生意気な後輩
次の日の放課後、今日も美術室で静物デッサンを描かないといけない。
美術室に入ると、昨日僕をなじって来たギャルの女の子がいた。
「先輩こんちわーっす」
「何なのだ、君は、用がないなら帰ってくれよ」
「先輩冷たい」
口をとがらせて言うギャル。
そう言って僕は静物デッサンに取り込む。
するとギャルはパイプ椅子を持って、
「先輩、私を描いてよ」
パイプ椅子に座り、僕の事をなめた様な感じで言う。
「僕は君を描くつもりはない」
「エー、先輩の描いたメモリーブラッドと言うメグちゃんのキャラクターを見て、先輩は凄いと思ったんですけれど、何?現実の女の子は無理で、小説家の空想の女の子は描けるんだ。うわっ凄いきもい」
僕はムカついて。
「じゃあ、描けば良いのだろ」
「あざーす先輩」
このギャルどうして僕にこんなに執着してくるのか分からない。
目の前にはギャルの女の子がパイプ椅子に座って黙っている。
こんな真正面から女の子を見るのは初めての事だった。
そして二十分が経過して、彼女のあたりの目星は付いた。
「先輩、ちゃんと描いて下さいよ」
そして彼女を描き上げてもう夕方になってしまった。
これには彼女も飽きてもうこの部屋には入って来ないだろう。
彼女を描き終えて、彼女を描いた絵を彼女に見せてやった。
「これが先輩の全力ですか?」
ニヤニヤと僕を小馬鹿にするような表情で言った。
「そうだよ、これが僕の全力だよ」
「本当に良く描けていますね」
このギャルに初めて素直に褒められた。
「モデルをして飽きただろ、もうこの美術室には入らないでくれ」
「そんな冷たい事を言わないの先輩」
またこの美術室に入り、僕をなじろうとするのだろうか?
するとギャルはテンションを高くして、
「ご褒美タイム」
「ご褒美って何?」
「ご褒美はご褒美ですよ、先輩」
「・・・」
「先輩目を閉じて下さい」
「どうして目を閉じなければいけないの?」
「良いから、目を閉じて下さい」
言われた通り目を閉じた。
すると彼女は僕の顎を指先ですくって、キスでもするのだろうか、ギャルの唇が迫って来るような気がした。
女子にこんな事をされるのは初めての事だった。
すると彼女は僕の鼻にデコピンを喰らわせて。
「何、期待していたんですか?先輩、こんな絵を描いてご褒美なんてなめているでしょ。ほらここをご覧なさい」
彼女は太ももあたりを指さして、
「ここ全然描けていないじゃないですか、本当になめているのですか?」
「仕方がないだろ」
「何が仕方ないのですか?私の太ももを見て発っちゃったんですか?」
「そんな事あるはずがないだろ」
下校時刻になり、この彼女と帰る場所が同じなんて嫌な偶然だ。
「まさか先輩と同じ帰り道なんて思いもしなかったよ」
すると彼女は、
「先輩、私と付き合ってくれますか?」
その言葉を間に受けてしまい、心臓が高鳴った。
「何本気になっているんですか?先輩と私付き合える訳がないでしょ」
「そ、そんな、嘘だと言うことは分かっていた」
「本当ですか?」
彼女は本当に嫌らしい顔つきで僕の事を見てくる。
「先輩みたいなキモい人と付き合う人がいると思っているんですか?」
「・・・」
さすがにその言葉は内臓をえぐられるかのようなきつい言葉だった。
「先輩!先輩!先輩!」
そんな言葉を言いながら彼女は僕の顔を見てくる。
すると彼女は急に真面目な顔になって僕に言う。
「先輩、私、先輩にきついことを言っているけれど、怒らないの?」
「ちょっとイラッとするけれど、君にそう言われると・・・」
「言われると?」
「その事は置いといて、君はなぜ僕の事をなじるの?」
「君って、キモいですけれど」
「じゃあ、君の名前を教えてくれよ」
「私の名前は芳しいのかんばに山って書いて、芳山と言います」
「じゃあ、芳山さん、僕の事をなじってどこが面白いの?」
すると芳山さんは、
「さあ?なぜか先輩をなじっていると面白いからでーす」
そう言って芳山は、
「じゃあ、先輩、私はこっちなので帰りまーす」
そう言って芳山は僕と帰り道の分岐点にさしかかり、帰って行った。




