一時間目【デス・アンケート】Ⅰ
奥田啓は、生まれながらのギャンブラーとしての素質があった。
啓は、嘘をつくのが当たり前で、嘘をつくのが人生だった。
しかし、《そいつ》が現れて啓は、思った。
(俺の嘘は、この未知の敵にどのくらい通じるのか試したい!!)
実際啓は、坂元先生が殺された時も他の5人が殺された時も内心は、そのスリル感を楽しんでいた。
年齢を偽って、初めて、ギャンブル場に入った時以上の気持ちの高ぶりだった。
しかし、《そいつ》のターゲットが自分になった時、啓は、気付いた。
自分は、いいように踊らされた挙げ句、最後に全て持っていかれる……ギャンブラーの負け犬だと……。
『先生悲しいよ……奥田啓くん。君は、正直者だと思ってたのにな…… 嘘つき者は、このクラスに要らないよ…… レッツ死刑!!!』
(最後まで嘘まみれの人生だったな…… だがギャンブラーとして死ぬんだ! 後悔は、ない……)
『プシュッ』
啓は、倒れた。
倒れても尚、怖い先生の授業中寝て、スリル感を楽しんでいる生徒にしかみえなかった。
啓は、倒れてもギャンブラーだった。
午前9時10分
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午前8時55分
『では、さっそく【デス・アンケート】の説明をしていきまーす!』
「ちょっと待て! 【デス・アンケート】って何だよ!! 聞くからに危険いっぱいじゃねーか!」
厚也は、聞いても《そいつ》は、まともに答えてくれないと分かっていた。
それでも、危険な授業を少しでも短くするために、時間稼ぎという手段をとった。
もしかしたら、自分をからかってくるかもしれない……という僅かな希望にかけて。
それが、今、厚也にできる最善策だった。
『では、例題をしながら説明していきましょう!』
《そいつ》は、厚也の言葉を完璧にスルーした。
厚也は、気付いた。
自分の浅知恵では、どうにもならない……
勝てるはずのない敵に、やみくもに突っ込んで行く愚か者……
それが、今の厚也そのものだった。
『では、学級委員の二人に例題をやってよもらいましょう!!』
《使いの者》は、愛斗と花音に〈白い機械〉、〈紙〉、〈ペン〉の3つを配った。
『まず、その〈白い機械〉の中心のボタンを押してみて!!』
愛斗と花音は、学級委員として他の生徒に不安を与えないように、堂々とボタンを押した。
『ポチッ』
『シュルシュル〜カチッ』
〈白い機械〉のボタンを押した瞬間……突然、愛斗と花音の腕に〈白い機械〉が巻き付いた。
(な、何だよ、これ!!)
これは、《そいつ》の罠じゃないのか……
愛斗は、溢れんばかりの不安を内心、感じていた。
その、不安を他の生徒に与えない様に、落ち着いた表情で席に座っていた。
『さすがだね〜、〈白い機械〉に巻き付かれて不安一つ表情に出ていない。さすが学級委員の二人だね! でも、内心は、不安でいっぱいなんじゃないの〜?』
「あなたのその言動には、惑わされないわよ……」
先程の10分休憩では、隼牙が無反応だっただけで怒っていた花音だったが、驚くほどの落ち着きをみせていた。
「そうだ…… こんな、機械に巻き付かれただけで不安でになるわけないだろ!」
愛斗は、内心から溢れ出てくる不安を誤魔化すかの様に、思っていることと逆の事を言った。
『ちぇ、君たち二人は、面白くないよ…… まあ、いいや! 時間が勿体ないから、早速例題をしていきましょう!』
ごくりっ……
愛斗は、隣の席のレミや松井隆が聞こえるくらいの音の大きさで唾を飲み込んだ。
どんな、例題が来ても不安を内心に抑えておくための愛斗なりの下準備だった。
『【例題】 好きな人の名前を紙に書いてください。 では、二人とも早く書いてくださーい!!』
「へっ?」
愛斗は、思わず声をあげた。
もっと残酷な例題がくると思っていたからだ。
「こんな、問題簡た……あれ、どうした花音?」
拍子抜けの問題に安心していた愛斗だったが花音は、違った……。
顔が完熟したトマト並みに、真っ赤になっていた。
「書けないわ……こんなの……」
愛斗は、落ち着いてもう一回考えてみた。
(はっ、そうか! こんなの書いたら公開告白するのと同じじゃねーか!)
