間話
マリーがソソクサと立ち去った店内では
「いやぁ〜可愛い子ちゃんはホント目の保養になるなぁ」
「俺に手を振り返してくれた…」
「いや、俺に手を振ってたんだよ。目が合ったし」
と冒険者達が言い合いをし出した。
「ーーにしても、コイツら女引っ掛けるにしても態度が全くなってないな。そのくせ女が靡かなければ逆恨みして暴力とか、どんだけバカなんだよ?」
「こうなったらおしまいだよな。悪い見本そのものだ」
と2人組を取り押さえている冒険者達が言うと
取り押さえられた2人組は
「だから、あんな女、引っ掛けたりしてねぇって言ってるだろう?!」
「あんなアバズレに騙されやがって!お前らの目は節穴か?!」
と怒鳴った。
すぐに警備兵が来て、2人組に手錠をかけ
「任意の事情聴取をお願いします」
と駐屯所へと連れて行ったので
冒険者達は
「そういや、さっきの2人組のうちの1人って【微睡む一角獣】のメンバーじゃないか?」
「もう1人は騎士団で見た事があるぞ。腕は中々だったが連携が取れなくて遠巻きにされてる嫌われ者だった筈だぜ」
と捕まった2人組の身元に関して情報を出し合った。
その結果ーー
2人組が両名とも「ハーツホーン」姓であること。
ハーツホーン子爵家の縁者で、薬材商ギルドのギルマスの親戚でもあるだろうということ。
1人は騎士団をクビになっていること。
もう1人は【微睡む一角獣】のリーダーの弟だということ。
それらが判明。
「【一角獣】のリーダーのリーコックなら話した事もあるし、『弟が女に絡んで警備兵に捕まった』って一応知らせておいてやるか」
という話になって、冒険者達は店を出てそれぞれ自分の仕事へ向かった…。
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【微睡む一角獣】はマリーと面識がある。
ハートリー→エアリーマス間のブラックウェル商隊の護衛で一緒だった。
と言ってもマリーは親しくもない相手のことをいちいち記憶に残さないたちだ。
マリーはリオンと侍従のブロックのことは先日辛うじて思い出したが…
それ以外の者達の顔など覚えていない。
そもそも無視されていて職務遂行上の連絡のための会話すら成立していなかった。
話しかけようとしても顔を背けられていたのでマトモに顔を見たのは初対面の挨拶の時だけだったのだから顔を覚えられなくても仕方ない。
【微睡む一角獣】メンバー。
リーコック・ハーツホーン
ヨーク・ハーツホーン
モートン・ハートネット
オグデン・ハートネット
この4名は表面上は自由な冒険者だが…
実質的にはリオン・ハートフィールドの私兵。
いわゆる「腰巾着」。
リオンがマリーに不快感を表明した事もあり、ヨーク・ハーツホーンはマリーと出会った初っ端からマリーに対して敵意を持った。
奇しくも再会し
奇しくも失明の危機から自分を救ったのがマリーだと知ったが…
「感謝したくない」
という気持ちが強かった。
だが…実際押しかけてマリーと対面してみて
(…なんだかショックだ…)
と感じた。
(…あの目付きは知人を見る目じゃない…。あの女、本当に、俺の事を一切、これっぽっちも覚えていなかったんだ…)
と判った。
不思議と落ち込んだ。
嫌いな相手から自分という存在が認識されていない。
本来なら有り難い事の筈なのに…
それでショックを受けている自分が自分でも理解できない…。
ヨークは兄のリーコックが迎えにくるまでドミニクと共に警備隊の詰所に軟禁されて事情聴取を受けた…。




