第34節-刀達の思い-
雪花は小太刀を構え、男性に突撃すると
男性に向けて刀を振り続ける、それを何度も何度も弾いている男性の体は
少しずつ……少しずつ……かすり傷が増えていく
「ちっ……」
「まだよ……まだまだ!」
その言葉と共に雪花の小太刀を振る速度は上がると
それと同時に鉄と鉄がぶつかる音も速くなる
そして……その速度に付いてこれなくなった男性は後ろに1歩引いた瞬間
雪花は小太刀で突きを放つ、その勢いがある突きを男性が刀で受け止めた時
その刀は音を立てて折れるとそれと同じくして小太刀も音をたてて半分に折れる
「……ごめんね」
『いいわよ、さぁ……決めなさい、小太刀『那岐』最後の仕事よ』
「ええ」
そのまま折れた小太刀を男性の腹めがけ突き刺すと男性はそのまま倒れる
そしてその刺した小太刀を引き抜いた雪花だが
折れた部分はまるで満足したのか柄だけ残し……地面に落ちる
『ありがとう』
その直後、残った賊の一人が刀を持ち、叫びように雪花に走り込む
「よくも俺の仲間を!」
雪花はその柄を地面に落とし、後ろに飛び退くと地面に刺さっている1本を抜く
その刀は脇差よりも……小太刀よりも長い……刀である
その重さに右手だけで持っていた雪花は両手で持ち直す
『おっと……あんたには俺はきつかったみたいだな』
「そんな事……ないわよ、使って見せる」
「……そんなオンボロの長刀……折ってやる!」
男性は雪花の刀を気にせず、刀を構え雪花に走り込む
『……あんな男、一撃で決めろ……直刀『朧弥』
少しオンボロだとしても……負けはしない!』
「ええ、わかったわ!」
男性の突撃に合わせるように雪花は刀を上段に構え
相手の男性は近くまで来たのを確認すると……朧弥が叫ぶ
『今だ!』
その言葉に合わせ、直刀を振り下ろす
それに気づいた男性が慌てて踏みとどまり
刀で防ごうとするが……その刀をへし折り、男性を切り裂く
そして雪花の刀は血がついたまま地面に着く
「……すごいわね」
『元々、振り下ろすために作られた刀……だからこそ重い』
それを見た大男は楓を掴んでいた男性の1人引きはがし雪花に向かわせる
その間に大男は楓を掴んでいる
「……ったく、俺は向こうの嬢ちゃんの方がいいんだけどな」
「……あら、私じゃ不満?」
「無抵抗ならな……だが、今なら許してやるぜ?」
「遠慮するわ、楓……あの子を解放しないかぎり、私は負けない」
「……そうかい、じゃあ遠慮なくいくぜ」
男性は腰から短刀2本抜くと両手で構える
そして雪花に斬りかかる
それを直刀を片手で持ちながらかわす
『こいつ……さっきの奴らと違う……』
「おいおい、どうしたよ! 自慢の直刀が泣いてるぞ」
男性は笑みを浮かべながら雪花を斬り続ける
それを紙一重でかわしながら雪花は直刀を右手で振ろうとする
しかし……その重さゆえ、持てても振る事はまではできない
『……分が悪いな、ここは下がって他の刀を』
「無理ね……このまま下がれば私が危ない」
『じゃあどうするんだ?!』
「そんなの簡単よ、楓……使わせてもらうね」
男性は短刀を前かがみに斬りかかると同時に懐に潜り込む
しかし男性はそれを予測していたのか前にだした短刀を戻し
雪花の背中目がけ突き刺そうとする
その直後、雪花は男性の腹に掌底を入れる
その衝撃に男性はくの字に体を歪ませると
雪花その場で回し蹴りを男性の腹に入れる
すると男性は後ろに吹き飛ばされる
「ふぅ……上手くいった」
それを見ていた楓は口を押えられながら口をあんぐりと開け驚きを隠せないでいた
『……あれって攻波……雪花一度見ただけなのに……凄い』
そして男性は体を起こそうとした直後、雪花は直刀を両手で構え
男性の前に踏み込むと直刀を上段に構え、振り下ろす
それを男性は間一髪……横に避ける
「あぶねぇ……だが! 隙ありだ!」
男性は横に避けた体制のまま短刀を両手に構え、雪花を突き刺そうとする
しかし……雪花は振り下ろした直刀をそのまま横に払う
その一撃は男性の短刀を2本を吹き飛ばし、男性は無防備になる
「これでお終いねっ」
雪花は無防備な男性に刀を構えた直後
男性は雪花を腹を蹴り飛ばすと後ろで楓を抑えていた男性から刀を投げられ
受け取るとそのまま、雪花は突き刺そうとする
『俺を使え!』
雪花はその言葉に合わせ、咄嗟に直刀を自分の目の前に構える




