第2節-雪華・花月-
「……」
その女性は楓の前に立つと楓の顔をしばらく見た後
両手を楓の目の前で思いっきり叩く
「きゃ」
楓は目の前の女性のあまりの行動に驚き、両目をつむり驚く
その光景を見た女性は少し微笑んだ後、楓に話かける
「……あなた、私の事が見えるの?」
「え?」
楓は目の前の女性の質問に質問をぶつけた
楓の目の前にしっかりと見えている
その女性の外見は水色の髪でポニーテールで髪を結んでいるのは赤い紐
服装は白い着物、腰当たりに赤い結びが付いている
身長は楓よりも少し高い
「……質問に質問を返さないでくれる?」
「あ、すみません……普通に見えますけど?」
「ほんと?!」
楓の答えに目の前の女性は両手でガッツポーズをすると
笑顔で楓の顔を見た後、小さく咳払いをし……
両手をゆっくり体の目の前で組むと目を横に反らしながら楓に言う
「……あなたの名前は?」
「え、えっと……『慈心楓』です」
「慈心楓? ……ああ、この本の持ち主?」
女性はパイプ椅子に置いた本を手に取り、楓に見せると
楓はその本の裏面を見る、すると……『いつしんかえで』と書かれている
「あ、この本……私が小学生の時に使ってた教科書」
「きょうかしょ? よくわからないけど……
その本のお蔭でなんとなく『ここ』の事は理解できた……かも」
「ここ……?」
女性の言葉に楓は首を傾げ、女性に聴くと
女性は『ぁ』と言った後、楓に喋る
「あ、そうそう……私の名前は『雪花』」
「雪花さん……?」
「そ、で……これが『雪華・花月』」
雪花と名乗った女性はどこからか脇差1本を楓に見せ
脇差の名前を楓に説明する
「……こんな刀、ここにあったっけ……?」
「合ったんじゃない? まぁ、いきなりで悪いんだけど
この脇差、抜いてみてくれない?」
『ほんといきなり……人の話は聴かないし、今度は刀を抜けとか……』
楓は心の中でそう思いながらもその脇差を受け取り
持ち手に右手を置き、左手で鞘を持ち、ゆっくりと鞘から引き抜くと
その脇差は光に反射するように一瞬光ると、その光を失う
「……?」
『……やっぱり、この子……楓は予想通りの子だった
しかも、花月を抜いちゃうなんて……これは私の相棒決定ね』
楓の『抜けたけど?』と言うような表情を他所に雪花は心の中で1人思い
微笑んだ後、雪花は笑顔で楓に言う
「あ、その刀『呪われてる』から」
「え……」
「だって妖刀だもん」
「……ほんとに?」
「うん、だってその刀に取り付いてるの私だし」
雪花は笑顔で『雪華・花月』を指差す
その雪花の笑顔を他所に楓は無言で刀を鞘に戻した後、雪花に言う
「……雪花さん、冗談はやめてください
こうやって見えてますし……ほら、触れるじゃないですか」
楓は雪花の右手を握ると、しっかりと一肌を感じ取れる
「だから、楓以外には見えないんだって」
「え?」
「その刀、雪華・花月が抜けた子と『例外』
の人以外見えない、だから私はその刀に取りついた亡霊ってわけ」
「……」
楓はあまりの状況に驚いたのかそれとも頭の中が混乱してるのか
黙り込んでしまう……そんな楓を他所に雪花は話を続ける
「まぁ……その証拠にほら、目の前の建物で私の声が聴こえたでしょ?」
「あ……そういえば……」
楓は雪花の言葉で思い出した
楓には聴こえ、楓の祖父である賢護には聴こえなかった
それが証拠になるのかもしれない
「……まぁ、それはさておき、楓」
『さておきってそこ一番大事じゃ……
じゃなくて妖刀なんて触って大丈夫かな……呪われてないかな?』
そう考えてる中、雪花は真面目な顔で楓の顔を見ると言う
「私と一緒に刀を探して欲しいの」
「刀……?」
「そ、春夏秋冬の刀」
「春夏秋冬って季節の?」
「そうそう、名前はたしか……」
雪花は指で地面に名前を書いて行く
倉庫の地面は土で指で字を書こうと思えば書けてしまう
『春閃・菊波』
『夏染・戦浪季』
『秋華・蘭踊』
『冬香・氷靭』
「この4本ね」
「……変わった名前ですね」
「まぁね、全部『妖刀』だし」
「ということは雪花さんと同じ……」
「同じじゃない! 私と『こいつら』は違う!」
雪花は楓の言葉に怒鳴ると楓は驚きながらも雪花の顔を見る
すると雪花は顔を横に反らし、どこか悲しそうな顔をしていた