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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ミートマッシャー

作者: せおぽん

これは孤高の戦士アーロンの物語。


俺は、柄を長く誂えたヘビーハンマーを、突進してくるトロルの足の甲に打ち下ろした。ぐしゃりとトロルの足の甲が潰れ、トロルはその激痛に悲鳴をあげながら、仰向けに転倒する。


トロルの再生能力は強烈だ。完全に潰した足の甲の再生であっても、10秒もあれば再生するだろう。足の甲が再生されトロルが起き上がる前に、俺は次の作業に移る。右の膝関節を狙いハンマーを打ち下ろす。関節は完全には潰さない。半分程度潰せれば良い。


トロルの強烈な再生能力は半壊した関節を数秒で修復させた。だが、関節が修復されているのにトロルは立ち上がれないままだ。


完全に潰されていない関節は、正常だった部分と修復された部分が混在する。結果、関節は歪な形で再生されてしまいあらぬ方向に曲がってしまう。両足で立つ生物の右膝が自身の意思通りに曲がらないのならば、その生物が立ち上がる事は不可能だ。


立ち上がれないトロルの残りの関節を砕く。左膝、右肘、左肘、両肩、腰。主要な関節が歪に再生されたトロルは、思うように動かない手足をバタつかせることしかできない。トロルは、その場をグルグルと回る事しかできない無害で巨大な肉塊と成り果てた。


頭を潰せば、数分は時間が稼げる。俺は、トロルの頭をヘビーハンマーで難なく潰すと、予め鋭く研いであった腰の短剣を取りだし、手早くトロルの心臓を切り出した。


切り出した心臓は、町の鍛冶屋に用意させた分厚い鉄箱に納め硬い錠をかける。鋳物でこの寸法の鉄箱を作らせるのは、高くついたが用心の為の金を惜しんでは元も子もない。トロルが再生したとて硬い鉄の箱の中では、文字通り手も足も出ない。


心臓を失った残りの肉体は、放っておいてもいづれ消滅するだろう。この後はトロル退治を依頼した村人達に任せれば良い。


さて、このトロルの心臓。高く買う何処かの好事家は居ないものか。


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