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春夏秋冬・季節刀とその物語  作者: てぃあべる
17/61

第17節-楓の実力-

「じゃあ……あなたでいいかしら?」


「ああ」


牡丹の呼ばれた男性が楓の前に現れる

その男性の右手には『大太刀』と呼ばれる長い刀を持っている

それを周囲で見ている人の誰かが野次を飛ばす


「おいおい、相手は短刀だぞ? それはずるくだろ」


「……そんな事、誰が決めた? これは賭け試合だ」


男性の一言に野次を飛ばしたであろう男性は下を向く

もちろん、男性が言ってる事に間違いはない

賭け試合をする上で『使う武器』については触れてないのだから……


「たしかにその通り……楓、準備してね」


「あ、はい」


楓は牡丹に言われるがまま……春閃と菊波を抜こうとした時

その手を今まで何も言わず見ていた雪花が止めた


「雪花?」


「……あいつの相手は短刀じゃ分が悪い

 だから、私を使って、楓」


「……春菊さん」


楓は雪花の言葉に春菊の顔を見ると、微笑むようなわかっていたような溜息をし

春菊は牡丹を呼ぶと牡丹が楓の方に近寄って来る


「牡丹、悪いけど……私の短刀預かってて」


「え? あ、なるほど……そっち使うのね」


「そういう事……それと楓」


「はい?」


「あなたなら大丈夫よ、あなたの本当の実力を見せてあげなさい」


「で、でも……手加減しないとお客さん……」


楓の困ったような顔の言葉を牡丹が笑顔で制す


「大丈夫、今度は次の場所でやればいい……

 それに私は私で『殺人者』の相手でもするから、ね?」


「えっと……」


牡丹の言葉に楓は困った

もちろん楓を気遣っての発言なのだろうが、内容が楓に取っては嬉しくない


「……さて……楓ちゃん、頑張ってね」


牡丹は楓に花月を渡し、春閃と菊波を受け取ると男性と楓の間に立つ

そして、お互いの準備を確認しだす


「お互い準備はいい?」


「ああ」

「は、はい」


「では……開始」


しかし……お互いは一歩も動かない

その光景に観客はざわつきだす


「おい……なんだよ……」


「大太刀はわかるけど、向こうの女、脇差だぜ? 勝てるわけないだろ」


「さっきの短刀の方がよかっただろ、変な持ち方だし」


その言葉を聴いていた雪花が楓の隣で心配そうに楓に話かける


「楓? 気にしちゃだめだよ? 集中して」


「……」


「楓?」


「……」


雪花は楓に声が届いてないと思い、もう一度楓に話かける

しかし、楓は目の前の男性に集中しているのか雪花の声が聴こえていない


『凄い……周りが騒いでるのに全然大丈夫そう……

 楓って以外に凄い所多いんだね……』


雪花がそう思った直後、楓は相手の男性に向かって走りだす

その光景は誰から見ても痺れを切らして突っ込んだ馬鹿に見えたのだろう

もちろん、それは相手の男性も……だからこそ相手の男性は微笑みながら

大太刀を横に構えると、楓の突撃に合わせ、大太刀を自分の前に薙ぎ払う

それを楓は間一髪足を止めかわした直後

男性はそのまま頭上に持ち上げ楓に向かって振り下ろす

その一撃は楓を捉えたかのように見えた

しかし……楓に振り下ろされたはずの大太刀は楓の横に振り下ろされる


「あ?」


その光景は男性の振り下ろしが楓に横に振り下ろした

そう……男性のミスのように観客に見えたのだが……

それを目の前で見ていた雪花は驚いた


『嘘でしょ……こっちは脇差……相手は大太刀……

 重量すら違うのに……この子は……』


雪花は楓の行動を見ていた

それは……


楓に振り落された大太刀に合わせ、楓は刀を鞘から抜いた

その居合は前の戦いで見せてくれた『一の太刀・閃』

楓のその居合は速さこそあるが『威力』は低い

しかし……その一撃を何度も高速で大太刀にぶつければ……軌道はずれる

もちろん、大太刀の一撃は遅い……楓に振り下ろされるまでに時間は合った

なのに楓は避けず、合えて大太刀に立ち向かったのだ


「ちっ、俺の一撃がずれた?」


男性が動揺した直後、楓は男性に飛び込み、右手から刀を振るう

それに対応するべく男性は大太刀を両手持ち、楓の一撃を防ぐ

しかし……楓が男性に向けて攻撃したのは刀じゃない


「……鞘だと?!」


そう……楓が男性に向けて放った武器は花月の鞘

だから大太刀の鉄と鞘のぶつかる音は鈍い音だけ

それに動揺した男性を他所に右手の鞘をそのままずらし

左手の鞘に納めると……楓は攻勢にでる


『参からの繋ぎ……撃』


楓から放たれた一撃は男性の持ち手に直撃する

しかし、勢いが浅かったのか、男性の手から太刀が落ちる事はない


「へっ……なかなかだが……威力が足り……」


男性は微笑み、勝ち誇ったような視線を楓に向けた直後

男性は楓の目に恐怖を覚えた

その視線は男性を完全に敵を見なしたような目に

『殺意』が込められているように感じ、男性はそれに飲まれた

その直後……男性は手元に『二度』衝撃が走ると男性は刀を地面に落とす

そして楓の刀を鞘に納める音と男性の落とした大太刀の音だけが周囲に響きわたる

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