ようやく、《そいつ》の悪魔的な作戦を理解した愛斗も動揺し始めた。
『早く書いてください! 例題だけど遅すぎたら…… レッツ死刑だよー!』
愛斗は無理やり、口パクで花音に作戦を伝えた。
(お、た、が、い、の、な、ま、え、か、こ、う)
その、口パクをみて花音は、完熟トマトから普通の表情に戻った。
「はい、書き終わりましたね! 結果を見てみましょう!! 」
【例題結果発表】
・愛斗は、花音が好き
・花音は、愛斗が好き
『はい、二人とも嘘だね〜!』
愛斗と花音は、思わず顔を見合わせた。
口パク作戦は、《そいつ》に見えないようにうまくやったつもりだった。
さすがの花音も動揺を隠しきれなかった。
「何故、分かったの? 」
『簡単だよ? だって、君たちが腕に巻き付けているの嘘発見器だから!』
《そいつ》は、モニター越しに胸を張って、自慢気に言った。
『でも、よかったね〜! 二人共!これが本番だったら君たち…… 毒針で死んでいたよ!!』
「どういう、事だ?」
愛斗は、動揺している花音に変わって《そいつ》に訪ねた。
『つまりね…… この【デス・アンケート】は、嘘つき者は、その嘘発見器についている毒針で死刑になるんだよ?っていう授業なんだ!!』
《そいつ》が説明が終わると突然奥田啓が立ち上がった。
「ふっはははは、何だ、それ面白いなぁ」
奥田 啓は、普段の授業では得られない、スリル感に興奮していた。
ギャンブラーとしての本質が、隠しきれなかったのだろう。
『そんなに、喜んでくれるとは思わなかったよ! 先生嬉しいよ!! 奥田 啓くん!!』
『ポチッ』
『シュルシュル〜カチッ』
啓は、《そいつ》に指示される前に〈白い機械〉を腕に巻き付けた。
「さぁ、早く始めようぜ!授業を……」
啓は、完璧にギャンブラー魂に火がつき周りが見えなくなっていた。
「啓!! これは、遊びじゃないんだぞ!」
愛斗は、啓の自分勝手な行動が許せなかった。
「うるせぇよ! 黙ってろよ…… 」
啓は、頑固ジジイの様に、愛斗の言葉に耳を傾けなかった。
『ケンカは、やめようよ! 先生悲しいよ…… もう、しょうがないから【一問目】は、啓くんに答えてもらおうかな?』
「ははっ、いいねぇ!」
『【一問目】奥田 啓は、生まれながらのギャンブラーの素質がありますが……実は、嘘をつくのが嫌いだ。 さあ、早く答えて啓くーん!』
啓は、その問題を聞いた瞬間……生きることを諦めた。
「そんな、甘くねえってことか……」
『ぷふっw 書き終わったようだね! それでは、結果を見てみましょう!!』
【一問目結果発表】
俺は、嘘をつくのが人生だ!
嘘をつくのが嫌いな分けがない!!
『はい、嘘だね〜!』
啓は、静かに目を閉じた。
『先生悲しいよ…… 奥田啓くん。君は、正直者だと思ってたのにな…… 嘘つき者は、このクラスに要らないよ……レッツ死刑!!!』
『プシュッ』
啓は、倒れた。
『では、啓くんも死んだことだし……何故、啓くんが嘘をつくのが嫌いなのか話そうか…… それはね、嘘じゃ人は、本当に救えないからだそうだよ!』
《そいつ》は、倒れている啓の方を見て説明口調でそう言った。
『詳しくは、話せないけどね……では、【二問目】にいこうか!!』
愛斗は、頭を抱えた……
(この危機的状況では、俺は、何もできないのか……)
上手くやれば……啓を止めることができたのではないか?……と。
愛斗は、ふと思った…… ホームルームで厚也を止めてくれた隼牙なら…… この状況をどうにかしてくれるんじゃないか……と。
愛斗は、端の席の隼牙の方をみた。
一瞬目があった……
そして、隼牙は口パクでこう言ってきた……
(お、ま、え、は、ゆ、る、さ、な、い)
その瞬間……愛斗の中で何かが目覚めた。
真夜中よりも、もっと暗い……
言葉では、表すことができない……
邪悪で真っ暗な、何かが……
評価だけでも良いんでよろしくお願いします!
できれば、感想やアドバイスもください!!