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海へ

 夏休みの間、いつも夜にヨッシーから電話かメールが届く。

 いつも小説の事だった。

 今日の小説、子供の予言者が現れたけれども、この女の子、先輩の妹をモチーフにして書いたの?だとか、何この主人公の彼氏、こんなのイケメンしか許されない事だよ。だとか、色々と詰られたりしている。それ程僕の小説が好きな事が分かった。そうでなければこのように詰ったりは出来ないだろう。


 夏休みが終わる頃だった。

 ヨッシーからメールが入った。

 ヨッシーは海に行こうと言ってきた。

 別に良いだろうと思って、僕は了承した。

 待ち合わせ場所まで行くと、ヨッシーの友達はどうしたのだろうか?ヨッシー一人だけであった。


「あれ、ヨッシーの友達は?」


 ヨッシーは視線を泳がせながら、


「ゆっこ達は宿題でいけないって」


「ヨッシー宿題は大丈夫なの?」


「私は大丈夫だよ。先輩の小説を読みがてらやっていたから」


「ゆっこ達、期末試験で疑われたけれど、勉強はやれば出来るのにな」


「だよね、ゆっこ達、勉強嫌いが出て来ちゃったのかな?」


「まあ、良いよ。とにかくヨッシー海に行くんだろ」


「うん、行こう」


 そう言って僕とヨッシーは海に行くことになった。

 電車で一時間、海に到着すると、あまり人がいなかった。


「先輩、あまり人がいないね」


「うん、やかましくなくて良かったね」


 するとゆっこが現れて、


「あれ、ヨッシーとパイセンじゃん。二人で海なんてどうしたの?それと昨日ヨッシーにメールを送ったのに行かないって言っていたじゃない」


 ゆっこ意外にもシーマも島さんもいた。


「あれ、ゆっこさん以外にもシーマさんも島さんもいるじゃない。みんなヨッシーの話によると宿題におわれて、海に来れないって聞いたけれど」


 するとヨッシーは僕の脇腹に肘鉄をする。


「痛い、何するの?」


 するとゆっこは嫌らしい目つきになり、


「なるほど、ヨッシーパイセンと二人きりになりたいからってあたし達に黙って海に行こうって腹だったの?ちなみにあたし達は宿題はもうとっくに終わっている事をヨッシーも知っているでしょ。あれだけ、図書館で一緒にやったんだから」


「それよりも何であんた達が、この海に来ているのよ」


「あたし達がどこの海に行こうと勝手じゃない。それよりもまさか、ヨッシーがパイセンと一緒に海に行きたいからってあたし達の事をほったらかす何て、そんなにヨッシーパイセンが好きなの?」


 本当にこのゆっこって子も、芳山に負けずとも劣らず嫌らしい笑みを浮かべてヨッシーに喧嘩を売るように詰る。

 するとヨッシーは。


「ウザいんだよあんた達」


 ヨッシーは凄い剣幕でゆっこに言う。

 やばいこれは喧嘩になってしまう。

 どうすれば良いのだろう?


「何よ、ヨッシーあたしとやろうって言うの?」


 ゆっこはやる気だ。それにヨッシーもやる気だ。だから僕は。


「とにかく喧嘩はダメだよ」


 声を張り上げて言う。

 するとシーマが。


「そうだよ。うちら友達じゃない。それに先輩さんの言うとおりだよ。喧嘩はダメだよ」


 島さんが。


「そうだよ、あたし達、友達じゃない」


 ヨッシーもゆっこも、僕とシーマと島さんの言っている事に心打たれたのか?険悪なムードは無くなった。


「ごめん、ヨッシー、あたしが悪かったよ」


「私こそごめん。ゆっこ達の誘いを断ってまで先輩と海に来ちゃって」


「それよりもヨッシー、パイセンと海に来るなんてどういうつもりなの?」


 再び嫌らしい顔をしてゆっこは言う。


「これは宿命だよ」


 ヨッシーの言葉に僕達は『ハッ?』と疑問の言葉を示した。


「まあ、いいや、パイセンもヨッシーもあたし達と遊ぼうよ」


 するとヨッシーは複雑な顔をする。

 ゆっこはそんなヨッシー心を読むような顔をして。


「もしかして、ヨッシーパイセンと二人きりになりたいの?」


 ヨッシーはどうしたのか?嫌らしい顔をして、「そんな訳ないじゃない。私と先輩が来たのは先輩が部屋で寂しそうに絵でも描いているかと思って、私が海に誘って詰り倒そうとしただけ」


