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二人  作者: 佐々木 英治


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11/11

 11・ケインへの手紙

 11・ケインへの手紙


 


ケイン・フォーレン様。アリア・ランドールです。その節はありがとうございました。


先日、「彼」を私の目の前で射殺した女性が出頭してきたと、警察から連絡がありました。

彼女は、私と同じように結婚詐欺に遭い、彼に恨みを抱いていたそうです。偶然あの日、街角で見つけてしまって、発作的に引き金を引いたとのこと。

初犯だし、酌量の余地が多いとのことで、終身刑にはならないようです。

彼女と、もちろん彼の名前も、その時初めて教えられました。もっとも、これはケイン様には興味のないことでしょう。


重要なのは、彼が、結婚詐欺の常習犯だったことです。前科はないものの、余罪は多いと聞きました。

私とよく趣味が合う人だと思っていたら、当然でした。彼はもともと、私のことを調べて、知っていたのです。

私は以前、お見合い仲介センターに登録していたことがありました。その時のプロフィールに、私の趣味などは全て書かれていたのですから。

おそらく父や叔父の遺産が入った時に、目をつけられていたのでしょう。自分でも、馬鹿さ加減に呆れます。


そうそう、被害にあった女性はほとんど全員、財産を全て盗られたそうです。この点、私は幸運でした。ケイン様の対処が早かったおかげで、財産の3割程度は回収できる見通しです。後は裁判になりますが、やはり、こちらはあまり期待できないとのこと。他の被害者の方も多いので、私は降りることにしました。


苦しかったのは、まず、物質的な面でした。家の権利も人手に渡り、立ち退くことになって、しかも貯金は全て無くなっている。財産が戻ってくるまでに時間がかかる…私はケイン様の好意に甘えさせてもらう他に手立てはありませんでした。

そう、墓地でお会いしたあの時、貴方がくれた封筒です。

中にはかなりの金額の小切手と、「当方の不手際でご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」と書かれた役所からの手紙。私はそれだけの文章を、何度も何度も、読み返しました。


何度、読んで泣いたことでしょう。そして何度、読んで笑ったことでしょう。世の中には、例の「彼」のような人もいれば、ケイン様のような人もいるのだと、心底思いました。


精神的な面で、希望を持ち続けられていられたのは、貴方のおかげです。


本当に、なんとお礼を言ってよいかわかりません。

近いうちに、必ず、会いに行きますね。


それでは。


アリア・ランドール


 


END


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