はじまりⅡ
名声学園。
全校生徒450人のこの学校は、全国でもそこそこ有名な進学校だ。
有名な大学の合格者は、ほぼこの学校の生徒と言ってもいいくらいの、優秀な生徒が揃っている。
優秀だからと言って、普通の高校生とあまり変わりない。
朝は、生徒同士で和気あいあいとした雰囲気がいつもみられる。
しかし、今日は、明らかに静かすぎる。
俺は、厚也と教室に行くまでの間、校門の近くで会った、隼牙以外、誰にも会っていない。
(何だ……他のクラスの奴らが誰1人としていない……変だ……なにかあるのか?)
その疑問は、確信に変わった。1年、2年の教室に誰1人としていない。
さらに、3年も3-Aの教室以外、誰1人としていなかった。
「おい! 厚也! 何か、今日の学校変だぞ……3-Aの教室以外誰もいねーぞ!」
「うーん、3-Aの友情を深めるイベントでもあるんじゃないか? とにかく、教室の目の前なんだから入ろうぜ!!」
俺は、厚也の返答だけでは、納得出来なかった。
しかし、家に帰ることで先生に怒られて評価が下がるのは、嫌だから教室に入ることにした。
『 シュルシュルシュル』
教室に入ったら既に先生の坂本がいた。
「君たち、遅いぞ! 5分前集合といつも言ってるだろう」
「「すいません!!」」
俺と厚也は、声を揃えて謝った。
「まあ、いい! 次から気をつけるように! 早く自分の席に行け!」
「おはよう、愛斗。災難だったね」
自分の席に着いたら、俺の左隣りの岸田レミが話し掛けてきた。
「お、おう。おはよう、レミ」
「愛斗が遅れるなんて珍しいね、何かあったの?」
「うーん、ちょっと気になることがあって足取りが重くなったんだ……」
「何、何?」
「なんかさ……」
「君たち! うるさいぞ!!! 今から、なぜ、今日学校に来てもらったか説明するんだから、静かにしろ!」
俺とレミの話し声が坂本先生の耳に入ったらしく、俺たちの話しを途中で遮られるような形で怒られた。
「「すいません!!」」
俺とレミは、声を揃えて謝った。
(本日2回目の「すいません」か……反省しよ)
「ふっふっふっ」
俺が軽く落ち込んでいたら2つ後ろの席で、厚也が笑っていることに俺は、気づいた。
しかし、 後ろは振り向かず、坂本先生の話しを聞くことにした。
「ふぅ、じゃあ、今日みんなに来てもらった理由を話そう」
俺は、妙な緊張感を持ちながら、話しを聞いていた。
「実は……」
『バンっっっっつつつ』
「ぐふぁあ」
一発の銃声の音と共に、教卓の前で坂本先生が倒れた。
「「きゃぁーーぁああ」」
「「うわぁぁあああ」」
その倒れた坂本先生を見て、男女共に悲鳴をあげた。
(何なんだ……何が起こってるんだ……)
俺は、目の前で起こっている、とんでもない状況に冷静さを失い、1番端の席でただ1人、冷静な顔でいた隼牙に気づかなかった。
「始まったか……」
隼牙は、小声でそう言った。