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買い物

挿絵(By みてみん)


掃除で汚れた水を捨ててバケツを洗って家内に入った後

一旦屋根裏部屋に戻り

布巾や雑巾に出来る布を木箱から取り出した。


(中のものを取り出して使うかも知れない木箱はベッド代わりにすると後から面倒だな…)

と気付いたので、不用品の入った木箱のみを寄せ集めてベッド代わりにする事にしたのだ。


お陰でセミダブルサイズからシングルサイズへと寝るスペースが縮小されたが、私は大柄ではないので問題はない。


ゲームに登場するローズマリー・ウィングフィールドも大柄ではない。

身長体重などが明らかにされてた訳ではないが女性として標準の身長。


多分現時点の私の身長とそう変わらない。

今後変化するのは主に体型。


現状は痩せ過ぎていた状態が多少改善された状態。

胸もツルペタよりはマシという程度。


一方でゲームに登場するローズマリー・ウィングフィールドは細身なのに胸はある。

(因みにヒロインのアンゼリカは童顔でまな板胸。小柄。「永遠の少女」風のキャラ)


私は今後の3年間で劇的な体型変化をして、18歳になる頃には外見はゲーム通りの体型になってる筈…。


木箱に入ってた布は小さいものでもタオルサイズ。

ハーフタオルサイズの方が布巾・雑巾として使いやすいのでサバイバルナイフで半分に切った。


切り目を縫った方が布のほつれも防げそうだが裁縫道具がない。

考えてみればローズマリーは針と糸を持ってなくて裁縫の経験がなかったが、私のほうは前世では裁縫は趣味の一つだったのを思い出した。

手縫い・手編みで作れる物も多い。


「町へ買い物に行くなら裁縫道具が欲しいなぁ…」

と呟きつつ私は慎重に屋根裏部屋のハシゴを降りた。


夕食を作るには材料が要る。

材料が不足してるなら「町で買って来ます」と言い張って買い物へ行ける…。

そのついでに裁縫道具を買っても誰も文句は言うまい。


早速、台所にある食材を物色する事にした。


台所へ行ってみるとチェスターが台所で立ったままレーズンらしきドライフルーツを食べていた。

「小腹が空いちまってなぁ」

と笑う。


そういう間にもチェスターの腹がグゥーとなっていた。


「夕食の支度に取り掛かりたいんですが、材料とかは何があるんですか?」


「さぁ?今日はランドンが担当する日だったから何か作るつもりで材料は買ってた筈だが…。

アイツの作るものは定番料理とは真逆のいわゆる創作料理ばかりだからな…。何を作るつもりで何を買っていたのか、ちょっと予想がつかないな…」


異形の料理を連想で思い出したのか…

チェスターが苦虫を噛み潰したような表情をした。


「では、ちょっと見てみますね」

と戸棚やら魔道具冷蔵庫(?)やらを覗いてみると


卸されてない魚があった。

野菜も幾つか。


魚をメインで野菜は付け合わせとスープに使うつもりだったのかも知れない。

小麦粉がすぐ判る場所に見当たらないので、パンは自分達で焼くのではなく店で買っていたのかも知れない。


「小麦粉が見当たりませんがパンは焼いてないんでしょうか?」


「ああ、パンを自分で焼いたヤツはいないな…。小麦粉…今から買って来ようか?」


「あ、お店の場所を教えてもらえるなら私が買って来ます」


「それじゃクラークから食材費をもらってくれ。買い物出来る店もクラークが一番詳しい」


「そうなんですね?クラークさんの部屋は何処ですか?」


「2階に上がって右手奥の部屋だ」


そう教えられてクラークの所までお金をもらいに行くと

「口で場所を教えるだけじゃ分かりにくいだろうから一緒に行くよ」

と言われて一緒に買い物に行く事になった。


「裁縫道具の店とかも分かりますか?」


「服飾店の隣にある手芸道具店なら食材店より近いから先に寄って行こうか?」


「お願いします」


クラークの言葉通り、確かに拠点の近くに服飾店と手芸道具店があった。


「先に終わった方が探しに来るという事で」

と言って、クラークは私が手芸道具店で裁縫道具を物色する間に服飾店へいった。


私は縫い針と糸を物色し、糸の色を3色選んで購入。

クラークが戻って来てないので服飾店へも入ろうとしたら丁度クラークが出て来た。

クラークも何か買ったようだ。

女モノの市販服が売ってる店で買い物する青年…。彼女がいるらしいので彼女へのプレゼントという所か。


(リア充だな…。この人…)


私は内心思った事を口には出さない代わりに

「小麦粉以外にも食材を買い足したいんですが良いですか?」

と訊いてみた。


ダンジョン潜りが長引いたりする事もあり、毎日買い物出来るとは限らないと聞き、日持ちする食材を仕入れておきたいと思ったのだ。


仕事が長引いた日の夕食は大抵外食になってるらしいが…

その場合は翌日の朝食もなくなっていた。

何せ朝食は前の晩の残り物を温めるだけだったとの事だから。


(使用人として雇われた以上、キッチリ仕事しなきゃだしね…)


引き寄せ(アトラクション)」で食材を複製しておいて亜空間収納で保管してた方が良いかも知れない。


クラークに連れられて行った食材店は屋台の店ではなく箱型店舗の店だった。

屋台の店だと穀物なら穀物だけ。果物なら果物だけ。野菜なら野菜だけ。といった感じで何軒も回る事になる。


屋台は箱型店舗より安いというイメージがあるが実際には値段を安くし過ぎないように同種の商品を扱う店同士がある程度値段を話し合って決めているので、そう安くもない。


そもそも値札を出さないので客によって値段を変える者も多い。

他の町から入って来た新参者や余所者には特に吹っ掛けるので、私が屋台で買い物すると逆に高く付くのだそうだ。


(うわぁ〜…。やっぱり世の中世知辛いなぁ〜…)

と心からガックリした…。


ただ買い物を終えて拠点のシェアハウスに戻ってくると

「マリーへのプレゼント。エプロンを買ったから使って欲しい」

とクラークが服飾店で購入したものを包みごと渡してくれた。


包みを開けてみると、可愛いフリルと刺繍の付いたエプロンだった。


(…いや、何この人。優しい…。彼女持ちはやっぱり気が利く。良い人だ…)

とクラークを見直し、私の機嫌は急上昇した。


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