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10分間休憩Ⅰ

 


『じゃ、また、一時間目に会おうね』


  《そいつ》の、その言葉に生徒のほとんどが恐怖を感じていた。


  《そいつ》の理解不能な行動で殺された坂本先生と5人の生徒、その事から、いつ自分が殺されても、おかしくないという恐怖。


  《そいつ》は、ホームルームの少ない時間で2つの恐怖を植え付けた。


  恐怖は、人の人格を変える種になるという事を隼牙は、知っていた。


  その証拠に、普段バカな行動ばかりするが基本温厚な品田(しなだ)厚也も、クラスメートと先生を殺された恐怖と怒りで、《そいつ》のまいた無視をするという単純なワナに引っ掛かり、《使いの者》を殴ろうとした。


  普段の厚也なら、無視をされたぐらいじゃ怒らない……怒るどころか無視をされたショックでしゃがみ込むくらいだ。


  しかも、普通なら《そいつ》に対して、何かしらの仕返しをするのが妥当なのに《使いの者》を殴るという選択をした。


  厚也は、《使いの者》を殴りかかる前に「せめて、あいつらのために一発は、殴ってやるっ」と言った。


  この判断は、間違っている。

  「あいつらのために」と言っているが《使いの者》を一発殴っただけでは、はっきり言って自己満足だ。


  厚也がその事で死刑になるのは、無駄死だと思った隼牙は、殴ってでも止めるという、あの場では、

 これ以上ないくらいの最善の策を実行した。


  しかし、隼牙は、1つのミスを犯してしまった。


  目立ち過ぎるという、最大のミスを……


 ********


  愛斗は、隼牙に殴られて倒れている厚也の元に行った。


  隼牙の一発が強かったらしく、厚也は、俯いていた。


  「厚也、大丈夫か?」


  「あぁ、大丈夫だ。隼牙のやつ、普段無口で目立たないのに……中々、いいパンチするんだな……」


  厚也は、少し暗い表情だった。


  「隼牙の行動力には、驚くよ……そんな暗い表情しないでさ、隼牙にお礼言っとこうぜ!」


  愛斗も大事な友達厚也を止めることができなかった事から表情が少し暗かった。


  それを感じた厚也は、

  「はっはっはっ」

  と突然笑い出した。


  「どうしたんだ!? 急に!?」

 

  愛斗は、びっくりして尋ねた。


  「いやいや、俺もお前も暗い雰囲気だったらさ、お礼言われる隼牙も良い気しないだろ? それに、もっと教室の雰囲気が暗くなるのは、ごめんだから……笑うしかねーじゃん?」


  「はっはっ、そうだな。お礼言うときくらいは、笑顔で言わなきゃな」


  愛斗と厚也は、お互いの負の感情を一時的に笑うという行為で取り除いた。


  そして、教室の端の席にいる隼牙の席に向かった。


  そこで、初めて気づいた。


  愛斗と厚也は、自分たちの問題の解決をしていたため気づかなかった。


  どうやら、花音と隼牙揉めている様だった。


  「隼牙くん? 私は、クラスの学級委員として、さっきの品田厚也を止めた行動を誉めているのよ? なんで、反応しないの?」


「・・・・」

 