「まあ、そう言う事にしてあげるよ。じゃあパイセンもヨッシーも、とにかく遊ぼうよ」


「よし来た!」


 ちなみに僕達はまだ水着に着替えていない。

 今日も暑い日が続いている。

 けれども、海に遊びに来た人達はあまりいなかった。

 女四人に、僕男一人、なぜか僕だけが浮いていないかと思った。

 早速僕達は海の家の更衣室に入り、もちろん男と女に別れている。

 そして僕は行為室に入り、昨日ヨッシーに誘われて家にあったバミュータを着用して、外に出た。やっぱり外は暑い絶好の海水浴だ。

 それよりも女性四人の着用が遅い。

 そして十分位が経過して、四人は本当に心臓に来そうな程の際どい水着を着ている。

 ゆっこは灰色のビキニを着て、シーマは赤と白のストライプのビキニを着て、島さんは白いワンピースの水着を着て、ヨッシーはなぜだか、スクール水着を着ている。

 ゆっこが。


「何だ。ヨッシースク水何て着ちゃって、もっとセクシーな水着でパイセンを落とせば良いのに」


「そう言うつもりは無いよ。先輩と二人きりだから、私はスク水で別に良いと思っただけだよ」


「それよりも、ヨッシー」


 ゆっことヨッシーが僕の方を見て、嫌らしい笑みを浮かべて僕に絡んできた。


「先輩の体って凄く貧弱に思えるんですけれど」


「パイセン、とにかく遊ぼうよ」


 そう言う事で、海はすいていて、海の家のレンタル屋からパラソルを借りて、敷物をひいて、僕を砂浜の埋めて四人で楽しんでいた。


「ちょっと四人とも、砂、凄く重いんだけれども」


「パイセン、これでも手加減している方なんですよ、本当にパイセンは貧弱何だから」


 ゆっこがそう言って、ヨッシーは、


「先輩、まだまだ行くよ」


 そう言ってシーマも島さんも仰向けにした僕の上から砂を積み上げた。

 さすがに限界になってきて。


「もう、苦しいよ。これ以上砂を積み上げるのはやめて」


 僕は大声で言った。


「仕方が無いな」


 そう言ってヨッシーは海水をくんで来たのか?僕の顔面に海水をかけた。

 砂に埋まっている僕は動く事も出来ず、ただ、海水を顔面にかけられるだけであった。


「じゃあ、ヨッシーパイセンをよろしく」


 そう言ってゆっことシーマと島さんは海の方に行った。


「先輩、私と二人きりになっちゃったね」


「それよりも僕の事を助けてよ。これじゃあ身動きがとれないよ」


「さあて、先輩は何を持って来たのかな?」


 そう言って僕の鞄をあさり出した。


「ちょっとヨッシー何をやっているの?」


「持ち物検査、先輩は何か疚しい物を持って来たんじゃ無いかと検査しているの」


 僕の持ち物と言ったら、ヨッシーを描いたアイパットがあることに気がついた。

 やばいそんなのヨッシーに見られたら、僕は生きた気がしない。


「あれ、これって先輩のアイパット?」


「そうだけれども」


「先輩はこれでいつも絵を描いているの?」


「・・・」


「何黙り込んでいるんすか?もしかして私には言えない何か疚しい事でも描いているんですか?」


「疚しい何かなんて描いていないよ」


「先輩はこれでいつも小説の挿絵とか描いているんすか?」


「そう。中身は見ないで、見たらヨッシーがいつも僕の小説を読んでいるネタバレになっちゃうから」


「別に私はネタバレされたって別に良いですよ。さてと先輩はいつもどのような挿絵を描いているのかな?」


 そう言って僕のアイパットを起動させる。

 ああ、でもヨッシーを描いた絵はパスワードを入力しないと見られないんだよな。それで僕はホッとした。

 アイパットが起動して、ヨッシーは顔を真っ赤にしている。

 僕のアイパットを見て何が出てきたのか気になった。

 するとヨッシーは嫌らしい笑みをこぼしながら、


「先輩これって何すか?何すか?」


 僕のアイパットをヨッシーは僕に見せつける。

 そのアイパットに描かれていたのはヨッシーの白いビキニを着て、戯れている様子の絵だった。


「終わった!殺してくれ!」


 と僕は思わず言ってしまった。


「何すかこれ、何すかこれ」


 そう言えば昨日、ヨッシーの絵を描いて保存してツールに入れずにそのままにしてしまった事を僕は思い出した。


「先輩他にも私を描いた絵があるんでしょ。見せてよ」


「・・・」


「見せてよ」


 そう言って僕が埋まっている砂をどんどん盛っていく。


「やめて、ヨッシー僕が悪かった。だからもう良いじゃない」


「見せてくれるまで、砂を盛るよ」


