第11節-これから-
楓は畳の上に正座で座ると雪花も同じように座る
そして牡丹と春菊は雪花からちょっと離れた位置に女の子座りをする
しかし……楓はしばらく口を開かず、雪花も楓が話すのをただ待つ
そんな事をしている内に時間が数十分過ぎた頃、楓が口を開く
「ねぇ……雪花」
「え? う、うん……何かな?」
「私ね……」
「うん」
「雪花のお手伝いをしようと思うの、もちろん……自分自身が元の場所に
戻るためが一番で……それでよければ、雪花と一緒に行ってもいいかな?」
「も、もちろん! じゃなくて……こちらこそお願いします、楓」
雪花は笑顔で楓を抱きしめる
その光景を微笑ましく見る牡丹と
溜息まじりで『馬鹿馬鹿しい』と言った表情の春菊
そんな2人を他所に雪花は嬉しそうに楓に話かけている
楓も少し困った顔をしながらもどこか吹っ切れたのか笑顔を浮かべている
それを見ながら牡丹は立ち上がり楓の前に座ると楓に話かける
「ねぇ、楓ちゃん」
「あ、はい!」
「もしよければなんだけど……用心棒雇わない?」
「え?」
「お代は無料で雪花と同じ妖刀付き、どう?」
「えっと……」
楓は牡丹の提案に困った顔で雪花の顔を見るが
雪花は楓から離れず、楓の首に両手を回したまま喋る
「別にいいんじゃない? お金は取らないって言ってるし」
「あ……でも」
「どうしたの?」
「なに?」
楓の発言と雪花と牡丹が同時に声がかかる
そんな牡丹と雪花はお互いに顔を見回せているが……
それを気にせず、楓は話始める
「えっと……牡丹さん達が付いてきてくれるのは嬉しいんですけど
私自身が……お金持ってなくて……
それにどうやってお金を稼ぐかわからないんです……」
もちろん、それだけでは楓の困っているのは服
それに下着など、身の回りの品がこの『一江の月』にはない
ただ、それよりも生活よるためのお金がないのが一番の問題
「……んー私もね、この宿代で無一文だし……
やっぱり『あれ』しかないよね」
「あれ?」
「護衛のお仕事か、それとも野党とかそういうの倒すお仕事」
『どっちも人相手じゃないの!?』
と突っ込もうとした楓は心の中で一人突っ込みを入れた時
雪花は牡丹に詰め寄る
「それどっちも楓には厳しいでしょ、やるならあんた1人でやれば?」
「もちろん1人でもできるけど……それぐらいしか短期でも稼ぐ方法はないよ?
それとも楓ちゃんが何ヶ月、何年かけて刀集めをすると言うのなら
その辺の定食屋なりで住み込みでもいいけど……」
「それはちょっと……」
「そもそも……そんな簡単にお金を稼げたら苦労なんて……」
そこまで牡丹が話をした時、今まで無言だった春菊が明らかに
何かを思いついたように3人に近づき……話かける
「……簡単な方法があるわよ」
「え?」
3人はほぼ同時に春菊の方を見ると春菊は笑顔で3人に言う
「賭け勝負をすればいいのよ」
「賭け勝負?」
「だから……楓ちゃんお金ないんだけど……」
「……別にお金無くてもできるじゃない、『体』があるんだし」
「まさか……春菊……あんた……」
「あら、雪花と牡丹は察しが付いたようね」
『賭け勝負』と言う言葉にキョトンとした楓を他所に
春菊の言いたい事に気付いた雪花と牡丹は楓の顔を見ながら困った顔をしていた




