絵を描く事に情熱を注ぐヨッシー
妹の食事も食べ終えて、お風呂に入っていると、妹の幸子が勝手に僕が入っているのに入ってきた。
「あれー、何でお兄ちゃんが先にお風呂に入っているの?」
「悪かったよ。もう出るから」
「罰としてうちの背中を流してよ」
「もうお前は六年生になるんだし、それにクラスの委員長をやっているんだろ。もう僕とお風呂に入ることは卒業しなさいよ」
「何を言っているのよ。お兄ちゃんはうちと結婚するんだから」
またその話かよ。僕はロリコンじゃないので妹の体を見て欲情はしてこない。でもヨッシーの裸を想像すると、頭がのぼせ上がる程の感じになってくる。
*
妹とお風呂に入り、出て僕は部屋で小説を書いていた。
小説を書いているとふつふつとアイディアが浮かんできて、書く意欲がわいてくる。
なぜ、そんな意欲がわいてくるのか、それは僕の小説を読んでくれる人がたくさんネットないにいるからだ。それに僕の小説は知っている人でヨッシーと妹の幸子が見ている。
そう思うとその期待に答えてあげたいと思って小説を書くのであった。
もし僕の小説を読んでくれる人がいなかったら、僕は書く気にはなれなかっただろう。
きっと今日もヨッシーは僕の小説を見て、絵を描いているのじゃないのかと思って小説を書いてネットにあげた。
それに、その相乗効果か?ヨッシーが僕の小説のシーンを乗せるとファンは喜んでくれるし、本当にヨッシーには世話になっている。
そろそろ寝ようと思って、時計を見ると午前一時を示している。
そう言う事で僕は寝ることにした。
*
そして次の日、僕は今日も楽しみにしていた。
とりあえず部活がなくなると言う話はあったが、今日もヨッシーに逢えることが楽しみで、僕は退屈な授業だが、しっかりと聞いて、今度の中間試験に立ち向かう覚悟でいた。
そんな退屈な授業も終わり、部室に行ってみると、ヨッシーの友達達がいて、そこにはヨッシーはいなかった。
「パイセン、あんたヨッシーに何を吹き込んだんだよ」
ゆっこが怒り気味に僕に問い詰める。いやゆっこだけでなくシーマも島さんも。
「ヨッシーに何かあったの?」
僕はヨッシーの事が恐ろしく心配になってしまった。
「それはこっちが聞いているんだよ。お前ヨッシーに何をしたんだよ」
シーマが。
「そうだよ。ヨッシーはアイパットを片手に意識を失ってしまったんだよ」
「それは本当か?」
ゆっこが。
「そうだよ。パイセンお前、ヨッシーに何を吹き込んだんだよ」
僕はとりあえず落ち着いて、事情をみんなに説明した。
ゆっこが。
「何、一週間後の文化祭で美術部の部長とヨッシーが絵で勝負する事になって、それでヨッシーはアイパットに夢中になって意識が失うまでやっていたって事か」
「ああ、全部僕が悪いんだ。軽率だった。まさかヨッシーがそこまで絵にのめり込んでしまう何て」
「パイセン、ヨッシーは危ない所だったんだぞ、どう責任を取るつもりだよ。それにパイセン、お前ヨッシーの彼氏なんだろ!何とかしろよ」
「・・・」
僕は情けなくとも返す言葉も見つからなかった。「何とか言ったらどうなんだよ」
そう言ってゆっこは僕の胸元を掴み、拳を丸めて殴りつけてきた。
凄い痛いパンチだった。
でもヨッシーが意識を失うほど、絵に夢中になってしまったのは事実で僕の監督不行届だったと僕は思った。僕が部長の言葉に惑わさらなければこんな事にはならなかった。
島さんが。
「こいつやっちゃうよ」
やられて当然だと思って僕は膝をついて目を閉じた。
「僕をやる前に聞かせて欲しい」
「何だよ」
ゆっこは言う。
