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期末試験に向けて

 今日も朝学校で退屈な授業を終えて、僕は美術部に行くのが楽しみになってきた。

 美術部に行くと芳山は静物デッサンをしていた。

「チース、先輩」

「こんにちわ、芳山さん」

 何のデッサンをしているのか見てみると、ブルータスの石膏を描いている。

 本当に芳山は本気で絵を描くことに夢中になっている。本当に絵がうまくなりたいのだな。

 それにかなり絵も上達している。

 僕も芳山と同じようにブルータスの静物デッサンを始めようとする。

「先輩、そろそろ夏休みですね」

「うん。そうだね」

 そう言えばそろそろ夏休みだ。夏休みになると芳山と会えなくなるのが残念に思えて来た。

 すると芳山は嫌らしい顔をして、

「何先輩、寂しそうな顔をしてもしかして私と会えなくなるのが、そんなに寂しいとか?」

「そんな訳ないじゃないか」

 何て芳山は鋭いのだろう。確かに芳山に会えなくなるのは寂しいと思っている。

「先輩、夏休みもどこか行きませんか?」

「本当に!」

 僕はそれを聞いてつい嬉しくて立ち上がってしまった。

「何、先輩、そんなに私と会うのが良いのですか?キモいにも程がありますよ」

 僕は一つ咳払いをして。

「そんな事、あるわけないじゃないか」

「本当っすか?」

 芳山はニヤニヤと嫌らしい笑みをこぼしながら僕に問い詰めて来た。

 今思ったんだけど、芳山はそう言う意地の悪い笑みをこぼしながら僕に問い詰めて来るのは楽しいみたいだ。

 芳山のプライベートの時っていつもこんな感じなのだろうか?

 そう言えばこいつの友達と戯れている時、その時も本当に楽しそうにしていた。

 芳山は性格がかなり歪んでいるが、こいつが本当に素顔で笑うとかわいいんだよな。僕は密かに芳山の事を好きになってきた。

 芳山は僕の事をどう思っているのだろう。

 いつもキモいとか言われるけれども、他の男子や女子にそんな事をしたところを見た事がない。

 もしかしたら芳山の奴、僕の事が・・・いやそんな事はないだろう。僕みたいなヘタレな男子が僕の事を好きになるはずがない。

 話は変わるが夏休みが始まる前に期末テストがあったのだった。

 勉強は嫌いではないが、また芳山にテスト勉強がしたいと思った。

 あいつ何だかんだ言って僕に勉強を教わって学年十七番を取ったんだよな。大した物だと思った。

 またあいつと中間試験の時みたいに勉強を教えてあげたいと思っている。

 また二人きりになれるのかと思っていた。


 そして期末一週間前になり、美術部は芳山の友達が戯れていた。

 ゆっこと言う芳山の友達が僕に向かって。

「パイセン、あたしにも勉強を教えてよ」

 シーマとか言った女子は。

「先輩がヨッシーに勉強を教えて、学年十七番にしたんでしょ。あーし達もそれぐらいの学力を身につけさせて下さいよ」

 島さんが。

「先輩。勉強教えて」

 何かこの三人勉強は嫌いで僕に頼る気で勉強を教えて貰おうとしている。

 すると芳山は。

「ねえ、あんた達本当に勉強する気あるの?」

 芳山の怒気のこもった声で場の空気が凍り付いた。

 ゆっこが。

「あ、あるにきまっているじゃない。とにかくパイセンに教われば、ヨッシーの様に学年十七番になれるんじゃないかと思って」

「勉強をなめないでよ。本当にやる気があるなら、自分からやりなさいよ」

 芳山は凄い剣幕でそう言う。

 するとみんな黙り込んで、勉強を開始する事になった。

 そこで僕は、みんなに助け船を出すように「分からない事があったら、遠慮なく僕に聞いてね」と言っておいた。

「は、はい」

 と、ゆっこは先ほどの芳山が怖かったのか、真剣に勉強をしている。

 どうやら芳山のおかげでみんな勉強を真剣にやってくれるようになった。

 そこで思ったんだけれども、友達って楽しいことばかりをするだけでなく、時にはこういった、人を叱る事も大事なんじゃないかと思った。

 芳山も勉強をしている。

 そこで、芳山は。

「あっ、ゆっこ、それはこうやるんだよ」

 と科目は数学か、ちゃんと教えてあげている。

 それにゆっこもみんなもちゃんと自分から勉強をしている。

 僕は僕で勉強をしながら、みんなの事を見てあげたり教えてあげたりしている。

 それに僕が芳山以外の子を見てあげようとすると芳山は「私が見るからいい」と言って僕の勉強の妨げにならないようにしてくれる。

 芳山っていつもキモいキモいとか言っているけれど、本当は良い奴なのかもしれない。

 さっきまで芳山の友達達は騒いで勉強をしていたが、芳山のおかげで、みんなもやる気になってくれ、静かになった。

 今ではノートに鉛筆をなぞる音しかしない。

 カレンダーを見ると、期末試験まで後五日、本当に頑張って勉強をしなければならない。

 するとゆっこって子が。

「あーもうダメ、勉強きついよ」

 時計の針を見てみると、午後六時を示している。

 すると芳山は。

「そろそろ、これぐらいにして、また明日勉強をしましょう」

 シーマが。

「また明日もやるのか?」

 辛そうに言う。


 そう言う事で勉強は今日、これぐらいにして帰る事になった。

 島さんが。

「あーマジ疲れた。ヨッシーはいつも先輩と勉強をして学年十七番になれたの?」

「まあ、勉強はやればやるほど出来る様になっているんだよ。先輩のおかげで私勉強が少し好きになってしまったよ」

 ゆっこが。

「確かに問題が分かると嬉しいよね」

 シーマが。

「期末試験が終われば、夏休みだぜ」

 気合いが入っているシーマ。

 まあ、勉強の嫌いな奴は山ほどいるけれど、こうしてみんなと勉強をしていれば、何とかなる感じがしてきた。


 そして次の日も次の日も、僕と芳山がいつも使っている美術室で勉強をする事になった。

 みんな日に日に勉強を頑張る様になって来ている。

 そうだよな、勉強は辛い物じゃない。楽しいことなんだよ。それを順位をつけて競わせようとするからつまらなくなり、やがて勉強が嫌いになり、親は子供に対して勉強を強制的にやらすからいけないと思っている。

 順位なんて関係ない。とにかく勉強は楽しい物なのだ。

 それで芳山も同じようにその友達達も勉強が好きになり、ちゃんと勉強をするようになってきた。


出来れば評価してくれると嬉しいです。

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