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ふじぱん短編集

こげんた

作者: ふじぱん

内容上、警告はいれます。

ですが、知らない人は是非読んでほしいです。


これは一部を除いてノンフィクションです。本当にあった哀しい話です。



ボクを世間様は捨て猫というらしい。

捨て猫仲間がそういっていた。


「いい人間に拾われれば幸せになれるけど、牢屋に捕まったら殺されるからおめぇも気をつけろよ」


猫の集会でたまたま隣にいたおじさん猫がそういった。


「牢屋?」


「俺ら捨て猫は人間の残飯で生を繋いでいるものがほとんどだろ? 人間は散らかさられるのを嫌うからな。俺ら猫や犬を廃除する人もいるんだよ」


「でもご飯食べないとボクらは生きていけないよ…」


「うん、だがな。人間っていうのは自分たちの事しか考えてないんだよ。お前は小さいからよく知らないだけだけどな」


「うーーん…」


「だけどお前はまだ小さいから運がよければいい人間に拾ってもらえるかもな…」


「人間に拾ってもらえると幸せなの?」


「お前に好意を持って拾ってくれるんだ。おいしいご飯だってくれるし、幸せに違いないさ」


「幸せってなに?」


「うれしいことさ」


「うれしいこと? そしたら人間に拾われたいなぁ…」


「まさにそれが町猫の勝者だな…。ご飯は常に確保できるし」


「毎日ご飯を探さなくていいの?」


おじさん猫は頷いた。




ボクは集会が終わりトボトボと町を歩いていた。

今日のご飯はどうしよう…。

昨日まで行ってたご飯が落ちているところは怖い人間がいるし…。

昨日、ボクがいつものようにビニールをやぶってご飯を食べようとしたら、怖い顔をした人間に棒で叩かれそうになったんだよね。

もう、怖くてあそこには近づけないよ…。




人間の男がボクに近づいて来た。


「おいで、おいで」


ボク?

ボクは人間に近寄っていった。

これはおじさん猫の言ったチャンスかもしれない…。

ボクは人間に気に入られようと甘い声をだした。


「にゃあ〜」



人間はボクを抱き抱える。

温かい…。

人間は、ボクを抱き抱えて人間の住む家に連れていった。




ここは夜に吹く寒い風もないし、冷たい雨も降らない。

人間っていいな…。

そんな事を思っていたら人間は猫缶をボクに与えてくれた。

ご飯!!

ボクはその猫缶をぱくぱくと食べる。

おいしい…。

これが人間に拾われるって事なんだね。

ボクは人間に拾われたんだ。

ボクは幸せになれるんだ。

ボクはご飯を食べ終わると人間が戻って来た。


カシャ!


いきなり眩しい光を浴びせられた。

びっくりした…。

でも、人間は笑っている。

この人間が優しい人間なんだね。

ボクは幸せになれるんだね。








2002年5月6日


2ちゃんねるのカテゴリ動物嫌い(現ペット苦手)版に一つのスレッドがたった。


『おい、おまえら』


そんな名前のスレッドだった。


そこにディルレヴアンガーと名乗る男が書き込みをした。


『猫祭りをする。いいキャリアを捕まえた』


『背中が黒で腹は白。重さは4キログラムほど…』


やがてそこの書き込みに一枚の画像が貼られる。


バスタブに猫缶を食べて満足げに見上げた小猫が写されていた。





いたい!

やめてよ!

いたいよ!

なんでボクがいたいの!

人間はボクをヒモで吊した。


人間はまた、カシャっと光りをたいて向こうにいってしまった。


ねぇ、これが幸せなの?

これがうれしいことなの?

いたいよ!

おかあさん…。

助けて………。







『尻尾と足、どれからいく?』



ネットで虐待方法が相談された。

そして先ほどの小猫がヒモで吊された画像が公開された。





ボクが血だらけで吊されている…。

すごく怖かった…。

すごく痛かった…。

すごく悔しかった…。

すごく苦しかったよ、おかあさん…。




人間はボクの身体に紙を張り付けた。


『僕は敗北者主義』


人間は気持ち悪い顔をして笑ってそれをボクに張り付けたのだ。


ねぇ…。

ボク、何かした?