「分かった。見せるからこの砂をどけて、僕ではみんなが埋めた砂から身動きが出来ないのだ」


「何度も言うけれど、見せてくれるまで、この砂を盛るのやめないよ」


 さすがに苦しくなってきた。本当に死にそうだ。でも、ヨッシーを描いた絵を見せたら、僕は生きた心地がしない。

 もうヨッシーは知っているだろう。僕の気持ちを。


「どこを開けば、私を描いた絵があるの?」


「そのタブレットのアイコンに柴田って文字があるだろう。それを開いてパスワードは・・・」


 するとこんな時に限ってゆっこ達が現れた。


「パイセン、ヨッシーそろそろ飯にしない」


 やばい、僕のヨッシーに対する気持ちがヨッシーの友達であるゆっこ達にヨッシーを描いた絵を見られてしまう。

 そんな事になったら、僕は死ぬほど辛い思いをしてしまう。。

 ヨッシーは見せるだろう。僕が描いたヨッシーの絵を。


「ああ、うん」


 ヨッシーはタブレットを僕の鞄にしまい、なぜかゆっこ達にバラさなかった。


「先輩飯にしましょうよ」


 ヨッシーはそう言って、砂をどけてくれた。

 僕は全身砂まみれで、海に入り、砂を落としてから、ヨッシー達と共に海の家でお昼ご飯を食べることになった。

 海の家の客室は空いていて、余裕で僕達五人が座れる場所を確保する事が出来た。

 メニュー表を見てみるとオーソドックスな品物しか置いていないみたいだ。

 例えば、ラーメンとかカレーとか焼きそばとか。僕はラーメンを頼み、ヨッシーはカレーを頼み後の三人はみんなヨッシーと同じカレーを注文する事になった。


「いやーまさかパイセンとヨッシーが海に一緒に来るなんて思いもしなかったよ。ヨッシーあんたパイセンの事が好きなの?」


「何、ゆっこ、先輩の事を好きになるわけないじゃない。こんな根暗でキモい先輩を」


「そりゃそうだよな」


 ゆっこが笑うとヨッシー達は笑い出した。

 そこまで言う事じゃ無いだろう。

 さっきヨッシーに見られた絵は僕がヨッシーの事を気に入って好きだから描いたのに。


「それよりも先輩凄いんだよ」


 そう言って僕の鞄を勝手にあさり、アイパットを取り出した。

 もしかしたらヨッシーを描いた絵をみんなに見せるつもりなんじゃ無いかと思って、肝がヒヤッとした。

 でもヨッシーは僕が描いたメモリーブラッドのヒロインやその彼氏の絵をヨッシーは見せるのであった。


「パイセン、凄いね、パイセンにこんな才能があったなんて」


 ゆっこが言ってシーマも島さんも驚いている。 そんな話をしながら、丁度僕達が頼んだメニューが届いた。

 そう言えば僕がラーメンで、ヨッシー達はみんなカレーだっけ。

 ラーメンを見てみると、チャーシューにメンマが乗っていてネギが添えられた物だった。

 ヨッシー達が頼んだカレーは具も何も無い何の変哲も無いカレーだった。

 ヨッシーが、


「まあ、海の家の料理なんてこん物だよね」


 何て良いながらみんなおいしそうに食べていた。

 ヨッシーが僕の事を好きになるはずが無いよな。

 こんなキモくて童貞野郎を。


「先輩、何この世が終わったかのような顔をしているんですか?ラーメン伸びちゃいますよ」


「あ、ああ」


 そう言ってラーメンを食べてみるとなかなかおいしいラーメンであった。

 午後からも遊ぶ事になり、僕はヨッシーに嫌われた事がネックになり、気持ちが憂鬱な感じがした。

 そして日が暮れた頃、ヨッシーとゆっこ達は色々とファッションの事やテレビに出てくる芸能人の事で盛り上がっていた。

 まるでヨッシーが僕に会話の隙を与えないようにしている様に感じて憂鬱な気分だった。

 電車から降りて僕とヨッシーは途中まで一緒なのでゆっこ達と別れて帰る事になった。

 するとヨッシーは、何か僕に対して申し訳の無いような顔をしていた。


「先輩」


「何、ヨッシー」


「これ」


 鞄から取り出した物は、僕の為に作ってくれたお弁当か?僕に差し出して来た。

 中を見ると、唐揚げやら、トマトやら、とんかつとかミートボールとかその他にも色々とあったが僕とヨッシーの分なのか?芳山は残念な気持ちで僕に弁当を見せた。


「僕の為に作ってくれたの?」


「うん。先輩と私で食べようとしたけれど、ゆっこ達がいたから」


 でもお弁当はこの炎天下の中でヨッシーの鞄の中でずっと放置していたからか、腐りかけていた。でも僕は嬉しかった。もしかしたらヨッシーは僕の事、まんざらでも無いような気がしてきた。


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