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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
53/61

第53節-楓の強さ-

楓と菊花が中庭で戦っている頃……

牡丹達は部屋で雑談をしていた


「ねぇ、牡丹……どうして楓に戦わせたの?」


「なんとなく……かな」


「何それ……それで楓が負けたらどうするのよ」


「大丈夫、楓ちゃんは負けないわよ」


牡丹は詰め寄る雪花に向けて笑顔で言い放つ

それはまるで楓が勝つのを知っているかのように……


「そうね、楓は負けないわ」


「春菊……あんたまでどうしてわかるのよ」


「雪花、あなたは楓と一番長くいるのに……

 あ……楓と戦ってないからわからないのね」


「……どういう事?」


「楓は実戦経験は浅い方だけど、『居合』と言う剣技

 後は対1において、その強さを発揮してるのよ」


「たしかに楓の居合は私も凄いと思うけど……」


「だけど、楓が居合なしで私達と()ったら

たぶん、私達の一方的な試合になるでしょうね」


「何が言いたいの?」


春菊は布団の上で横になると雪花に言う


「楓の『居合』が楓を助けてるのよ

 もしも、居合を知っている相手なら楓は絶対負ける」


「それと、今回の勝負はなんの関係が……」


「まだわからないの? 戦理が居合を知らなすぎるのだから

 その知り合いが知っている可能性は低いのよ」


「……楓の居合を知らないから相手は負けるって事?」


「そうね」


その春菊と雪花の話を聴いた牡丹は着替えを始め

着替え終わると縁側に座り……外を見ながら話す


「もしも……今楓ちゃんと戦えば確実に私達が勝つ」


「……やるの?」


雪花が牡丹の背中を睨み、殺気を発すると

牡丹は空を見上げ、微笑みながら言う


「やらないわよ、だって私、楓ちゃんの事好きだし

 それに春夏秋冬の刀集めも一緒にいれば問題ないでしょ?」


「……そうね」


「ただ……覚えておいて、私達がいない時

 もしも、居合を知ってる相手が楓ちゃんの前に立った時

 それを助けられるのは雪花だけだから」


「わかってるわよ、そんなこと」


「そ、なら……いいと思う」


そこまで話すと雪花も布団に横になる

そして静かな時間が部屋の中に訪れる


その頃、楓に負けた菊花は立ち上がり

楓の前に立つと微笑みながら耳元に口を近づけ言う


「ねぇ、あなたは戦理様と結婚したいの?」


「え? 結婚? 私はまだそういうのには興味ないです」


しかし、楓は刀を待ったまま両手を前で左右に振りながら首も横に振る

それを見ると菊花は微笑み、戦理に近づくと小さな声で言う


「これは大変そうですね……あ、先程の件は気にしないでください」


「結婚の件か?」


「ええ、もしも私と結婚したあなたは落ちぶれちゃいますからね

 そんな戦理様には興味ありませんので、今はあの子に譲ります」


「そうか」


「ではお邪魔虫はここで失礼します」


戦理と楓に一礼すると笑顔で旅館の中に戻っていく

その後、戦理は楓に近づき笑顔で話かける


「凄かったな」


「え? そうですか?」


「ああ、さすが先生だな」


「その先生ってやめてくださいって言いましたよね?」


「そうだったな、それは失礼した」


戦理はワザとらしく微笑むと壁に立てかけた刀を取り楓に言う


「さて、良い物見せて貰ったから、俺も頑張るとするよ

 楓はそこで休んでてくれ」


「あ、はい……わかりました、では素振り500本頑張ってください」


「……ん? 500本?」


「はい、今日の分ですね」


「……了解した」


戦理は楓の微笑みに負け、素振りを始める

ただ、最初に比べ、居合の速さは少しずつ完成されていく

それを見ながら楓は心の中で思う


『明日あたりで戦理さんは居合をできるようになる

 そうしたらそろそろ雪花の旅を始めないと……』


そう思いながら空を見上げる

それを素振りをしながら見た戦理は素振りをやめ楓を見てしまう


『……可愛いな』


「戦理さん? 疲れちゃいました?」


「え? いや、あ……大丈夫だ、続ける」


「はい」


楓を見ていた戦理は空を見上げるのをやめ

目の前を見た楓と眼が合い慌てて素振りを再開する

そして500本終わった頃には空は夕暮れになっていた

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