表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/220

毒と解毒

挿絵(By みてみん)


薬材商ギルドに戻るとーー


既にメリガンが休憩を終えて午後からの仕事に入っていたので

私もメリガンに倣って指示された役割をこなした。


薬草への治癒魔法付与は午前中で終わらせていた事もあり

私はメリガンと共に検品作業を手伝ったのだ。


検品は通常は仕入れた品の検品と出荷する品の検品の二種類。


今日は私が来た事もありメリガンの仕事は

「治癒効果を付与された薬草」

の鑑定。


治癒効果の付与された薬草は

「品質が底上げされた」

鑑定結果になるので、品質をグレードごとに分類していく。


私はメリガンが分類したものを

「商品出荷待機所」

へと運んで棚ごとに収める。


因みに私は全ての薬草に魔法付与した訳ではない。


「安い薬草しか買えない客のために敢えて品質を上げずに従来のままの値段で売る商品も確保しておく」

のだそうだ。


邪魔が入るでもなかったのでスムーズに仕事が進んで、勤務予定時間になった時点で無事に仕事を終えた…。


警備隊が捕まえた不審者をすぐ釈放したなら

途中でまた邪魔者に押し掛けて来られる可能性はあったが

どうやら簡単には釈放されなかったようだ。


(良かった…)

とホッとしながら薬材商ギルドを出た。



(冒険者ギルドに報酬を受け取りに行こうか?)

と思ったが


(待ち伏せされてたりとかしたら嫌だなぁ)

とも思ったので…

報酬の受け取りは数日後の混まない時間帯に行く事に決める。



********************



路地裏に入り込むと同時にーー

「インビジブル」「アヴォイダンス」を掛けて、町中を抜けて郊外へ向かおうとするが…


途中で馴染みの野良猫達を見かけた。


やはり猫好きの人というのは一定数存在しているという事なのか?

男性から餌を与えられているようだった。


ーーが、少し様子がオカシイ。


(…この町の猫の体調は今ではそこまで悪くない筈なのに…なんで具合悪そうな子達が多いんだろう…?)

と不審に思った。


(そう言えばーー)


(猫好きの人間もいれば、小動物を殺して喜ぶ人間も、社会には湧くんだった…)

と思い出す。



黒魔術や呪術が

「魂レベルのストックホルム症候群」

を利用した外道術だという事を勘定に入れるなら


「わざわざイジメて苦しめ恐怖で心を壊したほうが旨味が出る」

というテロリズム的価値観も外道術の道理ではあるが…


しかしそこには重い業が降りかかる。


それこそ国家の重鎮が国民の命と富と生活を護りながら業を背負う

「護国目的で自国において行う専守防衛の秘められた外道呪術」

とかではない限り、全く正当化できないものだ。


ゆえに

「テロリズム的価値観に適応できる者達の魂に安寧はない」

という事も正気の人類の道理である。




(…あの男…。鑑定してみようか?)

と一瞬思ったが


(…ああ、でも多分、行動異常を引き起こしている精神異常は鑑定結果に反映しない。「解呪ディスペル」でしか原因削除できない精神異常は「解呪ディスペル」でしか割り出されないんじゃないかな…)

と思い直した。


薬物や飲食物の副作用で起こる精神異常は

状態異常回復キュア

または

無効化サニタイズ

などで改善できるのだろうが…


それこそ

「魂レベルのストックホルム症候群」

と関連した強迫観念ベースの精神異常は

解呪ディスペル

で改善するしかない。


先ずは

(餌に毒が混ぜられているんじゃない?)

と疑い、餌を鑑定。


すると

「ホーン・ヘアの肉:美味:供給も多いが需要は更に多い:Fランク食材に該当:毒入り」

「ホーン・マウスの肉:食用可:供給は少なく需要は多い:Gランク食材:毒入り」

という結果が出た。


私は思わず毒入りの餌を猫に食わせた男の顔をマジマジと見てしまった…。


インビジブルのお陰で相手は私が見えない。

観察は一方的だ。


(やっぱり頭オカシイよな…)

と思い

解呪ディスペル

を掛けてみる。


「強迫観念による嗜虐欲」

という不具合原因が半透明タブレットに表示されて

「強迫観念を引き起こしている記憶情報→削除しますか?」

と下段に出た。


当然、執行するが…

(こういう「強迫観念を引き起こしている記憶情報」って読み出しできないのかな?)

