表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
6/61

第6節-楓と雪花-

そしてしばらくすると、牡丹が蕎麦を食べ終わりお茶を飲んでいるが

楓はまだ食べ終わっていない……そんな楓を牡丹は笑顔で見ている

その視線に気づいた楓は牡丹の顔を見ると牡丹は笑顔で言う


「ゆっくりでいいよ、私達は逃げないから」


「もちろん、あなた達も逃がさないけど」


牡丹の隣にいた春菊が牡丹の言葉に続いて楓を睨むように言うと

牡丹が春菊の顔を見ながら怒る


「今殺気を込めるのは禁止、今はご飯の時間だからね」


「……そうね」


春菊は牡丹の言葉に頷くと牡丹の背後に回り、背中に寄り掛かるように座る

その光景を見ながら楓は後ろで抱き付いている雪花に小さな声で話かける


「ねぇ……春菊さんってどんな人?」


「んー……わかんないかな」


「そうだよね、ごめんね」


「んーん、大丈夫」


雪花は笑顔で楓の言葉に返すと、楓は前を向き蕎麦を食べ続ける

それを見ている雪花の顔に笑顔はなく、申し訳ないような顔をしている


『……ごめんね、楓……私こっちに来てから少し思い出してるの

 春夏秋冬の刀の事、その刀に憑いている刀達を……』


そして楓は蕎麦を食べ終え、箸をテーブルに置くと両手を合わせ小さな声で言う


「ごちそうさまでした」


その声を聴こえた牡丹は立ち上がり、店の支払いがある受付に歩いていく

その後ろを楓は急いで付いていくが……春菊の姿はどこにも見当たらない

そして、牡丹が支払いを終え、店の外にでた直後、楓のほうを向き言う


「さてっと……楓ちゃん、森の中でいいかな?」


「……はい」


「そ、じゃあ行きましょ」


前を歩く牡丹から少し距離を取りながら歩いていく

楓の横を雪花は歩きながら楓に向かって話かける


「ねぇ、楓」


「何?」


「……ごめんね、少し嘘ついた」


「……?」


「私ね、ここ……一江の月に来てから記憶が少し戻ってるの

 それに楓をあいつ等と戦わせようとしてる……」


「記憶が戻った事はいいことだよ、雪花

 それに雪花が戦えない理由があるんでしょ?」


楓は何かを察してるのか雪花の顔を見ながら笑顔でそう言う

そんな楓に雪花は少し悲しそうに楓に話す


「……戦えないというか、そのね」


「うん」


「……私は刀を抜けないの」


「え?」


「花月貸して貰っていい?」


「あ、うん」


楓は雪花に言われた通り、雪華・花月を渡す

すると雪花の手はしっかりと花月を持っている

だが、雪花が花月を抜こうと鞘と持ち手に手を置き

抜こうとすると何かが引っかかってるのか抜く事はできない

それは楓から見ても演技のように見えない

何故なら雪花の顔が悔しそうで悲しそうな顔をしていた


「……ね」


「……うん」


楓と雪花が話をしながら歩いていると2人が最初に来た森の中に来る

すると牡丹が楓の方へ向き直り、胸元から短剣を2本出し、両手持つ


「……やっぱり春閃(しゅせん)菊波(きくなみ)……菊波も持ってたのね」


「ええ、持ってるわよ」


「楓……気を付けてね、あの2本に毒が付いてるの」


「毒って……あの毒……?」


「あの毒かはわからないけど、春閃には『血液毒』菊波に『神経毒』」


「……えっと、毒の種類っていっぱいあるんだね」


血液毒

体の中の『酸素を運ぶ細胞』を壊し

体に酸素を行きわたらすのを防ぎ……そして最後は酸欠で死ぬ


神経毒

『神経の働きを邪魔する毒』……徐々に人間の体の神経を麻痺させ

徐々に体を蝕み……体を動かす事すら困難にする麻痺毒である


「ええ、だから攻撃を受けないようにね」


「……それは」


雪花は楓の顔を見ながら微笑むが雪花は心の中で動揺していた


『……楓の実力はまったくしらない、というか……刀を使えるかもわからない

 成り行きで楓が戦う事になっちゃったけど……私は……』


そんな雪花に気付いたのか楓は雪花に笑顔で話す


「大丈夫だよ、きっとなんとかなる

 だから雪花、私とこの子……花月を信じて」


「楓……」


『楓も一江の月に行き成り私に連れて来られて……泣いてもいいはずなのに

 私の事心配して頑張ろうとしてくれる上に励ましてくれる……』


「と言っても……『本気』で真剣と真剣は初めて……」


「え、楓……今はじめてって……」


雪花が楓に質問しようとした時

少し離れた牡丹が叫ぶように楓に言う


「もういいかな?! そろそろ始めるよ?」


「あ、はい……すみません」


楓は雪花に笑顔で『なんとかするから……見ててね』と言い

雪花から離れた位置に立つと、花月を腰付近で右手で持ち、柄を左手で持つ


「……何その構え? まぁ……楓ちゃん、行くよ」


「……はい」


楓が武器を構えたのを確認した牡丹は楓に向かって走り込む

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