こんなに怖い想い、痛い想い、苦しい想いしなきゃいけないこと…。

ボクは…、何をしたの?

誰か教えて…。




スレッドには合計7枚の写真が貼られた。

最後の一枚には、小猫の死体とわけのわからないメッセージがつけられていたのだった。




その行為は4時間にも及んだという。



『ペットが嫌いじゃなく、愛誤(動物愛護団体だと推察)がきらい』



『掃除するのが大変』



『警察に知り合いいるから平気だし』



『首なんか切ってないよ。硬くて切れない』



『つうか、俺の名前かっこいいだろ? 正義のヒーローディルレヴアンガー』



『私が〆なくても車でプレスされていたでしょうな。痛くて苦しかったのは当然でしょうが、相手は猫ですからね。そんなものはわかりません』



『こいつガキだな(w そんなに早く逮捕されるわけないだろ。コ ナ ン の み す ぎ(藁』



『意外だったのはあまり面白くなかったことですね。ここで皆さんの反応を見るほうが楽しかったです』



『あなたも怒りで震えてますね』



☆ここで抜粋した『』はディルレヴアンガーが実際に書き込んだ内容です。




これは数年前実際にあったノンフィクションです。


やがてこれは大きな問題となり当時27歳だった男が逮捕され、懲役3ヶ月、執行猶予3年とあまりにも短い刑を求刑された。



なお、同板では現在ではほとんど認知されていないがこの事件以前にも動物虐待と思わしき画像が幾度もあると証言がある。


この逮捕の背景には、インターネット上で波紋をよんだからだ。


数日中に2ちゃんねらーによってログ解析、写真分析が行われ、通報が殺到。


ついに男は福岡県警により書類送検される。


この際、男は猫を逃がしたと供述。


事件を知った人々により写真が調べられ、問題の猫が生きていたとは思われない理由により犯人への不信感が爆発した。



ついには刑事追訴を求める署名運動が起こされ、同時に犯人の個人情報がインターネット上のさまざまな場所で公開される「逮捕祭」が勃発し、同事件を追求するウェブサイトが乱立した。



この男は動物愛護法違反で求刑されたのだが、すでに個人情報が不特定多数によって公開されたことなどによりすでに社会的制裁を受けたとし、減刑措置が取られた。



なお、男は動物愛護管理法の罰則強化を知らずに当時吹聴されていた旧法規定「3万以下の罰金」と思い込んでいたようだ。






人間の作った法律は、人間にのみ適用される。


もしこれが人間に置き換えたら犯人は処刑クラスの刑罰を求刑される。


だが、被害者は小猫であった。


これが私たちが住む日本の現状である。


この話は、有名なので知っている方は知っているだろう。


だがそんな人ももう一度考えてほしい。


命の尊さは人間とその他の生物は違うのかと。


私は捕鯨反対運動を批判はしても、この事件は嫌悪する。





その後、この小猫は「こげんた」と改名。


今はたくさんの人たちから温かい愛に包まれている。


皆の署名活動が実り、犯人は異例の逮捕。


有罪となった。






END


この事件を知ったのが恥ずかしながらたった今から4時間前です。


それで何もしないよりは…、と思いこの場にて自分の想いをぶつけさせていただきました。


雑文お読みいただいてありがとうございます。


私なりの問題提起ではありますが、何かを感じていただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] お久しぶりです。恐れながら、過激な意見を書き込ませて頂きます。 僕も動物虐待には反対です。同じように、ペットショップで動物を売買する現行システムにも反対です。猫はそれなりに思考できる動物でし…
[一言]  どうも、アルルです。この作品は、難しい物ですね。果たして評価というものを差し上げて良いものやら。随分悩みましたが、先生の考えに同意する旨をお伝えすべく、また、一人でも多くの人たちがこういっ…
[一言]  感想で失礼します。今はネットカフェでこの書き込みをしているので、評価は19日に差し上げようと思います。  僕は先生に評価依頼をさせて頂きましたので、先に先生の、短めの物を読ませて頂きました…
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