「ヨッシーは無事なんだな」
「ああ、危うく命に関わる事だったんだからな」
それを聞いて安心した。
三人は僕の事を思い切り殺すつもりでかかって来るのだろう。でもそんな事をされて仕方がないと僕は思っている。
僕をリンチする寸前にヨッシーの声が聞こえた。
「やめろ、三人とも」
ゆっこが。
「ヨッシー、お前どうして、こんな所に、お前は病院に運ばれたって聞いたが」
「今日、退院したよ。とにかく先輩をいじめるのはやめろ」
島さんが。
「ヨッシーはこいつが憎くないのかよ。あんたは命を落としそうになったんだと聞いたよ」
「確かに命を落としかけたよ。でも先輩のせいじゃない、全部私のせい何だよ。だから先輩を責めるのはやめろ」
するとゆっこは舌打ちをして僕の掴んだ胸元を離して僕は尻餅をついた。
「ヨッシーお前は命を失いかけたのだぞ、それで何でこんな奴の肩を持つんだよ」
「私はこの美術部を継続させるために、命をかけてもここを守る。そう私は一人で誓ったんだよ、だから先輩を責めるのだけはやめろ。こんなキモい先輩だけれども、私はこの先輩の所属する美術部に救われたんだよ。だから命をかけたって良い、だから私は描き続けるよ。どうやら私はサヴァン症候群みたいだからさ」
「何だよ。そのサヴァン症候群って?それに命をかけるほどの部なのかよヨッシーの部活は?」
「そうだよ。私は先輩に会って本当に良かった」
「分かったよ。ヨッシーがそう言うならあたし達にも協力させてくれ」
シーマと島さんは。
「分かったよ、協力する」「もちろんうちも」
そう言う事でまずは話し合いと言う事になり、僕達は一週間この美術部に泊まる事になった。
そんな事、先生達は許可は取らせてくれないと思うけれど、まあばれなきゃ大丈夫だ。
とにかく僕達は部長の絵に勝つために、ヨッシーに絵を描かせてあげて、僕とゆっこ達四人でヨッシーのフォローに回る事になった。
ヨッシーの絵に対する情熱と才能は本物だ。とにかくヨッシーに絵を描かせて僕は小説を書くことにする。
ゆっこが。
「これ、マジでパイセンが書いたの?マジで凄い面白いんだけれども」
するとヨッシーは。
「先輩の小説はキモいほど面白いよ。本当に頭の中で描いて、絵にするともっと楽しく思えるんだよ」
シーマは。
「ヨッシーの絵、マジでやばいよ、うち感動したよ。これって本当にヨッシーが描いた絵なの?」
島さんは。
「どうやら本当みたいだよ」
シーマはヨッシーが絵を描いている所を目の当たりにして驚いている。
朝になったら授業をちゃんと受けて、ヨッシーは絵に没頭して、僕は小説を書いて、ヨッシーの友達のゆっこ達は料理を作ってあげたりしている。
それにゆっこはガスコンロと鍋を持ってきた。
「ヨッシーにみんなインスタントラーメンが出来たよ」
描いている途中に満腹にするのは良くないので、でも少しでも腹を満たさなければならないと僕は思っている。
ヨッシーは描き出すと、夢中と言うより執着してしまうために、描いている時に肩を揺すったり、アイパットを取り上げると、怒り出すのだ。
だから僕は空腹になっても執着してしまうヨッシーに少しでも食べた方が良いと思って、怒られる覚悟でヨッシーが描いているアイパットを取り上げた。
「何をするんだよ。今良いところなのに!」
怒り出すヨッシー。
「とりあえず、落ち着いて、ゆっこがラーメンを作ってくれたから、それを食べようよ」
落ち着いてくれたヨッシーは。
「でも私お腹に何か入れると眠くなっちゃうんだよね」
「ヨッシー少しで良い、何か食べた方が良いよ」
