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最悪な日

僕は十七歳の高校二年生、深瀬楓十六歳、一応昼間は退屈な授業を受けて、とりあえず試験に出そうな所をチェックしてノートにまとめてある。 

そして授業が終わると一人で静物デッサンをしている。

 今、リンゴが三つ並んでいる静物デッサンをしている。

 とにかく集中して描いている。

 僕は絵を描くことが大好きだ。そしてネット界では小説を投稿して色々な人に読んで貰っている。 

僕が絵を描くこと、周りは知っているが、小説家であることはみんなには秘密にしている。

 静物デッサンは終わり、時計を見てみると、午後五時を示している。

 まだ時間があるから図書室に行って宿題を済ませてしまおう。

 図書室に行くとギャルが四人いて、テーブルにお菓子を並べて食べながら話している。

「エーきも!」「ヤンキーから告白何てマジ最悪」「ヤンキーなんてもう絶滅危惧種なんじゃない」など、ギャル達は何やら楽しそうに話している。

 とにかく僕には関係ないことだ。

 それよりも早く宿題を終わらせて帰ってしまおう。

 宿題をやっていると、何やら視線を感じる。

 その視線の先を見てみると、四人のギャル達の一人が僕の事を見ている。

 目が合って僕はすぐに視線をそらした。

 何だろう。僕が視線をそらしたと言うのに、まだこちらを見ている。

 もう一度見てみると、また、僕と目が合って、あろうことかそのギャルの一人は僕の顔を見てにやりと笑っていた。

 何だ、いったい。

 何か緊張してきた。もう勉強どころではないが、とにかく宿題を終わらせて、早く帰った方が良いな。

 時計を見ると午後五時半を示していた。

 ギャル達はこれからファミレスに行くのか、そのような話を聞いたのでそう言ってギャル達は帰って行った。

 これで勉強に集中できる。

 あれ?凄く近くに視線を感じる。

 僕が目の前を見てみると、ストレートの髪に耳にピアスをして、かわいらしい女子が僕の目の前に座って見ていた。

 その女の子はにやりと笑って、

「ねえ、あなた、柴田盟先生でしょ」

「エッ、何で、君が僕のペンネームを知っているの?」

「私さあ、この全校クラスの一人一人の生徒達の事を検索して見てみたら、あなたと言うより、先輩と言った方が良いかもしれないね。先輩が書いているメモリーブラッドって言う物語を読ませて貰ったんだけれども」

 この後輩のギャルが言うメモリーブラッドとは僕には自信のあるストーリーでネット小説内ではかなりの評価を受けている。

「そ、それがどうかしたの?」

「ぷっはっはっはっ、何先輩、女の子の吸血鬼としたのを主人公にして、その彼氏の男の子がその彼女の未知なる力をつけて、彼氏は彼女が光に弱いから、彼氏が昼間は女の子を押し入れに隠して置いて、『メグ、僕は君を守るからね』ってこれって先輩の理想の女の子像ですか?」

 僕の作品をそんなに侮辱するような事を言われて本当にムカついた。

「凄い、受けるのですけれども、それに先輩の挿絵このメグちゃんって先輩の理想の女の子ですか?それに男の子は先輩の理想の人ですか?凄い、受けるのですけれども」

「何でも良いだろ。君にそんな風に侮辱されても他のユーザーからには結構受けているのだから」

「あれー、先輩、私は先輩のメモリーブラッドと言う作品を侮辱している訳じゃないですよ。読んで見たら、結構面白いけれど、書いている人がこんな主人公の彼氏の様に勇ましくないですよ」

「そんな事はないよ」

「じゃあ、先輩私がメグちゃんをやってあげますから、先輩はメグちゃんの彼氏をやって下さいよ」

「はあ?話が見えないのだけれども」

「だから、私がメグちゃん、先輩は頼りない英治事、エイちゃんをやれば良いんですよ」

「だから、話が見えない・・・」

 すると後輩のギャルは、

「エイちゃん私は吸血鬼になってしまった。私はこれからどうすれば良いの?」

 そのシーンは覚えている。僕のメモリーブラッドのヒロインのメグの行き場所をなくしたメグに後ろから抱きしめて、「大丈夫、お前は俺が守ってやる」と言う台詞を言う場面だ。

 メモリーブラッドは僕の自信作だ。だからすべてを覚えていないが、良いところは覚えている。

 このギャル名演技だ。

 それに僕の小説ごっこ遊びをしようとしている。

 ギャルの後輩はうずくまって抱きしめられるのを待っているのか?僕にはどうする事も出来なかった。

「ほらほら、先輩、作者何だから、この名シーンを覚えているでしょ」

 チラリとうずくまりながらにやりと笑う、ギャルの後輩。

 そうだ。メモリーブラッドは僕に取って自信作だ。きっとこのギャルは僕のメモリーブラッドに感動したに違いない。だから僕はそんな演技でうずくまっているギャルを抱きしめようとすると、にやりと笑ってギャルは「何その気になっているのよ、先輩。超受けるのですけれど」と言って立ち上がり、嫌らしい目を僕に向けて、じりじりと歩みより、僕は思いもよらぬ事に後ろに下がった。「柴田先生、作品は確かに面白かったけれど、まさかこんな人がメモリーブラッドの作者だなんて受けるのですけれど、ほら、抱きしめてご覧なさい」

 抱きしめようとすると後輩のギャルは僕の両手を手で押さえ込んだ。

「マジで抱きしめようとしているの?柴田先生」

「あまりその名前を呼ばないで欲しいのですけれども」

「じゃあ、何て呼べば良いの?このもやしの様なメモリーブラッドの作者の先輩先生」

「普通に先輩で良いよ」

 すると、あまりにも衝撃的な事をされて僕の瞳から涙がこぼれ落ちて来た。

「何、泣いているのですか?ほら、ハンカチあげますから、これで拭いて下さいよ」

「うう・・・」

「本当に先輩面白いのですけれど」

 ハンカチを受け取り、ギャル後輩は、

「じゃあ、先輩、私そろそろ行くので、それとそのハンカチあげますから、じゃあまた」

 夜、あのギャルの事が頭から離れずに僕は眠れなかった。


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