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解呪という元凶削除

挿絵(By みてみん)


その後すぐに

(「ディスペル」は利便性の高い「使える」魔法なのかも知れない…)

と解呪の可能性に気が付いた。


この世界はゲーム通りの世界ではないものの

『聖華の花冠』と似た要素もある。


ローズマリー・ウィングフィールドである自分の実在。

攻略キャラであるヒューバート・ウィングフィールドの実在。

別の攻略キャラであるシミオン・ハートフィールドの実在。

ゲーム内の登場人物が生きて暮らしている。


それならば敵キャラも実在していると思われる。


敵キャラは【威圧】スキルを持っていた。


要は

「殺気を飛ばして死相を貼り付け、死すべき運命へと標的を押し流す」

ような作用を持つスキルだ。


猫科の肉食獣や人肉を喰う高ランク魔物が持つ事のあるスキルでもある。


【威圧】を使われると物理的にも精神的にも金縛りに遭う。

戦いにすらならずに

「貼り付けられた死相の通りに殺され喰われる」

事になる。


「殺気に呑まれず死相を霧散させる」

為には

「胆力と動的対処が必要」

となる。


ゲームのみならずラノベなどにも登場していたお馴染みのスキルではあったが…

そういった恐怖による金縛りは実際に現実の世界にも存在していた。


勘の良い人間なら

「他人を殺す事に何の罪悪感も持たず、生々しい近接戦で他人を殺せてしまう人間」

と遭遇した事があれば…


「他者に死相を貼り付けて死相の通りに標的を殺す負の現象再現作用」

「そこに有る」

事にも気づいてしまうものだ。


他人を殺し慣れた人間が意図的に殺気を飛ばせば

対処不能な一般人にとっては【威圧】として作用する。


交渉も何もあったものではない。

対等な等価交換など通用せずに一方的に不利を強いられる。


他人を殺し慣れた人間が振りかける死相が強烈である要因には

「殺された者達の遺志が生者達に対して『理解して欲しい』という共感の強制執行を振りかけているから」

でもある。


尊厳を奪われて

殺されて

恐怖で蹂躙されて

殺戮者の罪さえ暴かれず

殺戮者が断罪されず何食わぬ顔で生きている現実に対して


被害者は

「皆に理解して欲しい。皆も同じ思いをして欲しい」

と思いがちだ。


「誰にも理解されなくて良い。同じ思いをして欲しくない」

などと自己犠牲的利他主義を持つ筈もない…。

だから成仏できない犠牲者の魂自体が呪物となる。


日本では「鬼」は虎柄の腰布を巻いた巨躯の蛮人をコミカルに茶化したイメージだが、元々は「死者」「殺人の被害者」を指していたと思われる。


「虎に(心無き獣に)食い殺されて恐怖で蹂躙された死者が生者に対して『同じ目に遭え』と凶相を振り撒く」

そういった根源的イメージが「鬼=おに」にはある。


呪物化した亡者の作用。


それによって

「加害者が犯行を続けやすい状況が加害者の周りで再現され続ける」

のだ。


つまりは

「凶相の増幅再現作用」

である。


圧倒的多数がそれに気付かなくても、それは確かに存在する。

(地球世界でもこの世界でも同様にある)


