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義理と人情

 僕はシャワーでも浴びようと思った。

 僕がシャワーを浴びていると、妹が裸で入ってきた。


「おい、幸子何をやっているんだよ」


「うちもシャワーを浴びたくなって」


 まあ兄妹だから良いだろうと思って、妹と一緒にシャワーを浴びる事になった。

 こんな所をヨッシーに見られたら、何と思われるか分からないが、僕と幸子は良く一緒にお風呂に入る仲だ。


「良かったね。お兄ちゃん。お兄ちゃんの彼女の芳山さんだっけ、大事に至らなくて」


「まあね」


 それよりも妹で女の子の匂いって凄く良い匂いがする。

 すると妹が、


「今お兄ちゃん、嫌らしい事を考えたでしょ」


「別に考えてないよ」


「考えてた!」


 そう言って僕に頭突きをお腹に当てるのであった。丁度鳩尾に入り、かなりのダメージを喰らった。

 これで昨日幸子を叩いた事も妹は気にしていないみたいだ。

 今日の天秤座の朝の占いに一度途切れた絆が立ち塞がると言っていた。もしかしたら、これは本当の事なのかもしれない。

 妹と一緒にお風呂に入っているなんてヨッシーが聞いたら、どう思われるか分からない物だ。

 でもヨッシーは今僕の部屋で眠っている。

 その間に体を清めておかないとな。

 僕も妹もお風呂から出て、普段着に着替えた。部屋に戻るとヨッシーは眠っていた。

 いつもは嫌らしい顔をして僕を詰ってくるが、こうして寝顔を見つめていると、案外可愛い顔をしている。

 ヨッシーのおでこに手を当てると、熱はどうやらないみたいだ。ただの過労でも、ほおって置いたらいけないだろう。

 僕はヨッシーの彼氏だ。だからその責任を全うしようと思う。

 今日、本当は学校の日なんだよな。だから僕は机の前で勉強を始めた。

 勉強が遅れると痛い目に遭うからな。

 僕が勉強をしていると、いきなりヨッシーの携帯から音が鳴り出した。

 ヨッシーは目覚めて、その電話に出る。


「はい」


 とヨッシーは携帯に弱々しい声発する。


「あっ、ゆっこ。私の事なら心配入らないよ、とりあえず今日は過労で倒れちゃって、先輩の家で看病して貰っているよ」


 おい、友達にそんな事は言わない方が良いのじゃないかと思ったがヨッシーは。


「何驚いているのゆっこ、私と先輩は付き合っているんだから当然でしょ」


 そんな事を言ったら友達だって心配するよ。僕はそうじゃないが、男は女に取って獣の様なイメージがあるが、僕はヨッシーにそんな感情は抱いていない。


「だから、大丈夫だって、先輩はヘタレだからそんな事はしないよ。それよりも私は疲れているから電話を切るね」


 そう言ってヨッシーは電話を切った。

 ヨッシーは机の前で勉強をしている僕を見て、「あっ先輩いたんすか?今、ゆっこから電話があって出たところ」


「うん。分かっているけれど、僕達が付き合っている事を言ったの?」


「うん。言ったけれど、まあ大丈夫でしょう」


 大丈夫ならそれで良いけれど、あまり僕とヨッシーが付き合っていることはあまり言わない方が良いかもしれない。

 それよりも時計を見てみると午前十一時半を示している。

 そろそろお昼ご飯の時間だと思って席を立って台所に向かうと妹がご飯を作ってくれていた。


「おお、幸子、お昼ご飯を作っていたのか?」


 焼きそばの香ばしい匂いがして食欲をそそる。


「うんお兄ちゃんとうちとヨッシーさんの分」


「ヨッシーの分もあるのか」


「うん、うちはあの人の事を認めてないけれど、とにかく栄養を取って貰って、とっとと、ここから出て行って貰うんだから」


 そんな言い方はないだろう幸子よ。

 まあいい妹はヨッシーの分の食事を作ってくれたのだから僕的には助かったと思っている。

 そうしてお昼になり、妹は僕の部屋に入ってきて、僕とヨッシーの分の焼きそばをお皿に乗せて持ってきた。


「お兄ちゃんもヨッシーさんもお腹が空いているでしょ。うちが愛情を込めた料理を作ってあげたからちゃんと栄養をつけて下さいね」


 するとヨッシーは。


「ありがとう、幸子ちゃん」


 その時、ヨッシーはキラッと光る笑顔を見せて、僕の部屋から出て行った。


「そう言えば先輩、幸子ちゃんは学校には行かないの?」


「今日、妹は学校の創立記念日で休みなんだよ」


「そうなんすか?もしかしたら幸子ちゃん、不登校で学校を休んでいたんじゃないかって思いましたよ」


「あいつは不登校になるような子じゃない。成績も優秀で、クラスの委員長を務めているんだから」


 するとヨッシーはニヤリと嫌らしい顔をして、


「そう言えばさっき妹とお風呂に入っていましたよね」


「・・・」


 さっきの事がばれて僕は動揺してしまった。


「まさかそんな年になってまで妹とお風呂に入ったりするんすか?先輩は」