そう言ってヨッシーにゆっこはラーメンを取り皿に入れお箸と共に渡した。
ずずずずずずずず、とヨッシーは食べるのも速く食べ終わったら僕が取り上げたアイパットを奪い、早速絵を描く事に専念する。
お腹を少し満たしたヨッシーは描くスピードが増した。
それにヨッシーはかなり痩せている。
たとえは悪いかもしれないが、以前のヨッシーが人参なら、今のヨッシーはゴボウである。
ゆっこは、
「凄い集中力だな、ヨッシー勉強の時もそうだったが、絵に執着するとこうなっちゃうのか?」
「ああ、これがサヴァン症候群と言うらしい」
「ヨッシーの目を見てみると、ギラッとした目をしている」
本当にゆっこの言うとおり、ヨッシーの目は絵を描くとき、ギラッとした目をしている。
僕も小説を描かなければいけない。
ヨッシーの絵は僕の小説を絵に描写している様な物だ。
僕も絵に描写しやすい文章で絵を描いている。
一日が経過して、ゆっこ達は自分たちもアイパットを買って、絵を描いている。
もちろん初心者の絵は僕から見てもヨッシーから見ても、下手くそだが、それでも何かにチャレンジすると言う事は大事な事なのかもしれない。千里の道も一歩からだと聞いている。
でもこの数日しか経っていないのにこれ程の絵を描いてしまうヨッシーには才能を超える何かを持っていたとは思わなかった。
まさか僕の絵を凌駕してしまうなんて思いもしなかった。
類に交われば赤くなると言う諺を聞いた事はあるだろうか?
ヨッシーが絵に没頭していると他の三人も絵に没頭している。
三人もサヴァン症候群になってしまったのか?
サヴァン症候群はコロナの様に感染してしまうのか?
でもゆっこも他の二人はお腹が空くとすぐに食べるのであった。
「あー腹減った」
ゆっこがそう言うとシーマも島さんも袋ラーメンを開けて食べて寝てしまう。
どうやらサヴァン症候群はコロナの様に感染はしないし、類に交わったって赤く染まる事はないみたいだ。
ヨッシーも描きながら眠ってしまっている。
どうやら自分でも気がつかぬうちに眠ってしまったのだろう。
ヨッシーの絵を見てみると、これはさすがに凄い物だと思った。
根本的には僕の小説の中に人物や景色だが、それはもう人を感銘させてしまうほどの絵だと僕は思った。
僕はヨッシーに嫉妬してしまった。僕もサヴァン症候群の様な特質になりたいが、それはまさに神様がくれるような才能の持ち主じゃなければいけないのかもしれない。
でも僕には小説がある。
ヨッシーもゆっこ達三人も眠ってしまったので、みんなに毛布を掛けてあげた。
学校に七日間いるなんて無茶も良いところなのかもしれない。
でも僕は楽しいと思っている。
文化祭まで後五日、他にも残って文化祭の準備をしているクラスもある。
時計は夜九時を回っている。
それなのに、生徒達はそれぞれ文化祭の準備をしている。
演劇部の前に行くと声が聞こえる。
本当にみんな頑張って演技の練習をしている。
クラスの中にはお化け屋敷の準備やクレープを作る準備や、メイド喫茶をする準備なんかに追われている。
後文化祭まで五日しかないんだよな。
頑張っているのは僕達だけじゃないんだよな。 話を聞いてみると、二週間前から学校に泊まって演劇に勤しんでいる人もいるみたいだ。
そんな話を聞いていると僕も頑張らなければいけない様な気がしてきた。
僕が今できる事は小説を書く事である。
僕の彼女でもある、頑張っているヨッシーに刺激的な面白い小説を書きたいと思って僕も頑張るしかないと思った。
そう言う事で、ゆっこ達が眠っている時に僕とヨッシーは頑張っている。
