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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
24/61

第24節-旅の始まり-

「と、そんなわけでこの村で楓ちゃんと出会ったってわけ」


「えっと……牡丹さん」


「ん?」


楓は牡丹の話が終わると前かがみになりながら牡丹に言うが

その背中には……雪花が笑顔で抱き付いたままである


「えっと……その、牡丹さんは泥棒……じゃないと思いますよ?

 半分以上春菊さんのせいですし……」


「あ、やっぱりそうだよねぇ……」


楓の言葉に牡丹は頷き笑顔で返す

しかし、牡丹の横に座っていた春菊は何1つ口を挟まず目を瞑っている


「でもさ、楓ちゃん」


「はい?」


「私は後悔してないんだ、今が楽しいからね」


牡丹は嘘のない笑顔で楓に言うと隣で牡丹に寄り掛かっていた

春菊は目を瞑ったまま微笑んで、どこか嬉しそうで顔をしているのを

雪花が見ていた……その直後、雪花が楓の後ろから楓に質問する


「ねぇ、楓」


「え? な、なに? 雪花?」


「私も楽しいよ、楓のやる事1つ1つが楽しいしね」


「ぇ……私は毎回大変だよ……」


「えへへ、でも私の持ち手が楓でよかったよ」


「……そう?」


「うん」


楓のと雪花の話を聴きながら微笑んでいる牡丹に春菊は小さな声で話かける


「で、これからどうするの?」


「……どうしよっか」


「……ゆっくりと村の外にでましょ、

 そうすればさっきの群れと遭遇する確率は低いと思うし……」


「りょーかい」


牡丹は春菊の言葉に返すと、その場を立ち上がると

肩に持たれてた春菊も慌てた様子で立ち上がる


「さて、楓ちゃん、そろそろ出発しようかっ」


「あ、はい……って雪花、いつまで抱き付いてるの!」


「ぇー……楓の胸当たり掴みやすくて……」


「……」


雪花のその言葉に楓は雪花の方を見ながら笑顔で何も言わない

その楓の態度を理解したのか春菊が割り込む


「……雪花、あんたは胸あるほうだけど……楓はそうでもないのよ

 だから……その言葉は『嫌味』以上の……物になるわよ」


「あ」


雪花は周囲を見回す、もちろん……顔ではなく胸を

そのサイズはどうみても、雪花、牡丹、春菊、楓の順番になる


「あ、あはは……楓、ごめんね!」


雪花はそう言うと急いで楓から離れ、村の出口に向けて走り出す

それを楓も同じように立ち上がり、少し怒った様子で追いかける

その様子を呆れた顔で春菊は溜息をつきながら言う


「はぁ……刀置いてけば途中で逃げられなくなるのに」


「……たしかにそうだけど、楓ちゃん、当たり前のように刀を持ってたわね」


「……雪花の事信じてるんでしょ」


「良いことじゃない」


「……そうね」


そう言いながら春菊と牡丹は楓達を追いかけ、村の外の出て

少し先に歩いた坂道の入口で足を止めてる雪花に気付き、牡丹は話かける


「どうしたの?」


「どうしたの? じゃないわよ……いきなり山登りなんて聴いてないわよ」


「……大丈夫、大丈夫、頂上までいかないように道できてるから」


「そういう問題じゃなくて……」


「あれ? 楓ちゃんは?」


「え?」


雪花は辺りを見回すがそこに楓の姿はない

しかし、雪花がここにいると言う事は楓が近くにいるのは間違いない


「楓? 楓どこにいるの?!」


雪花は慌てた様子で周囲を見回し、走り出す

その後ろを牡丹と春菊が左右を見ながら走っていると

春菊の眼が楓を捉え、2人に言う


「いたわよ」


「え?!」

「どこ?!」


2人が慌てて春菊の元に近寄り近くを見回すと

登り道の脇にある森林で1人の男性に話かけられている楓を見つける


「……あいつ何、牡丹……あいつを蹴り飛ばしちゃっていいよ」


「りょーかい」


「……まぁ、いいか」


春菊は何かを悟ったのはその場から動かない

そんな春菊を置いて、牡丹は男性に走り寄り

男性が牡丹に気付いた直後……時は既に遅かった

牡丹は男性の顔目がけ、回し蹴りを浴びせる

男性はなんの抵抗もせず、ただ吹き飛ばされ……後ろの木に叩きつけられる

そんな男性を無視し、雪花は楓に走り寄ると心配そうに抱きしめ、話かける


「楓?! 大丈夫?!」


「え、えっと……」


「何かされてない? どこも触られてない?」


「え、えっとね、雪花」


「うん?」


「あの人、ここで迷子になってから道まで案内しようとしただけなんだけど」


「は?」


雪花は唖然とした顔を他所に牡丹も楓に近寄り事情を聴くと

同じように唖然とした顔をする

そんな2人を気にせず春菊は楓に近寄り……話かける


「どうせそんな事だろうと思った、相手の男性笑顔だったから

 嬉しい事があったか、または楓が可愛かったかどっちかね」


「後者はないと思いますよ……」


楓が呆れた顔で春菊と話をしていると木に叩きつけられた男性が目を開け

楓達の方向を見ると、慌てた感じで言う

ただ、その一言が次の騒動の始まりだった……


「っ……ってあれ? いつのまにか女性が4人に?!」

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