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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
38/61

第38節-聖破一身流の理-

「折れた刀だらけで残りは……それだけ見たいだな」


雪花の突撃に大男は笑みを浮かべ、大太刀を構え臨戦態勢に入る

それを見た雪花は……足を止めず男性に突撃していく


「こいよ……そんなオンボロ、俺が粉砕してやる!」


「……弐式」


雪花は男性の近くまで走ると男性の目の前で飛び上がる

それを目で追いながら呆れた表情で男性は言う


「またそれか……」


だが、構えた姿勢のまま飛び上がった雪花に

男性は目を離せなかった

先程と同じように……飛ぶだけで攻撃してこないはずなのに

飛んでいる雪花からヒシヒシと殺気を感じとれてしまう


『……何だ? こいつ……さっきと同じ、ただの飛び上がりだよな』


「南雲」


雪花は飛び上がった姿勢のままの鞘から刀を抜く

それは『居合』、その雪花の行動に構えたままの刀を脇を締め持つ

すると運がよかったのか雪花の一撃は男性の刀に当たる

だが……雪花が地面に着地した時、雪花の手は鞘に収まっている刀にあった


「……何をした?」


「さぁ?」


男性の驚いている顔を余所に雪花は笑みを浮かべたまま

男性から距離を取り、刀の鞘に手を置き……構えている

その光景を吹き飛ばされ、起き上った楓が見ながら思った


『居合……だよね、雪花……居合もできるんだ……凄い』


楓の驚きを余所に雪花は男性に突撃しては居合の斬撃を放つ

それを何度も何度も……大男の刀に防がれてはいるが

何発かは男性をかすり、小さな傷をつくって行く


「……なんなんだよ、その技は……!」


『やっぱり居合を知らない? 私も楓の居合を初めて見た時は

 居合を知らなかった……ここまで居合が有名じゃ……

 違う、有名とかじゃなくて……居合が使える人が珍しいんだ』


「そろそろ決めるよ」


『ああ』


雪花は鞘に収まっている千払に独り言のように話かける

それに千払が答えると、雪花は男性に突撃していく


「聖破・参式・雷光(らいこう)


その突撃合わせ、放たれた刀は男性の脇を切り裂く

そして通り抜けた先で雪花が刀を鞘に納める音だけが響く


「ぐ……」


脇を抑えた男性は少し苦痛の表情を浮かべるが

攻撃が浅かったのか血はそこまででていない


「ねぇ……聖破一身流って速いだけで一撃が弱くない?」


『……そうかもな、だが……その速さを利用し、追い込む事に

 聖破一身流がある、全てを繋げるために』


「繋げる……?」


『きっと……いや、理解できるはずだ、聖破一身流の理を』


「……じゃあ、理解できるまで千払、あなたには生きてて貰わないと」


『そうだな』


その時の千払の声はまるで雪花に両目を瞑り微笑み男性の表情が

感じとれるような……そんな声だった


「独り言をグチグチと……さっさと死ね!」


男性は先程の雪花に一撃にイラついたのか大太刀を雪花に叩き下ろす

だが、それを踊るように回避した雪花は鞘に手を置く

その直後、男性の右肩と左脇に切り傷ができる


「聖破・四式・(はな)


「……チマチマと、うざってんだよ!」


男性はさらにイラつき、大太刀を雪花に振り下ろす

それを雪花が避けるたび、大太刀は地面に叩きつけられ刃が削れていく


「可哀想に……」


そう思いながら男性の次の大振りを交わした雪花はその隙を付き

地面に両足をしっかりと付き、鞘に手を置くと刀を抜く


「聖破・五式・破刃(はじん)


それは最も隙のある一撃

居合は刀から抜き、納める剣技

だが、この攻撃は……鞘から刀を抜き、横に思いっきり放つ剣技

鞘から刀を抜いた右手は刀を持ち、男性の腹を切り裂く

しかし……筋肉質の男性の腹を切り裂く事はできず、これもかすり傷

それを確認し、後ろに飛び退きながら雪花は考える


『どの攻撃も速さだけ……でも五式だけは……まさか……』


「ねぇ……千払、あなたが言った理って……」


『ん? 何か気づいたのか?』


「ええ」


『そうか、なら……試して見せてくれ、理を』


「最後まで良く見ててよね」


『ああ、心得た』


雪花は千払を構え、また男性に突撃していく

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