間話
【千本槍】の面々はAランク冒険者に昇格された。
ーーと同時に
テレンスとランドンは押し付けられた婚約者との結婚が確定。
先方の親から挙式の日取りまで告げられて逃げられなくなった…。
一応、交渉の末
「必ずしも同居は必要ではない」
「子供を1人作ればノルマ達成」
「子供が10歳になれば離婚可能」
という妥協案を与えられたものの…
子供が出来て10歳まで育つ間、貞淑とは言えない女を妻として養い続けなければならない事に変わりはない。
ランクアップに伴い依頼料が上がるので、妻が生活するのに必要な最低限の金額を渡しても、それまで通りの生活はできる。
要は
「十数年間ハートフィールド公爵派へ上納金を渡すのだ」
とでも思っていれば良い。
勿論、渡した金は
「名目上の妻の生活費」
として使われるので、公爵にまで渡る事はないが。
派閥を率いる者からすれば
「傘下の者達が暮らしていくための金を工面していく事」
も大事な事である。
「派閥とコネを持つための接点」
という役目を傘下の役立たずに与えて
「新参者に養わせる」
のも派閥を低コストで維持していく上で必要な金策の一環だったりもする。
妻となる女達の方でもそれはちゃんと理解出来ている筈だ。
要は新参者は「金ヅル」なのだ…。
双方の間に子供を1人作ってしまえば、後は互いに自由。
名目上の夫婦となり金を受け渡しするだけの関係になる。
永遠に寄生し続ける事は出来ないが10年にわたり寄生できる。
子供へは15歳まで養育費が支払われる契約になっている。
誰からも
「結婚したい」
とは思ってもらえない不誠実な女達…。
(…ヤリマンっていう人種にはファザコンが多いよな…)
と密かにテレンスは思っている。
(父親からペットを猫可愛がりするような無責任な可愛がりをされた娘は、何故かヤリマンに育ってしまう、…みたいな法則でもあるのかね…)
「ペット感覚の猫可愛がりを愛情だと錯覚する」
から、少しチヤホヤされればそれを愛情だと錯覚する。
簡単に股を開いて
その評判が広まれば益々チヤホヤされるが
誰からも結婚はしてもらえない。
娘をそんな風に育ててしまう父親達が何故そのパターンに気付けないのかが腑に落ちない…。
少しチヤホヤするだけで簡単に股を開くヤリマンの世話になった男は数多くいるが…
「自分の娘がもしもああなったら」
と思うとゾッとする男も多い筈なのだ。
なのに
「そういう風に自分の娘を育ててしまうバカ男」
が社会には一定数湧くから、ヤリマンも作り出され続けるのだろう。
上辺だけの甘やかしや依怙贔屓を
「愛情だ」
と錯覚させて躾もせずに社会に出せば…
どうしたって社会的不具合の原因になる。
「どういう状況でどう接すればどういう刷り込みが起こりどんな人間性が宿るのか」
という側面における無知と無関心。
それが我が子を猫可愛がりして躾もせずに非常識な生き物に育ててしまえる親達に共通する悪徳。
妻の父親、つまり義父となる男は
「ただ娘を甘やかして育てただけだ」
と思っているのだろうが…
そうやってクズな父親が
「常識を教えずに娘を育てた」
ことで
テレンスのような新参者が
「常識知らずの不実な女に寄生される」
事態に繋がっているのである。
(ムカつくのはそういった不実の元凶が「相手を苦しめた自覚もない」「罪を罪とも思っていない」という点だろうな…)
「そろそろ時間だぞ。ギルマスの自宅の場所はドウェインが知ってるんだったよな?」
とランドンに話しかけられてテレンスは考えに沈むのをやめて出かける支度を始めた…。




