前夜
『ぷるぷる、ぷるぷる』
4月26日、土曜日、午前7時30分。
俺は、携帯の着信音で目が覚めた。
昨日の夜、夜更かししていたため、この時間の起床は、あまり喜ばしいものでは、なかった。
「はい、もしもしー?」
俺は、不機嫌そうな声で言った。
「おう、愛斗! おはよう! 朝早くから悪いな!」
「厚也さぁ、朝から、そのハイテンションやめてくれないか? 俺、昨日、夜更かしして……まぁ、いいや。で、用件は、何?」
俺は、一刻も早く二度寝するために用件だけ聞いて、すぐ電話を終わらせることにした。
「素っ気ないぞ! 親友! せっかく、モーニングコールしてあげたのに!」
(いや、誰も頼んでないよ? ……いいから早く用件を言え)
「分かるぞ! 分かるぞ、愛斗! 今、内心、だるい奴だなって思ってるだろう! だけど俺は、気にしないー! 気にしないー!」
厚也は、別に煽っているつもりは、ないのかもしれないが、俺は、眠さが限界を越えているため少し強めに言った。
「いいから、早く! 用件を! 言え!」
「そんな怒るなって、んじゃ、用件言うぞ!明日の8時30分に3-Aの教室に集合しろ! だってさ!」
「りょーかい、おやすみ……」
『ぷちっ』
俺は、電話を強引に終わらして再び眠りについた。
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その日の晩、俺は、冷静に考えてみた。
なぜ、日曜日に学校に行かなければならないか?
何かあったのか? 何かあるのか? 厚也の俺に対するドッキリか?
色々、考えてみたが、さっぱり分からない……。
俺は、考えるのをやめて、明日の学校に備えて早く寝ることにした。