と疑問に思った。


多分、コンピューターウィルスと同じように

「ファイルを開くと感染する」

ような類のものかも知れないので


「中身を開かずに削除する」

のが正解なのだろうけど


「安全に中身を見る」

事が出来るなら見たほうが


「外的分析の分類と、内的反映との関連」

に対する理解も深まりそうだ、という気はした。


なので

「読み出すだけで異常を引き起こす情報を安全に読み出すセキュリティー機能付与したデコード魔法」

魔法創造マジッククリエーション

が使えるようになった時に創る魔法の一つとして検討しても良い気がする。


今はまだ削除しかできないので

「YES」

をタップ。


そして毒餌男を観察するとーー


「紫、黒、赤」

といった色合いの内気オドが男の内側から出てきて

それが男の頭上に現れた強烈な時空の歪みへと吸われていく…。


(そう言えば、こういう「モノ」に憑かれている人達って前世でもいたよね…)

と思い、人間の霊的無防備さに対して少しウンザリした。




フォース」と呼ばれるものには

内気オド」と「外気マナ」がある。


「紫、黒、赤」

といった色合いのマナは神聖だが、同じ色合いのオドは邪悪である。

「黄、白、緑」

といった色合いのマナも神聖だが、同じ色合いのオドは俗悪である。


「白、赤」

といった色合いのフォースは乳と血、依存と自立を象徴する。

これもマナだと「真実と真心」を意味し、オドだと「欺瞞と嘘」を意味する。


【マナとオドでは全く品位が異なる】


「存在性の品位の格差によって作用も存在意義も全く異なるものになってしまう」

という事だ。


因みに呪力とか魔力とかの素となる魔素とでも呼ぶべきものは

「マナとオドとの間に相似的相関関係が構築されている状態のオド」

を指す。


つまり

「上なるものは下なるものが如し、下なるものは上なるものが如し」

という状態になったオドがマナと一体化。

その状態のオドを操作して任意の干渉を加えようという訳である。




(この毒餌男…。ここに居られると邪魔だよな…)

と私は思いながら…

ディスペルを掛けると急に安らかな表情で眠り込んでしまった男を見つめる。


(猫達を別の場所へ移動させて解毒してやった方が良さそうだな…)

と思うのだ。


「現象の再現作用」は「場所」との関連で起きやすくなる。


交通事故の起きた現場で繰り返し交通事故が起きるのも

「場所」と「現象」との関連性によるものだ。


「この場所で猫達は毒を盛られた」ーー


今後もこの場所で人間は邪まな考えを起こして猫を虐待、或いは誰かに嗜虐心を向けるようになりかねない。


「現象の再現作用」が「場所」との関連で起きやすくなるのは、犬が縄張り内で繰り返し同じ場所にオシッコをするのと似てはいる。

そういうのは「時間経過し、類似した別の要因で上書きされる」と「現象の再現作用」も薄れていく。


具体的にはーー


殺害現場や殺害未遂現場に善良な人達が何度となく赴き

「他者を害したい感情や衝動を感じるが、それを抑圧し、結果的に短慮を起こさずにいた事がプラスに働く経験をする」

「他者から害される恐怖心を感じるが、それを抑圧し、結果的に短慮を起こさずにいた事がプラスに働く経験をする」

とする。


それによって「凶事が繰り返される再現作用」が「無害化」される。

(当人は「自分が凶相を無害化している」自覚はないが)


善良な人間と、善良な人間を包括し生かし増やす社会は

「現象の再現作用」を認識すらしていないままに

その中にある危険を抑圧している。


「人間が善良であること、社会が善良な人間を包括し生かし増やす社会であること」

それらは人間と人間社会の滅びの原因を無自覚なまま抑圧して、人類の存続を補佐している。


その手の善良な人達は性善説的世界観によって悪人の存在を不可視化する無防備な人達でもあるので、国家権力側が国防・治安維持を外敵相手に放棄すると簡単に絶滅危惧種になる。