「妹はシスコンだからな。小学校一年の時の夢に僕のお嫁さんになる事と書いた程だからな。それに幸子はお前を認めてないみたいだし」


「そう、私は幸子ちゃんに認められていないんだ」


 ちょっとがっかりしたような感じで下を向いてしまった。


「とにかく妹が愛情を込めて作ってくれた焼きそばを食べようよ」


「本当においしそうな焼きそばだね」


 そう言って、ヨッシーは「いただきます」と言って焼きそばを食べるのであった。


「おいしい焼きそばだね」


 そう言いながらヨッシーは妹の幸子が作ってくれた焼きそばを食べるのであった。

 焼きそばも食べて、ヨッシーは過労から抜け出した感じがした。


「先輩、幸子ちゃんにお礼を言っておいて下さい、それと私は帰ります」


「もう大丈夫なのか?」


「私なら大丈夫ですよ。これ以上先輩の家にお暇するのは悪いから、それと先輩にお願いがあるのですが」


「何、お願いって」


「このアイパット預かっていて欲しいんですけれど」


「分かった。また今日の様に過労になって絵に没頭してしまったら元も子もないからな」


「じゃあ、よろしくっす。幸子ちゃんにも」


 そう言ってヨッシーは帰って行った。

 本当にヨッシーが倒れそうになってどうした物かと思ったが別に大した事はないかもしれない。

 すると幸子が。


「やっと帰って行ったわね」


「幸子、ありがとうな、ヨッシーの看病を手伝ってくれて」


 すると幸子は目を細めて、


「何を言っているの、お兄ちゃん、うちの手は高く付くよ」


 そう言って僕と幸子は今日一日街に出て幸子の服や料理の材料を買いに行く事になった。

 僕はその荷物を運ばされて、さらにカラオケなんかにも連れて行かれてしまった。

 こんな事をしたら僕が過労で倒れてしまうが、妹はそんな事は気にせずに僕を振り回して遊んでいた。

 でもこんな風に妹と遊ぶのも久しぶりだと思ってこれはこれで良かったのかもしれない。

 一昨日妹を叩いてしまって、僕は反省させられる。でもあれは妹が悪いんだけれどもな。

 とりあえず妹の縁が再び戻って良かった。もしかしたらこれはヨッシーのおかげかもしれない。


 

 次の日の朝、学校に行く途中に、ヨッシーに出会った。


「チース、先輩」


 そう言って僕にしがみつくヨッシー。


「おい、やめろよ、ここは天下の横道だぞ」


「何、言っているんですか、私と先輩は付き合っているんだからこれぐらいのスキンシップはした方が良いと思いまして」


 そしてヨッシーは離れてくれて。


「それよりも今日は楽しみにしていました。美術の時間までならそのアイパットを使っても良いと約束しましたよね」


 そんな約束はした覚えはないが、確かに美術部の活動なら書いても良いと思った。


「じゃあ、これはヨッシーのアイパットだが、今返して置くよ。とりあえず美術部の間だけ書く事を僕は許すよ。昨日の様な事がないようにな」


「分かっていますって先輩」


 そう言ってヨッシーは僕のホッペにキスをしたのだった。


「ちょっと何をするの?」


「私達付き合っているんですよ。私が先輩みたいなキモい人と付き合えるなんて奇跡その物だと思って欲しいと思いますよ」


 どうやらヨッシーは昨日の様な過労はないようだ。

 でも何か落ち着いていられない感じがした。

 ヨッシーと学校まで歩いていると、ゆっことシーマと島さんが三人そろってやってきた。


「チース」


 とヨッシーは挨拶をして、ゆっこが。


「ちょっとヨッシーあたし達に内緒でパイセンと付き合っていたなんて隠さないでよ」


「別に隠した覚えはないけれど、とにかく聞かれなかったしさ」


 シーマが。


「こんな冴えない彼氏で良いのヨッシー」


「失礼な、先輩はキモいけれど、私の事を大切にしてくれているんだから」


 キモいって言うのは余計かもしれないが、ヨッシーは僕に大切にしている事は気がついているみたいだ。

 島さんが。


「まあ、ヨッシーが決めた彼氏だからね。もしヨッシーを泣かす事をしたら、ただじゃ済まないんだからね」


「分かっているよ」


 どうやら三人は僕とヨッシーが付き合っていることを認めてくれたみたいだ。

 学校の下箱まで、ヨッシー達と一緒で僕は二階の二年のクラスだ。

 クラスに到着して、まだホームルームまで時間があるのでスマホで僕の小説の作品を見ることにした。

 いつものように感想がいくつも寄せられている。その感想には喜びを表すイエローな言葉が添えられていた。

『本当に面白いです』とか『これからももっと面白く書いて下さい』とか等々。本当に小説家冥利に尽きる言葉で埋め尽くされていた。

 さてホームルームが始まる時間だ。


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