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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
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第8節-決着-

「大丈夫?」


楓の震えた手を見た雪花は心配そうに楓に言う

しかし、楓は笑顔で雪花に言う


「大丈夫だよ、心配しないで」


だが、その楓の笑顔はどこかぎこちなく……

武者震いではなく、怖さに震えた物のように雪花に見えた


「……無理しないですね」


「うん」


2人会話がそこまでいった瞬間、牡丹は楓の目の前にいた

その速さは先程よりも速く、そして楓を『敵』として認識しているかのように

牡丹に笑顔はなく……まるで殺す対象のような目をしている

そんな牡丹の目を一瞬だけ見た楓は両目を瞑る


『え?! この状況で……まさか楓……』


しかし、雪花が思った通りにはいかず

楓は目を瞑ったまま、刀を抜き……牡丹と打ち合いをしている

その攻防は一進一退

牡丹が短刀で斬りかかれば楓がそれを塞ぐ

楓が居合で牡丹の武器を狙えばそれを牡丹が避ける

そんな攻防が続いた時……


相手の春菊が急に雪花に向けて話かけてくる

それは刀に憑りついてるとは言うが、お互いが持ち主の傍にいて見守るだけ……


「ねぇ、雪花」


「なによ?」


「あなたは持ち主……の事好き?」


「……何いきなり」


「好きか嫌いで答えなさい」


「……好きよ、大好き」


「へぇ……」


『あの『雪花』が満面の笑顔で大好きって言うとは……

 あの楓とか言う子を気に入ってるのね』


春菊は微笑みながら雪花を見る

その合間に鉄と鉄がぶつかる音だけが森の中で響き続ける

しかし、その決着は……思わぬ方向で終わりを告げる


「牡丹、もういいわよ……」


春菊のその言葉に牡丹は楓を攻撃する手を止め、楓から距離を置く

しかし、楓は息を切らしながらも武器を構え、牡丹を見ている

そんな楓に雪花は優しい声で話かける


「楓……」


「……え?」


「相手に戦う意思はもうないわよ、大丈夫」


「……そう? よかっ……た」


その瞬間、楓は前に倒れそうになる

それを雪花が慌てて受け止めようとするが牡丹が楓を抱きしめる

そんな牡丹を雪花が睨むと牡丹は舌を少しだけ雪花を挑発すると小さな声で言う


「悪いけど……私は楓ちゃんの事気に入っちゃった

 春菊が何を考えてるかは知らないけどね」


「なっ?!」


雪花が牡丹の言葉に驚いていると牡丹の声が聴こえたのか

春菊が腕を組みながら雪花に近寄り、微笑みながら言う


「……まぁ、そういう事らしいのよ

 元々は牡丹がその子に一目ぼれしたらしいんだけど

 その刀持ってるから、しかたなく戦ったのよ」


「は?」


雪花が牡丹と春菊を唖然とした顔で見ていると牡丹が楓をおんぶし歩き出す

しかし、楓は気を失っているがしっかりと右手に花月を持っている

それを雪花が確認すると……嬉しくて微笑みながら見ている

そんな雪花の顔を見ながら春菊は腕を組んだまま雪花に言う


「牡丹が泊まってる宿屋で話しましょ

 もう喧嘩を売るつもりはないわ、と言うかそんな事をしたら

 牡丹が私を湖とか池に捨てそうだから……」


その言葉に雪花は小さな声で『そっちのほうがいいんだけど』と答えると

春菊は溜息をつきながら雪花に向かって『そうね』と苦笑を浮かべながら

3人? は宿屋に向かって歩き出す

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