楓の気持ちとヨッシーの気持ち
家に到着したのは午後五時の事だった。
早速僕は僕が描いている小説を書くことにした。小説を書いていると時間など忘れて、没頭してしまう。
気がつけば妹の幸子がやってきて。
「お兄ちゃんご飯出来ているよ」
もう夕飯の時間か、夕飯は母親の手作りで作ってくれた。ハンバーグであった。
僕は母親が作ってくれたハンバーグが好きな事を思い出し食べる事にした。
本当においしい。
夕飯を食べながら幸子は言った。
「お兄ちゃん、あのヨッシーって言う人はやめておいた方が良いよ」
「・・・」
ヨッシーの事を何も知らないでそんな事を言う妹に少し腹を立てて、僕は何も喋らなかった。
夕ご飯も食べ終わり、僕は今日書いた小説をネットにあげる事にした。
*
次の日は何事も無くいつものように小説を書いてヨッシーの自画像を描いていた。
自分の気持ちに正直になってみると僕はヨッシーの事が好きだと言うことに気がつかされる。
でもヨッシーに付き合ってと言われると、いつも詰るように僕の気持ちを踏みにじるかのように僕の事をキモいとか言ってくるんだよな。
ため息が止まらなかった。
*
そして次の日、校長の長い話を聞かされて滅入る僕達生徒であった。
僕はクラスに友達なんていなかった。
いるとしたら放課後美術室に行き、そこにはヨッシーがカンバスに向かって絵を描いていた。
「チース、先輩」
「あいよ、チース」
「その先輩の挨拶の仕方キモいよ」
嫌らしい笑みをこぼしながら僕は言われてしまった。いつものヨッシーだ。
ヨッシーの絵を見てみると、かなり絵が上達したのが分かる。
「絵がうまくなったね」
「そうっすか?」
僕もぼちぼち始めようとするかな?
今日も静物デッサンでも始めよう。
その前にトイレにでも行ってこよう。
トイレを済まして、美術室に戻ると、ヨッシーが僕の鞄をあさってヨッシーを描いたアイパットを取り出した。
「何をやっているんだよヨッシー」
「先輩が私の絵を描いている事を私は知っているんだもん。だから先輩のあたしを描いた絵を見せてよ」
本当にこいつは何を考えているのだろう。
でも僕が描いたヨッシーの絵はパスワードを記入しなければ開かない。そのパスワードを何度も入力していると、中身が消えてしまう仕組みになっている。
「先輩、どこに私を描いた絵があるんですか?」
どうやらヨッシーもパスワードを何度も入力すると中身が消えてしまう位の事は知っているようだ。
「僕はヨッシーを描いた絵なんて砂浜で見たのが一つだけだよ」
と嘘をついて置いた。
「何挙取った口調で言っているんですか?先輩の嘘ってわかりやすいですね」
僕はいつ挙取ったのだ?
「とにかく、分かっていると思うけれども、あまり僕のアイパットをいじくり回さないでね。そうすると中身が消えちゃうからね」
「私を描いたパスワードを教えてよ。そうすればご褒美をあげるから」
「・・・」
また詰るようなご褒美とやらをやるつもりでいるみたいだ。だから僕は黙っていた。
「何よ先輩」
そう言ってつまらなそうにヨッシーは絵を描くのであった。
ヨッシーの絵に対する情熱は本物の様だ。
最初は僕を詰るために美術部に入ったのかと思ったが、ヨッシーは本気で絵を描いている。
それ以外、今日会話は無かった。
*
次の日の放課後、美術部に行くと、ヨッシーはちゃんとカンバスの前で絵を描いていた。
「チース、先輩」
いつものようにヨッシーはハイテンションだ。
僕が机の上に鞄を置くと、ヨッシーは僕の鞄をあさり、アイパットを取り出した。
「先輩、今日こそ私を描いた絵を見せて貰いますから」
「何をやったって無駄だよ。何も出てきはしないよ」
するとヨッシーは嫌らしい顔をして、アイパットを操作している。何か嫌な予感がしてきた。
「おい、ヨッシー、僕のアイパットを返せよ」
僕がヨッシーを追いかけると、ヨッシーは逃げる。
「返しません」
そう言ってヨッシーは逃げる。
追いかける僕。
なぜだか、今日のヨッシーはもしかしたら、パスワードの解除法を知ったのかもしれない。
だから僕は必死に追いかける。
だが、追いかけたが、ヨッシーに追いつく事は出来なかった。
やばい、なぜだろうか、何か嫌な予感がしてくる。
僕は情けない事に体力があまり無いのであった。ちなみに僕の一番苦手な教科は保健体育であった。