ヨッシーは絵を描き、僕は小説を書く、これ以外の方法はないと思っている。
僕も負けていられないと思って小説を書くのだ。それにみんな頑張っている。それに応援してくれる人達だっている。
時計が午後十一時を回った時、僕の携帯が鳴り出して着信画面を見てみると、妹からだった。
そう言えば色々と頭がヨッシーやゆっこ達や文化祭やこの部の廃部に迫っている事で頭がいっぱいで妹の事を忘れていた。
きっと怒られるかもしれない。
そう言う事で怒られる覚悟を決めて僕は携帯に出た。
「もしもし」
『もしもしじゃないよ。二日間も何をやっていたのよ。このバカ兄貴、何度も電話をしたのに出ないなんてどういう事よ、凄く心配したんだから』
「ごめん。こっちは学校で泊まりがけで文化祭の準備をしていたのだよ。それで電話をしている暇なんてなかったんだよ」
『また、あのヨッシーとかお兄ちゃんの彼女面している人が絡んでいるんでしょ』
「彼女面じゃなくて、僕の唯一の彼女だよ。確かに絡んでいるけれど、お前には関係のないことだよ」
『何よ。こっちは二日も帰って来ないから心配したのに、何よその態度は?』
「その事なら、いつでもお詫びはするよ。またお風呂入ってあげるから」
『そう言う問題じゃない』
「とにかく、後五日帰れないけれど」
『後、五日も帰って来ないの?何よ、お兄ちゃん。あのヨッシーとか言うお兄ちゃんの彼女といちゃいちゃ文化祭の催しをやっているのね』
「確かに、催しをやっているけれど、イチャイチャはしていないよ。とにかく後五日帰って来ないけれど、ちゃんと良い子にしているんだぞ、幸子」
『何よ。子供扱いしないでよ』
そう言って通話を切り、心の中で『ごめん幸子』と言っておいた。
携帯を切るとまた妹からしつこく電話が来るかもしれないので、通話の電源を切っておいた。
ヨッシーの方を見てみると、うとうととしながら、アイパットの画面に目をやっている。
いくらサヴァン症候群でも、これ以上は限界なのかもしれない。
「ヨッシー、今日はこれぐらいにして寝よ」
「先輩」
大した食事は出せないが、ヨッシーの為にカロリーメイトを買って置いて、ヨッシーに食べさせて、歯を磨かせて、運動部のシャワーを借りて、僕とヨッシーは眠りについた。
しばらくヨッシーの顔を見ていると、凄く可愛くて、いつもは生意気な事を言ってくるけれど、こんな面白い彼氏になれて僕は幸せである。
次の日も文化祭の準備で、授業を終えてすぐに美術部に行くと、ヨッシーはアイパットで絵を描いていた。さらにゆっこ達は、ヨッシーが描いた絵を、A3のコピー用紙に写して、美術部のあちらこちらに張っていった。
ヨッシーは僕が来たことに気がついていないが、ゆっこ達が、ヨッシーの絵を楽譜にはめて、飾っていた。
「どうすっか?パイセン、ヨッシーの絵、凄くうまくかけているし、あたし達のこのコピーも大した物でしょ」
「凄いね、ゆっこさん達」
シーマが。
「うちら、ヨッシーの友達だし、ヨッシーの彼氏の為にも色々とやってあげられるよ」
島さんが。
「とにかく、頑張ろうよ。その部長を凌駕するような絵を描こうよ」
「おう」
そう言って僕達四人は拳を同時に突き上げた。
そう言う事で僕は小説を書く事に没頭して、ヨッシーの絵をのぞき込んでみると、一発で昨日僕が書いたシーンを描写化している。
本当にヨッシーには敵わないな。
文化祭も後四日、それまでにこの美術部をヨッシーの絵でいっぱいにして僕とヨッシーの居場所を僕達が守るしかないと思っている。
出来れば評価をお願いします。




