プラネタリウムデート?
そして当日、俺は灰色のチノパンに黒のカッターシャツの服を着ていた。
これでもおしゃれをした方だけれども、道行くカップルを見てみるとみんな僕よりもおしゃれな人がたくさんいる。
そして芳山が現れて、芳山は白いフリルの付いたワンピースを着ている。
そんな芳山を見ていると、何か気持ちがドキッとした。
「チース、先輩、今日もキモいファッションしているんだね」
こいつ今思ったんだけれども、黙っていればかわいいのだけれどもな。
「じゃあ、先輩早速行きましょう」
そう言う事で俺と芳山はプラネタリウムに行く事になった。
今思ったんだけれども、これってデートなのじゃないかと思った。
早速プラネタリウムに到着して、芳山にチケットを一枚渡して、僕と芳山は館内に入って行った。
館内に入ると、天井が円くなっていて、思っていた通りの場所だった。
以前にも小学校の時、プラネタリウムに行った事がある。
「先輩、こう見えても私、星が好きなんすよ」
「僕も好きだよ」
「私は夏の大三角のデネブ、アルタイル、ベガ、が好きなんですよ」
「確かにそれは有名な星の名前だな」
「それに冬の大三角のプロキオン、シリウス、ベテルギウス、何て星も知っているんだ。冬の星座は一等星がたくさん輝くんですよ」
「良くそんな事を知っているな」
「な、何を言っているんすか?先輩のくせにそんな事も知らないなんて無知にも程がありますよ」
お前に言われたくないと言いたいところだが、僕にはそんな勇気なかった。
それにそんな事を言ってしまったら、せっかくのプラネタリウムが台無しになってしまう。
「それに先輩、秋に輝くフォーマルハウトって星はご存じですか?」
「いや知らないな、それよりも良く星の事を知っているね」
「私、星マニアですから、小さい頃から星が好きで一人で二時間も見ていた事があるんですよ」
「芳山さんは余程、星が好きなんだな。誘って良かったよ」
「何を言っているんですか?先輩、キモいですよ。もしかしてこれがデートだなんて思わないで下さいよ」
何かそう言われると、僕はちょっと立ち直れなかった。
「嘘ですよ。デートですよ。デートにして置いてあげますから、機嫌を直して下さいよ」
何か複雑な感じだな。俺は芳山の事が好きなのだろうか、自問してみると複雑な気持ちに陥って、頭がおかしくなってしまいそうになってくる。
そしてショーが始まったのか?館内が暗くなった。
「皆さんこんにちわ。当店のプラネタリウムにようこそいらっしゃいました」
館内のスタッフの人だろうか?アナウンスをする。続けて、
「今見える、星を見てみましょう」
すると芳山が言っていた。夏の大三角と共に東京で見える星が写し出された。
「これは今、私達がいる所から見える星です」
アナウンスする人が言う。
「それでこれが富士山からの星の景色です」
そう言ってプラネタリウムの天井は天の川が渡り、怖くなるほど凄い星に満ちていた。
凄い、いつか僕も富士山の山頂に行ってみたいと思ってしまった。
こっそりと芳山の方を見てみると、目をキラキラと輝かせて見ている。
本当に凄いこんな星空の下で、いつか来るだろう僕の彼女と見てみたいと思ってしまった。
彼女と言うと、隣を見て、芳山を見ると、こいつとはあり得ないと思っていた。
でも芳山の奴、いつも僕にいじってくるが、黙っているとかわいいんだよな。
プラネタリウムの天体ショーは本当に凄い物だった。
「先輩凄かったっすね、星の天体ショー、今度は一緒に私とガラスをちりばめた様な星空を見に行きましょうよ」
また僕を詰るつもりだな。だから僕は黙っていた。
「あー先輩私と天体ショーの様な物を見に行こうと思ったの嘘でまた詰られると思ったんでしょ」
こいつはエスパーか本当にその通りであり、僕は何も言えなかった。
「私は本気ですよ。先輩私と付き合って下さい」
このアマ本当に僕の事を詰るのがそんなに面白いかと思って、黙っていた。
「先輩」
そう言って芳山は僕の腕を組んで来た。
「ちょっと芳山さん・・・」
「今日は本当に楽しかったですよ。さっきも言ったけれど、本当に富士山の山頂から見えるような星空を一緒に見に行きましょうよ」
「また、僕の事を詰るつもりで言っているんでしょ。またキモいとかそんな事を言ってくるんでしょ」
「先輩酷い、私はそんな事はしませんから、今日プラネタリウムに誘ってくれてありがとう」
そう言って芳山はいつもの嫌らしい笑顔ではなく本当にかわいらしい笑顔で僕に向かって言った。僕はそんな彼女の事を見て、本当に胸がドキドキしてきた。
すると芳山は僕の顔をジッと見つめて、またいつもの嫌らしい笑みをして。
「先輩顔が赤いですよ。本気で私とデート気分でいますよね」
やっぱりこいつはいつものこいつだ。
「デートだなんて思っていないよ。芳山さんはそうやって僕の事をいつも詰るのでしょ」
「だって、先輩詰るの楽しいんだもん」
やっぱりこいつはいつもの芳山だ。
そんな芳山を見て、本当にホッとしてしまうと言うか、何だろう、そんなこいつを見ていると本当にこいつの事を僕は好きなのだろうか?
