよ……ただ、あの服とあのお金らしき物は……」


「……別にあんたは知らなくていいことよ」


「そのあんたって呼び方やめなさい、

 私も雪花って呼んであげるから私の事は春菊って呼びなさい」


「はいはい」


雪花は春菊の言葉に投げやりな態度で答えるとすぐさま部屋の中に戻ってしまう

そんな雪花を見ながら春菊は自分の足を見る

そこには自分の裸足姿の足以外何もない

もちろん宿屋の中なのだから靴は履いていないのだが……


『……まったく……何を隠したいのよ』


そう思いながら春菊が部屋の中に入ると

楓は目元の涙を拭いながら牡丹と話をしている

その内容を春菊が聴き取れないでいると牡丹が立ち上がり春菊に近寄ると話かける


「ちょっと部屋の外にいようか」


「?」


「2人で大事な話があるみたいよ」


「……そう、わかったわ」


春菊は何かを察したのか牡丹の言葉に頷き、2人は部屋の外に出ると

雪花は楓の前に正座で座り、楓の顔見る

すると楓は涙を流した後で両目が赤い中、ゆっくりと雪花に質問する


「これは……夢でもドッキリでもないんだよね?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