犠牲者の魂に意識上昇が起こり

「誰にも理解されなくて良い。同じ思いをして欲しくない」

という思いが起こったら


その時にやっとーー

殺戮者が振り撒く死相に綻びが生じる。

【威圧】にも綻びが生じる。


のだが、そういう活路は勝手に拓かれたりしない。


そこにも

「現象再現作用の無難化」

と同じ道理が存在する。



死相のパンデミックを防ぐにはーー


霊感ある善意の者が

「虐待の根っこには虐殺の相があり、虐待は虐殺の相が薄れて小難化したものだ」

という事を理解する必要がある。


その上で

社会内で虐待され

不条理に煮湯を呑まされ

想いも言葉も何処にも届かず


それでも

「誰にも理解されなくて良い。同じ思いをして欲しいとは思わない」

と願う事。


立つ鳥跡を濁さず、という覚悟で見返りを求めず

凶相も嘘も欺瞞も要らないのだと

凶相とも嘘とも欺瞞とも決別するのだと

心から願う…。


それが

「無難化書き換え」

を引き起こす火種を付ける。


必ずしも火種が鬼に感化を及ぼすとは限らない。

必ずしも鬼が鬼でなくなるとは限らない。

殺戮者の振り撒く死相を焼き尽くす大いなる浄化の炎に育つとは限らない。


だが浄化の炎とはそういうものなのだ。


誰かがその炎を灯してきた。

その役割も受け継がれてきた。

だからこそ人々が殺し合うことなく社会生活を送り文明を積み重ねる事ができた。


「有り難い」

という感謝の言葉には


「本来ならあり得なかった善意が有って現状が在る」

という現状認識を踏まえた理解が含まれていなければならない。



ーー未だホワイト王国に敵国からの武力侵攻はないが…

(「ディスペル」で【威圧】効果に横槍を入れられるなら、それが一番良いのかも知れないな…)

と思う…。



********************



ここ数日の望みとして私は

「インビジブルとアヴォイダンスを掛けた上でダンジョンに潜りたい」

と思うようになった。


だがどんな想定外の危険があるとも限らないので

「ハートリー近郊のダンジョンの情報を仕入れるのが先だ」

とも思った。


困った事にダンジョンの情報など、そこかしこに溢れているものではない…。


「Dランク以上の冒険者でダンジョンの魔物の間引きの依頼を受けてる人達からダンジョンの情報を聞けると良いんだけど…。ただでペラペラ喋ってくれる人とか居なさそうだし…。どうしたものか…」


エアリーマスに居た頃は【千本槍】メンバーが潜る予定のダンジョンに関する予備知識を前もって教えてくれていた。

一緒に居たのは2ヶ月程度の期間だったが、彼らのお陰で冒険者の常識のようなものはある程度身についた。


「新【千本槍】はハートリー近辺のダンジョンに詳しいとは思えないし…。暇な時はインビジブルとアヴォイダンスを掛けた状態で町中で情報収集して回ったほうが良さそうだな…」

と当面の情報収集法は決定しておく。


インビジブルとアヴォイダンスの常時発動は絶対に必要だろう。


普段から姿を消しておいて

「冒険者ギルドへ顔を出すのも神出鬼没」

という状態を維持すれば…

「問答無用で捕獲されて治癒魔法をアテにされる」

ような事も無くなるだろうと思うのだ。


だいたい、冒険者には「依頼を受けない自由」「指名依頼を断る自由」が保証されている。

なのに先日は完全にその自由が無視されていた…。



冒険者ギルドの診療室で働いている薬術師だと

「薬を作って常備して、決められた時間帯に診療室で待機している」

のだが…

常に怪我をした冒険者の手当てをしたり、薬を作ってる訳じゃない。

それ以外の時間は薬の研究などをして暇を潰している。


薬術師の給金は暇な時間の分もでている。

「診療室に待機させて拘束しているから」

出るのだ。


給金が

「労働の発生していない拘束時間の分も出る」

からこそ

「冒険者ギルドの診療室で働いている薬術師は嫌いな冒険者が怪我人として運ばれて来ても手当てする事を拒めない」。

職務放棄できない義務が生じている。


そういった「優遇と義務」は低ランク冒険者の私には無い。


「暇な時間も拘束時間として給金が出る人達」とは待遇が違うのに…

「義務や責任の面で、高待遇の人達同様に自由を認められない」のだとしたら…

「そんな不条理を強いるお前らなんかと誰が関わるかよ」と避けたくなるのが人情。


(こちらの都合を配慮しない依存をして粘着にしがみつこうとしてくる人達って、もしかしたら「逃げられる心配」とかをしてないから、御都合主義的なダブスタ人権侵害を平気でやらかすのかも知れない…)

と思い至って、ゲンナリする…。


競合相手のいない独占市場だと、人間は独善的御都合主義に耽る。


特に集団だとーー

誤認識を相互的に強化し続け集団で確証バイアスに陥る。

そうなると益々物事の適正値を理解できなくなる。


(「集団で確証バイアスに耽ってる人達との間には等価交換が成立しにくい」という問題は、人間社会で暮らす限りついて回るんだろうな…)


そう思ってしまい

ついつい溜息がこぼれる…。


私のような稀少能力を持つ人間の労働環境が改善されないのは

「労働環境を改善しなければ逃げられる」

「逃げられれば稀少能力に依存するどころではない」

というシビアな状況に対して


「押し付けと脅迫で封じる事ができる(多情多恨さとテロリズムは他人を操る万能ツールだ)」

と思っている人達が多いという事だ…。




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