いや仮にそんな事があったとしてもヘタレの僕をこいつは僕の事を好きになるはずがない。
僕の特技と言ったら、絵を描く事と、小説を書く事だ。
芳山の奴いつも僕の小説を見て詰ってくる。
でも僕の小説を本当にマジで見てくれるのは芳山だけなんじゃないかと思った。
まあ、ネット内では評判だが、実際に知っている人で見てくれているのはこいつだけなんだよな。
それに絵がうまくなりたいからと言って僕が所属する美術部にも入ってくれたんだよな。
美術部は僕一人だけだったのに。
それに美術部に入ったのは遊びではなさそうだし、以前も中間の試験を受けて学年十七番にまで上り詰めたし、本当に凄い奴だよな。
まあ、性格は悪いけれど、特に僕に対しては。
プラネタリウムは終わって、芳山は少し寄り道して帰ろうと言ってくれた。
こいつ僕みたいなヘタレといて何が楽しいのか分からないが、こいつ僕の手を取って町の方に行って、クレープを食べたり、アウトレットの店を何軒か見て、僕の事をキモいと言いながら、そんな僕の事を振り回すかの様に、街を歩いた。
そして日は暮れて、芳山は。
「先輩、今日は本当にキモかったっすよ」
ああ、そうかいそうかい、そんなにキモかったかよ。
「でも、先輩楽しかったっすよ」
嫌らしい笑みから何か本当に楽しかった様な感じで僕に言う。
そんな芳山を見ていると本当にこいつかわいい奴だと僕は思った。
「先輩、目を閉じて下さい」
またそれかよ。そうやって僕の事を詰って、また僕を欺くような事を言うのだろう。
僕は言われたとおり、それに嫌がらせをされる覚悟をして目を閉じた。
すると左頬に生暖かい感触がした。
目を開けて見ると、芳山は僕に頬にキスをしたのだった。
「ちょっと先輩、私が目を開けて良いと言うまで、目を閉じていてって言ったじゃないですか」
「そ、そんな、約束はしていないけれど」
「したって言ったじゃないですか」
そう言って芳山は僕の足に蹴りを入れるのであった。
「ちょっと痛いじゃないか」
すると珍しくいつもの芳山の嫌らしい笑みはそこにはなく、黙ってその大きな瞳で僕の事を見る。
しばらく見ていると、芳山は顔を真っ赤にして、「じゃあ先輩今日はありがとう」と言って逃げて行くように帰って行った。
何が何だか僕には全然意味が分からなかった。
僕は帰って夕食を妹の幸子と食べて、お風呂に入り、小説の続きを書いた。
それをネットに掲載させてなぜだろうか、明日が楽しみになってきた。
何だろうか?一年の時は学校が嫌いだったが、芳山と言う奴が現れて学校が好きになって来た。
学校もそう悪くはないと思っている。
芳山の奴は僕が柴田盟だと言うことをばらしたりはしない。そうされると、僕は学校で浮いた存在になりそうなのでそうされたくはない。
芳山は僕が小説家だと言うことを友達にも言っていない。
そんな事を思っていると、僕はアイパットに芳山の絵を描いていた。
僕を詰ろうとする芳山の嫌らしい笑みも良いかもしれないが、やはり芳山は素顔で笑うと本当にかわいい。あり得ないかもしれないが、僕の彼女になって欲しいと思っている。
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