第3節-何もかも突然に-
「……」
雪花の突然の怒鳴りに楓は黙り込んでしまう
すると雪花は『はっ』とした表情で苦笑を浮かべながら楓に言う
「……ごめんね」
「あ、いえ……大丈夫です」
「そう? ……それで、どうかな? 一緒に探してくれる?」
「探すってどこをですか? あんまり遠くには行けないので
できれば『京都』付近が良いんですけど……」
「きょうと……? ああ、京都のことね、この本に載ってた
でも、残念ながら違う」
「……えっと、じゃあどこなんですか?
もしかして沖縄とか北海道とか海外とかですか?」
「……楓が行ってる意味、わかんないけど……とりあえず場所だけ言うね」
「あ、はい」
「えっと……一江の月ってとこ」
「一江の月……?」
「そ、時代の名前だけど知ってる?」
「……知らないです」
「あー……えっとねぇ……あ、ここの事かな」
雪花は楓の教科書をペラペラと捲ると『江戸時代』の場所を楓に見せ
そこの絵を指さす
「ここと似たようなところかな」
「……えっと、江戸時代……ですか? かなーり昔なんですけど……」
「大丈夫、花月ならなんとかなるから」
「なんとかなるって……」
雪花の自身満々な態度に楓は苦笑をしながら言うが内心はかなり怪しんでいた
『……江戸時代って、博物館とか刀が置いてある所とか行くって事かな……
でも、この雪花って人、私にしか見えないんだよね……
漫画とかによくある物が勝手に動いたり私が独り言を話してるとか……
そういうのはちょっと……嫌かなぁ……』
そう楓は考えると雪花は花月を鞘から抜くと地面に突き刺す
すると地面に薄い青色の……魔法陣らしき物が勝手に書かれていく
「え……?」
「……1回だけ、たしかに1回だけ使えたわね
夢の中で聴いたあの声の言った通り……」
楓がその光景に動揺してる横に雪花は独り言を喋っている
『……雪花、あなたが見えて、怖がらない子……
そんな子を見つけたら……その刀を地面に突き刺しなさい
そうすれば「あなたのやるべき事」それが詰まっているはずよ』
その言葉だけ雪花の頭から離れない、男だったか女だったかもわからない人物
その人物が雪花の夢の中でそう言った
だから、その通り……雪花は地面に花月を突き刺した
雪花自身……どうして『ここ』にいたのかわからない
覚えてる事と言えば『雪華・花月』
『一江の月』そこに刀が合って、そこに行くためには花月を使わないと行けない
後は……夢の中の言葉と自分の言葉が楓以外に聴こえない事
それに……花月からある程度の距離、離れられない事それぐらいしか覚えていない
『なんとも大雑把……楓を巻き込んで……私は何をしたいんだろう』
そんな事を思いながら雪花は楓の右手を取る
楓は動揺してるのか雪花の手を振り解かないでいると
魔法陣は小さくなって……2人を包み込み、その場から消える
その数分後……賢護が開いている倉庫の中を見て小さな声で言う
「楓ちゃん? ……ここに向かったと思うんだが……どこに?
もしかして先に母親の所? ……そうならワシも向かうとしよう」
賢護は何事もなかったように倉庫の鍵を閉め……家へ向かう