霊感のある人間は無自覚に凶相の無難化をする善人とは違い

「自覚的に凶相の無難化をする」。


「この世とは質量を伴うVRである」

(或いはそれと類似した相対的幻影空間である)

と認識していれば

「現象の再現作用と生き物や物質の存在性の作用を勘定に入れた人類の存続と社会の無難化」

を模索しようと思えるだろう。


だが存在するだけで悪の作用を撒き散らしている人達からすれば

「存在性の作用など認識も理解もしたくない」

ものらしく…

そういった部分をブラックアウトさせた現実認識のまま自分達の影響力を強めようとする。


地球世界の場合は何十億もの人間がいたのに…

現象の再現作用、生き物や物質の存在性の作用を認識する人自体殆ど居なかった。


なのでそれを勘定に入れた調和図を模索しようとする者も見られなかった。



「見えてはいけないものが見える=霊感がある」と解釈する人達は地球世界にもいたし、この世界にもいる。


基本的に幻覚を見る素質は寝てる間に夢を見る者になら誰にでもある。


幻覚を見せられるのは、ネット端末が乗っ取られて誤作動し画面に望まない映像が反映するようなものである。

つまりは

「見えてはいけないものを見させられてる」

のはOS管理ができていない、そもそもOS管理という概念すらない。


霊感のある者からすれば、そういうのは

「開くだけでウイルス感染するファイルが開けてもいないのに勝手に開いて誤作動を拡大していく」

ようなものなので

「見えてはいけないものが見せられたら、その時点で後手に回っている(負けている)」

のである。


共感覚的視覚による読み取り再生精度が(いわゆるサイコメトリー能力が)高いと犯罪捜査の犯人割り出しに役立つ反面

「相手が見せようとしたものがそのまま見える」

ので、相手の思惑に乗せられ肩入れしやすくなる。

(自覚できない憑依状態が慢性化しやすい)


因みに「見せられている」状態の時に霊感のある人間なら

「自分がレコードプレイヤーの針になったかのような」

感じを受ける。


「情報を含むディスクの溝に嵌っていて、そこから抜け出さないと巻き込まれていく」

事が本能的に分かる。


「自分の中の再生機能が起動している感覚」を持たずに

再生機能を強制終了する権限を持たずに

意識の全てを「作られた世界」に埋没させる人達には…

霊感というソフトウェア側面における空間認知力がない。




ともかく今は

「猫殺し」

「毒殺」

の相を

(現象遺伝子を)

無効化させるように気を使うべきだ。


(強迫観念を除去したせいで余計に悪人への警戒心が湧かなかったのかもな…)

と思うと、猫は所詮猫で自分と同じ人間ではないにも関わらず罪悪感が湧きそうになる。


(まぁ、「人々を平和ボケさせておいて護らない(護らせない)」みたいな事を平気でやってた地球世界の諜報工作よりも私の方が何億倍もマシの筈だ)


猫の精神のためにもーー

毒を盛られた現場と、解毒される癒しの場とはちゃんと分けた方が良い。

その方が猫達の精神への混乱と悪影響も減らせる。


(仕方ないな…)

と思いながら私は、毒餌で状態異常になっている猫達にインビジブルを掛ける事にした。


物理的に猫達を7匹も移動させるのには無理があるので

「インビジブルで空間の周波数帯だけを変更」

してから解毒してやる事にしたのだ。


「悪意ある者に害されるという低次元な非日常」

「善意による癒しを受けるという高次元の非日常」

との間に違いを引き起こす。


(…アンタ達が猫好きの人間達から可愛がられて幸せになるには「盲滅法に悪意に敏感になる」のではなく、ちゃんと「次元の違い」を認識できるようにならなきゃね…。たとえ、本能的にでも、潜在的にでも…)


密かに殺そうとする気狂いと

密かに助ける善意の人間。


その違いを本能で潜在意識でちゃんと区別するなら

無駄に迷わずに済む。


…猫達は解毒した後も元気がなく

それでいて私の匂いを覚えようとするかのように

私に鼻を寄せたり私の肌を舐めたりしていた…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