僕は美術室に戻り、しばらくするとヨッシーが戻ってきた。
さらにそのヨッシーの顔を見てみると、凄く嫌らしい顔をして、僕にそのヨッシーを描いた絵を見せつけた。
「先輩、何すか?これ?何すか?これ?」
僕はもう誰かに殺して欲しいほどの恥ずかしさに参っていた。
僕はその場で目をつむり黙っていた。
「先輩、キモいっすよ。こんなのを私に黙って隠して置くなんて。キモキモキモ」
これで僕がヨッシーの事が好きになってしまった事がばれてしまった。
いや勘の鋭いヨッシーなら分かっていたかもしれない。
「先輩、黙ってないで教えて下さいよ」
「・・・」
黙秘する僕。
「何で、私の絵を描いてくれたんですか?もしかして、私の事が好きなんじゃないのですか、先輩」
そんな時である。ヨッシーの友達達がやってきた。
ヨッシーの方を見ると、アイパットを僕の鞄に誰にも気がつかれないように入れるのであった。
なぜヨッシーは僕の気持ちを知りながら、キモいとか言ってくるのだろう。それにつきまとって来る。
美術部が終わり、ゆっこ達が現れてそれでファミレスで凄い時間まで付き合わされてしまった。
*
時計は夜十一時を示している。
「ねえ、先輩、どうして私の絵を描いたのですか?」
「・・・」
「もしかして、先輩私の事好きなんですか?」
もう言ってしまった方が良いかもしれない。
「そうだよ。僕はヨッシーの事が好きなんだよ」
爆発的な発言だった。僕の心臓は破裂寸前のように凄く高鳴っている。
「・・・」
ヨッシーもビックリしたように、顔を真っ赤に染まっている。
「じゃあ、先輩私はこっちだから、バイバイ」
と言って去って行くのであった。
帰ったら、妹が作ってくれたオムライスを食べようと思ったが、今はそれどころじゃない。
アイパットにヨッシーの絵をたくさん描いてしまったのだ。さすがのヨッシーも気づくだろうと思って、僕はヨッシーに告白をしてしまった。
明日も美術部だ。ヨッシーにどんな顔をして接すれば良いのか、分からなかった。
今日も眠れない夜になりそうな気がした。
家に帰ると、妹は起きていて玄関の前で仁王立ちになって、僕の帰りを待っていたのだ。
妹は小学六年生だ。それと僕とは違い学校では委員長をやっている。
「幸子」
「お兄ちゃんの名前って柴田盟って言うの?」
「なぜそれを知っているの」
「お兄ちゃんの部屋を見ていたら、お兄ちゃん小説書いていたん。それにかなり面白かった」
「幸子!お兄ちゃんの部屋を勝手に入っちゃダメだろ!」
「じゃあ、お兄ちゃん、うちに内緒で小説なんて書かないでよ。あんな面白い小説を書いていたなんて凄いじゃない」
時計を見ると、もう十一時半を示している。
「幸子、もう遅いからそろそろ寝なさい」
「お兄ちゃんの為にオムライスを作って待っていたのに」
「じゃあ、食べるから早く寝なさい」
「はーい」
そう言って妹は自分の部屋に戻って行った。
そう言えば妹はヨッシーの事を認めてなかったんだよな。
妹が作ったオムライスを食べる事は出来る。
台所に行くとオムライスがお皿に乗ってあった。
妹が書いたのか?メモ用紙に『チンして食べてね、大好きなお兄ちゃん』と書かれていた。
メモ通りチンにて食べると、本当においしいオムライスであった。
親は単身赴任で滅多と家に帰って来ない。
妹はブラコンだし、一年生の時の夢にお兄ちゃんと結婚する事と書いていた程だ。
もし、ヨッシーがこの事を知ったら、大いにうけるだろう。
僕もそんな風に僕に甘えて来る妹が好きだった。でも年齢をお互いに重ねて、そのような気持ちはなくなって行ったのだった。
時計の針を見てみると、午前零時を示している。早く眠らなくてはいけない。
今日は丁度、小説の投稿日じゃなくて良かった。まあ、小説の投稿日と言っても二日に一編だし、僕が決めている事だ。
僕は毎日小説を書いていないといけない性分になってしまった。
部屋に戻ると妹が僕の部屋を少し荒らした後が残っている。
やっぱり僕の小説を読んだみたいだ。
妹は良く小説を読み、国語は得意で算数は苦手である。
今日も少しだけ小説を書いて眠るか。
それで今日は一時間だけ小説を書き、僕は眠りに入るのであった
出来れば評価をお願いします。




