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誕生日覚醒

【注意】

異世界モノの物語です。日本社会とは違う常識の世界観の話です。

日本社会では犯罪だと見做される行為が犯罪とも見做されずに行われていたとしても犯罪等を助長する意図はありません。ご了承ください。

この作品はフィクションです。実在の人物・団体などとは関係ありません。


*基本的に物語は主人公の独白・独り言形式で進行します。


空を見上げて

(ああ…そうだったのか…)

と悟った。


今日は私の15歳の誕生日だったのだがーー

朝目覚めると、何故か「前世の記憶」らしきものが自分の中に芽生えていた…。


ここよりも文明の発達した世界で便利で清潔な暮らしをしていた前世の記憶…。


不思議と前世の自分の名前は思い出せないものの…

前世での苦痛体験の記憶や常識・知識は思い出せる。


前世の自分自身の個人情報が思い出せないせいか

前世の記憶が戻っても

「私はローズマリーだ」

というアイデンティティは揺らぐことなくしっかりしている。


その思い出した前世の記憶の中にーー


サブカルチャー関連の情報もあり

「ローズマリー・ウィングフィールド」

というキャラクターが登場する乙女ゲームが存在していた事も思い出せた。


挿絵(By みてみん)



(『聖華の花冠』に登場する悪役令嬢…)


ヒロインはアンゼリカ・メイクピースという北部の侯爵令嬢。

攻略対象は

第三王子のフィランダー・ホワイトヘッド

公爵令息のヒューバート・ウィングフィールド

近衛騎士のヴィクター・イーグル

公爵令息のラファティー・ホワイトフィールド

公爵令息のシミオン・ハートフィールド

公爵令息のマイルズ・フェアフィールド

の6人。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


ローズマリー・ウィングフィールドは

フィランダー王子の婚約者で

ヒューバートの妹で

尚且つヴィクターの護衛対象。

三つのルートで共通する悪役…。



思わず動揺しーー


仕事中も上の空で朝からミスを連発し周りから怒られ続けたが…


午後になってーー

独りで便槽の汚物を汲み取り排水路へ運ぶルーチンをこなしながら、ようやく脳内整理が済んだ。


(私は乙女ゲームの世界に転生したのだな…)

と現状を正しく理解できたのだった。



********************



私はーー

ローズマリーはーー

ウィングフィールド公爵の庶子。


認知されていないので表向きは

「侍女が産み捨てていった父親も分からない孤児」

という事になっている。


孤児院にでもやってくれていれば良かったものの…

「外聞が良くない」

という理由で孤児院へはやられず、下級使用人夫婦の世話になった。


下級使用人夫婦…。

調理人のニックと洗濯女のノラ。

二人にはリックとネリーという子供がいる。


ネリーは私より半年ほど早く産まれていて、私が産まれた頃ノラはまだ乳が出ていたため

「一年間産休をもらう」

「給金はいただく」

という条件でノラは一年間私の世話を引き受けていた。


離乳が済んだ後は、子供のいる使用人達が交代で子供達の子守を引き受ける託児部屋で過ごすので、私はリック・ネリー他の下級使用人の子供達と一緒に育った。


私の位置付けは

「皆で共同して子育てしてる親子達の中に紛れ込んでいる孤児」

のようなもの。

子供間の対人ヒエラルキーも当然低ポジションに置かれていた。


便槽の汚物を汲み取って排水路へ運ぶ仕事も…

本来なら業者を雇うべきなのだがウィングフィールド公爵家はケチ。


業者を雇う金を惜しみ、下級使用人にやらせている。

そういう役目も早々に私に押し付けられた。


私の服や持ち物は全てネリーのお下がりで、私に与えられるものは特に損傷が激しいものばかり。

ハッキリ言って「ゴミ」なのだが…誰も私を庇ったりしないので、私は必然的にそんな待遇に甘んじてきた。


(…ハードモードな人生だな…)

と萎える…。


ノラの子供達は私にとって乳兄姉に当たる。

ネリーは私に辛く当たる訳ではない。


ネリーが私にゴミのような使い古ししかくれないのは、どうやらリックの指示のようだった。


「ローズマリーにはボロ着を着せて、いつも汚い格好をさせておけ」

と厳命されていて逆らうのが怖い。


ノラは私を

「リックの嫁に」

と考えてる節があり、リックの方でも乗り気なのだとネリーは言う。


下手に小綺麗な格好をさせて他の男に取られるのが嫌なので汚い仕事をさせて、汚い格好をさせているのだと…。

迷惑な話だ。


だけど虐げられているようにさえ見える低待遇によって

「無垢な状態を守られている」

のは間違いなく事実だった…。



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