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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
35/61

第35節-殺意-

雪花は咄嗟に構えた朧弥(おぼろび)で男性の刀を防ぐ

その瞬間、朧弥の中心にヒビが入る

それを相手の男性が刀を押し当てながら微笑み雪花に言う


「へっ、そんな刀じゃなかったら勝てたのにな」


「……」


しかし、男性の言葉に雪花は何も言わない

だが無情にも音を立てて……ヒビが刀の周囲に広がる


『気にするな……振りぬけよ』


「……ありがとう」


雪花は微笑んでいる男性の刀を払い、朧弥を上段に構え振りぬく

その一撃は男性の刀もろとも切り裂き、朧弥は音を立てて地面に付く

しかし、その一撃の影響なのか……ヒビ割れた場所から折れる


「……ごめんなさい」


『いや……いいさ、良い振りっぷりだ……嬢ちゃん、なかなかだったぜ』


その言葉を最後に朧弥が口を開く事はない

それは雪花に取って悲しい出来事の1つなのだが

今はそれを心に止め、楓の方を見る


『後4人……こっちの刀は3本……1人で1本……』


それを知ってた大男は楓を1人で抱えると男性2人を雪花にやる


「1人ずつじゃ拉致があかねぇ、2人でさっさとやっちまえ」


「へい!」

「ういっす!」


2人の男性が雪花向けて走る

それを合わせ、雪花が後ろに飛び退き、

刀を抜こうとしたその時……足元に刺さっている物に足をぶつける


「……足をぶつけてごめんね、一緒に行こう」


雪花は地面に刺さっていた短刀1本を抜くと

地面に刺さっている刀が雪花に言う


『それ1本じゃ無理、那岐と対になっていたはずの僕を使って』


雪花に話かけて来た刀を雪花は抜く

それは小太刀『那岐』と瓜二つの小太刀


『その短刀は僕達と違って喋らないけど……僕は戦速(せんはや)


「……わかった」


雪花は左手に短刀、右手で小太刀を持ち構える

それに足を止めた男性2人の内1人が雪花に言う


「嬢ちゃん……あんたは一体何者だ? そんなに武器を扱えるとは……」


「さぁね、私は私、何者でもない……しいていうなら亡霊かな」


「亡霊か……ははは、良い冗談だ……行くぜ」


男性2人が左右に別れ、雪花に突撃する

それに合わせ、雪花は後ろに数歩下がり構える


男性の1人が左から斬りかかる、それを雪花は左手の短刀で防ぐ

その直後、雪花の右からもう1人の男性が斬りかかる

それを右手の小太刀で受け止める


『さすがに……きつい、そろそろ限界……じゃないけど

 手が疲れて来たかも、でもこの感じ、久しぶり』


雪花がそう感じ、思った時……男性2人が後ろに飛び退き武器を構えなおす


「な……なんだ、今の殺気は……」


そう言い張った男性1人の背中の汗が止まらない

それは緊張……ではなく、雪花の気迫に飲まれた

それを体が感じ、汗となり出始めた


「……連撃で行くよ、戦速」


『はい! いつでもどうぞ』


雪花は男性の1人に走り込む

だが相手の男性は動かずその場で武器を構える

そんな男性に雪花、左手の短刀で斬りかかる

それを男性が刀で受け止めたと同時に体を右に回転させ右の小太刀で斬る

その一撃は男性の脇を斬る、だが致命傷ではない


「もう1回!」


『はい!』


雪花がもう一度今の男性に斬りかかろうとした時

その間にもう一人の男性が割り込む


「悪いな……」


「……別にいいわよ」


「雪女みたいな亡霊退治も悪くない」


「……そう」


「だからこそ……『こいつ』は邪魔だ」


男性は自分の後ろで脇を抑えている男性の胸に刀を突き刺すと

すぐさま抜き、驚いた顔のまま倒れた男性の刀を空いている手で持つ


「……これでいいだろ? お互い2本の刀だ」


「あんた味方を……」


「まぁ、亡霊を倒すためだ、しょうがないだろ」


その言葉に雪花は気付いた

この男は強いと、味方を殺してまで自分と同じ2本の刀を持つ事

その行動に無駄はなく、殺気をぶつけてくる


「……いくぞ」


男性は2本の刀を両手で構え雪花に斬りかかる

それに合わせ雪花も刀を構え、それを防ぐ

だが……刀の長さ、その重量から雪花の分は悪い


「素早くても抑え込めば問題ない」


それを知っているのか、男性は力を込め

雪花が刀で刀を抑えている手を引かせている


『……っ、なんて馬鹿力……』


雪花の顔が少し歪んだ所をつき、男性は雪花の右足を払う

しかし雪花は耐え、その場で立っている


「ほぅ……女の癖に足腰はいいな」


「……どうも」


「なら、これならどうだ!」


男性は雪花の持っている短刀を払い、その隙をついて雪花に斬りかかる

それを間一髪かわした雪花の横を水色の髪がぱらぱらと数本落ちる

だが、雪花の手には小太刀1本、相手には2本


それを把握している男性は右手の刀で雪花に斬りかかる

それは後ろによけると男性は1歩踏み込み、また斬りかかる

それを後ろによけ、それを何度か繰り返す


「ははは、上手だ上手、もっと避けてみろよ!」


男性の笑い声と裏腹に雪花は少しずつ避ける位置を変え

刀達が差さっている場所に下がっていく……

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