 どうやら、花音が隼牙を誉めているのに隼牙が無反応だから、花音が怒ったらしい。

 因みに男子の学級委員は、愛斗だ。


  「また、無視した! もう、我慢の限界!!! 前からね、言おうと思ってたけど隼牙くんは……」


  『ガタッ』


  「あんた、うるさぃ……」


  隼牙は、突然立ち上がり、一言言って、花音、そして愛斗と厚也の横を通り過ぎて行った。


  「ただ、誉めたかっただけなのに……」


  「しょうがないよ、隼牙くん無口だから!」


  「別に、河下冷! あんたなんかのフォローが無くても分かってるわよ、いちいち言わないでくれる?」


  フォローしたつもりが、冷は、かえって、花音を怒らしてしまった。


  「なんか、お礼を言うタイミング無くしたな……」


  「だな……」


  少し離れた所から、見ていた愛斗と厚也は、完全に隼牙にお礼を言うタイミングを逃してしまった。


  ********


  隼牙は、花音との揉め事を回避した後、男子トイレに向かった。


 隼牙は、おそらく誰も使っていない、別館のトイレに向かっていた。


  そこで、《使いの者》に絡まれている、岸田レミの姿があった。


  『何? 逃げようとしてるの? なら、死刑になるよ? いいの? 死刑だよ? 死刑!』


  《使いの者》が持っている小型モニターに《そいつ》の姿がみられた。


  「もう、嫌なの! 人が死んでいく所なんてもう見たくないよ……うっうっうっ」


  どうやら、ホームルームでの事が相当ショックだったらしい。


  『なら、死刑だ、できの悪い生徒を持って僕は、悲しいよ……じゃあ、さようなら岸田レミさん』


  《使いの者》が岸田レミをナイフで殺そうと瞬間……


  『シュっ』


  『パシッ』


  隼牙は、《使いの者》の腕を掴み、何か特殊な技法で3メートル後方に吹き飛ばした。


  もう1人の《使いの者》が持っている小型モニターから、その様子を見ていた、《そいつ》は不満そうだった。


  『君も逃げるのかい? 先生は、本当に悲しいよ……神風隼牙くん、少し腕に自信があるようだけど、この学校には、100人の《使いの者》がいるから……逃げるのは、不可能だよ!!』


  「ニセ先生が何言ってんの? 俺と岸田は、今から別館のトイレに行くんだけど……」


  『あれれ〜、トイレなら、3-Aの教室の近くにあったよねー。しかも、男女一緒に行くのかな〜。おかしいなぁー死刑は、免れないよ♪』


  「何言ってんの? 別にどこのトイレを使うとかの指定をあんたは、言ってないよね?」


  『ぐぬぬぬ』


  「それに、俺とレミは、こういう関係だから……」


  隼牙は、泣いているレミを抱き締めた。


  『くそー! くそー! くそー!  完全に一本とられたよー♪ まあ、いいや、ふぅん隼牙くんとレミくん付き合ってたんだね! 先生応援するよ〜♪ イヤーいい情報が手に入ったよ♪ えへへへ♪』


  「失せろ……」


  『ごめんごめん、邪魔しちゃ悪いから、撤収ー! みんな撤収ー!』


  2人の《使いの者》は、その合図でその場から姿を消した。


  「悪いな……変な事になってしまって……」


  隼牙は、《そいつ》にレミと付き合っているという嘘を、いいように使われるかもしれないという、罪悪感があった。


  「そんなの、いいよ! ありがとうね。隼牙くんって、、思ってたより優しくて頼りなる人なんだね!」


  レミは、隼牙に笑顔で言った。


  「そろそろ、教室に戻った方がいいぞ……

 1時間目が始まるからな」


  「隼牙くんは、戻らないの?」


  「トイレに行ったらすぐ戻る……」


  「分かった! また、後でね」


  「あぁ……」


  隼牙は、レミが別館から姿を消した直後、トイレには、行かず、その場にしゃがみこんだ。


  (俺は、岸田とあいつを重ねているのか……)


  「くそっ」


  (いくら、岸田があいつに似てるからって情けないな俺は……)


  (常に冷静にならないとな……)


  隼牙は、立ち上がり教室に戻った。


  隼牙が教室に戻ると、隼牙以外の生徒は、既に席に座っていた。


  席に座るまでの間、レミは、笑顔で、花音は、苛立った顔で 隼牙を見ていた。


  隼牙は、どちらにも見向きもせず自分の席に座った。


  『キンコーンカーンコーン』


  10分休憩終了チャイムが鳴った。


  このチャイムは、同時に恐怖の1時間目の始まりのチャイムでもあった。


  『では、学級委員の愛斗くん。挨拶よろしく!』


  「気をつけ、礼」


  「「よろしくお願いします!」」


  声が小さいのが理由の死刑を避けるため生徒たちは、いつもの学校以上の声の大きさで始まりの挨拶をした。


  『いい挨拶だねぇ、先生は、嬉しいよ。では、さっそく1時間目の【デス・アンケート】に入っていきまーす』


 


 


 


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