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インビジブル

挿絵(By みてみん)


大量に魔力を使う検証は

「いつ何があるか分からない独り旅の途中」

で行うにはリスクが高い…。


なので検証は

(「+10」の通常フォローで小石を同時に3個投げたら幾つに増えるんだろう?)

という実践的実験で行った。


その結果、嬉しい事に

「同時に3個投げたら33個に増える」

事が分かった。


なので投げやすそうなサイズの小石を拾いまくり亜空間収納で収納。

「小石なんて何処にでも落ちてる」

とは限らないからだ。


どんなにチートになっても楽観的になれない用心深い性格なのである…。



********************



さてーー

多くの人間が一生涯に一度しか食べないホスチアだが…

結構腹持ちもして美味しい。


亜空間収納で時間停止した保存が可能だから未だに食べられる状態。


引き寄せ(アトラクション)魔法で延々増やせる!」

と分かったのだから、栄養補助食品やサプリメントと共に貴重な食糧になった。


私は微かな期待を込めてホスチアを食べた後、何度となく自分自身を鑑定していた。


(実は食べる度にスキルが増えたりとかしないかな?)

と思ったのだ。


だが結果として

「増えない。ホスチアを食べて与えられるスキルは一度だけ」

と判明。

ガッカリだ。


その後は食後に自分自身を鑑定しなくなった…。



********************



そうして出奔から10日ほど経った頃ーー


やっと

不可視インビジブル

がグレーアウトから解放された。


(これで街道を歩けるな…)

とホッとして、川辺から離れる事を決意。


流石にずっと人間と会わず

「ひたすら魔物とのみご対面」

という状態が続くと…人間不信の私でも人恋しくなるものである。


街道を行くとなると魔物だけではなく盗賊も警戒しなければならなくなるが

不可視インビジブル

で見えなくなれるのだから、盗賊の監視網にも引っ掛からない。


途中で盗賊の斥候らしき男を見かけたが…

相手はこちらに気付かなかった。


【気配察知】スキルを持っていたので

「流石に気付かれるだろう」

と思っていたのだが


案外、気配だけ察知しても

「草陰の小動物だろう」

と思って見逃してしまうようだ。


ファンタジーRPGやファンタジー小説でお馴染みの

「魔力探知」

のようなものは存在しないのか、口さがない人達の噂話でも一度も聞いた事もない。

そもそも「魔力」の存在自体が周知されていない。


【気配察知】スキルではおそらく魔物と動物の区別もつかないのだろう。

魔力の有無での識別ができない以上、殺気の有無で小動物か魔物かを区別しているものと思われる。


姿を消して移動する私からすれば

「野生動物や低ランク魔物を狩る猟師や低ランク冒険者」

の方が

「人間を狩る盗賊」

よりも探知範囲に入った場合の危険が大きいようだ…。


インビジブルは万能に近いが万能ではないという事だ。

【気配察知】スキル持ちには今後も気を付けたいと思う。

(狩られる側の気持ちが分かる…)


それ以外にもインビジブルの掛けっぱなしは

「魔力管理が難しくなる」

という問題がある。


メイクバリアーとインビジブルを掛けっぱなしにしておくと…

歩いている時間が長いと回復が追いつかない。


お陰で休憩時間や睡眠時間を増やす事になり一日で進む距離が極端に短くなった。


それでもつつがなく旅ができるのでインビジブルを使わないという選択肢はない。


盗賊が襲って来ないのみならず、魔物でさえ一方的に狩れる。

フォロー投擲で攻撃すれば接近する必要すらない。

下手くそなコントロールでも当たってくれるし、威力にも補正が掛かるのだから、かなり楽に魔物を狩れる。


ソロで冒険者活動しても危なげなく活動できるくらいの実力はついたと思う。


と言っても【魔法】スキルは超レアスキル。

この世界の多くの人達が

「魔法=御伽噺の中のもの」

だと思っている。


魔法を使う事で不審がられれば異端審問やら魔女狩りの対象にされかねない。あまりにも人間離れした超レアスキルを他人の前で使ってはいけないのだ…。


(…まぁ、フォロー投擲くらいなら見られても「レアスキルを授かったんだ」と言い張って、それで通用しそうだけどね…)


大抵の人が

【一部能力向上(微)】

という微妙なスキルをもらうのだが全員がそうではない。


モブスキル以外のスキルは多様

【鑑定】

【目利き】

【剣術】

【槍術】

【弓術】

【斧術】

【盾術】

【馬術】

【体術】

【蹴術】

【舞術】

【従魔術】

【薬術】

【医術】

【学術】

【錬金術】

【話術】

【交渉術】

【病気耐性】

【毒耐性】

【状態異常耐性】

【気配察知】

【気配隠蔽】

【威圧】

【魅惑】

【硬化】

【石頭】

【清掃】

【整理整頓】

【洗濯】

【調理】

【悪食】

【木工】

【修理】

【解体】

【腐食】

【発酵】

【脱毛】

【増毛】

など、時には妙なスキルの存在も知られている。


これらのうち役に立つものがレアスキルと呼ばれ、役立たずスキルがハズレスキルと呼ばれる。


【投擲】スキルがあったとしても誰も不思議に思わないだろう。


フォロー投擲に関しては

「【投擲】スキルだ」

と言い張れば良いので必死に隠す必要もない筈。


インビジブルで気付かれないので、街道を行き交う人達を一方的に観察・鑑定できる。

他人様のスキルの実情を盗み見して、スキルの自然・不自然を理解する事にしたい。


真っ先に通り掛かった商人と護衛の鑑定結果は

「ロバート・タッチェル:51歳:エクストラスキル【一部能力向上(小)】:コモンスキル【話術】」

「ジョニー・スウィフト:25歳:エクストラスキル【一部能力向上(中)】:コモンスキル【剣術】」

「ラッセル・スクワイア:24歳:エクストラスキル【一部能力向上(中)】:コモンスキル【盾術】」

「ポール:21歳:エクストラスキル【従魔術】:コモンスキル【カウンセリング】」

といったものだった。


(エクストラスキルの【従魔術】って「レアスキル」だよね。ポールさん、姓は無いので平民だ…)


「エクストラスキルがホスチアを食べて得られるスキル」

だという事はわかるが…

私の【魔法】スキルはユニークスキル。


ユニークスキルが一体エクストラスキルとどう違うのか、定かではない。


何人もの人達のスキルを見させてもらった限りでは

「コモンスキルは生活上の反復で後天的に得られる職業関連スキル」

のようだ。


私がコモンスキルを二つも持っているのは、それだけ

「只働きで頑張らされた」

という事なのだろう。


だが私にはユニークスキルがあるのに

エクストラスキルがこれまた二つもあるのは不思議ではある。


(「物語の登場人物として処刑される年齢まで過酷な環境でも生き延びられるように」と、シナリオ強制力として生命力が強化された?とか?)


…我がことながら首を傾げてしまう。


(シナリオ強制力が「18歳で死ぬこと」という形で働いたりしないでくれるとありがたいんだけど…)


こればっかりは該当年齢を過ぎてみないとシナリオ強制力が本当に存在してるかどうかも分からない。


死亡フラグ期間を過ぎても生きていられたら

エクストラスキルの【病気耐性】【毒耐性】は

「ただのありがたいスキル」。


(長生きしたいよ…)

と思いながら通り過ぎる馬車を見送った…。


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