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73話 黒幕は誰

「世界の権威の解放条件は感情の高ぶり、だからこそユシアを煽って感情を高ぶらせた。そうでしょ?」

「俺は本人じゃないから知らんが、おおよそそんなもんだろう。フランソルの予想であってるだろうな。」

「って、そんなことはどうでもよかった、この大量発生している体調不良者です!これをどうにかしなければ・・・」

「なんだその件か。その件に関してはすでに調査済みだ。」

「調査結果はどのようなものだったんですか?」

「制御されていない能力が原因だ。感情の高ぶりによって、制御不能に陥った能力。『強制意思』によるものだ。」

「『強制意思』ですか、たしか、能力所有者は今回の不戦勝になった選手ですね。なるほど、その能力を停止させればいいということですか。」

「逆だ。その能力を利用する。『強制意思』の権能は能力者の意思と同じ意思に相手を強制させる能力。ただし、能力者自身の感情に強く左右される常時発動型能力であるため、能力者自身による制御が困難な能力の内の一つに分類される。その性質を利用する。要するに能力者の感情に強い刺激を与え、今回でいうと不安、心配、等の感情を強くし、処理しきれなくなった人から倒れていく。そうすることで会場には混乱が発生する。」

「理屈はわかるのだけど、混乱を発生させる理由は?」

「混乱に交じって動く者がいるからだ。こちら側としても有利になるし、逆に、相手からしても有利になる。」

「相手は仮面の者ね。こちらがわっていうのは・・・あ、そうか、エルミナか。」

「その通り、エルミナは公には動けない、だからこそ、こうして盤面をそろえてやる必要がある。ついでに仮面の者も出てくるだろうから、結果的には一石二鳥というわけだ。」

「ただ、仮面の者が出てくるかどうかは運しだいってところなのね?」

「そうだな、それに、相手に敵対意識があった場合の話だしな。とにかく、しばらくはエルミナの独壇場というわけだ。とはいえ・・・」


ツクリはおもむろに立ち上がると、面倒くさそうにしながら身支度を整える。


「エルミナにまで覚醒されても困るからな、少しちょっかい出してくるか。」

「じゃあ、私はカレン様をお守りするとしますか。」

先ほどまで拮抗していた両者の力の関係が崩れ、ユシアが勝利を収めた。

しばらくして、オルガンは自力で立ち上がり、ユシアと握手をしようとしたのだろうか、前に進もうとしたが、うまく足に力が入らなかったらしい。よろけてしまったため、ユシアの方からオルガンに近づいて行った。

観客たちは、そんな光景に対して歓声を上げることもできなかった。別次元の戦いが目の前で繰り広げられていたのだから、理解が追い付かなかったのだと思う。誰もがあっけにとられていた。

オルガンとユシアが闘技場の中心で談笑をしていると、そこにカレンが姿を現した。今回大会に参加してくれたことに対してお礼を言っている。


「すごかった!龍と龍の戦いでもあんなにすごいのは見たことないよ!」

「あぁ、本当だな、何が起きているのか、理解することもできなかった。」

「ユシアさんすごいなぁ・・・仲良くなっといてよかった・・・」


そんな誰もがあっけにとられた状況だったからだろうか、誰もが油断していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さすがは魔国ね。栄えてる。」

「え?感想それだけですか?」


同時刻エルミナとエアセトは魔国の城下町を散策していた。

他国の魔王だからと言って顔を隠していたりはしない。どうせ、顔をわかる人なんてこの国にはほとんどいないのだから。


「平和っていいわね。」

「それ、自国で言わないでくださいね?」


自国の民がどれほどエルミナの独裁に苦しんでいるかということを考えると、絶対にエルミナが言ってはいけない発言の内の一つである。


「それで、俺たちは今どこを目指してるんですか?ほか二人にはすでに仕事を与えたみたいですが。」

「そうね、ほか二人には魔王カレンと接触して情報を聞き出してくるという仕事を与えた。私たちが今からやるのは現地調査よ。」

「現地調査って、一体何を調査するんですか?」

「最近になって魔国のいくつかの場所で謎の大量虐殺が起きているのを知ってる?」

「謎の・・・?大量虐殺なら起きているのは知っていますが、正体はすべて人魔共同前線によるものなのでは?ほら、そこの新聞にも書いてあるじゃないですか。」

「あぁ、そのことね、あれはフェイクニュース。この件の情報源はすべて魔王カレンだから、彼女のいいように扱われてるわね。」

「魔王カレンが情報源なのは確かですが、情報操作することに何か意味があるんですか?」

「前提として大量虐殺のほとんどもしくはすべてがカレアによって起こされていると思っていい。このことは今回の殺人方法と魔王カレンからの情報の送られてきた時期から推測できる。そして、この事件をカレアのせいにして片付けてしまうのは魔国として問題がある。」

「その問題とは?」

「カレアはすでに魔国内では死んだという認識になっているから、もし死んでいなかったとしたらそれはそれでいろいろと問題が起きる。」

「なるほど。」

「だからと言って事件を未解決にすると国民の間に不安が広がる。だから身内を事件の犯人に仕立て上げた。その方が人魔共同前線をより強く演出できるっていうのもあると思うけど。」

「待ってください、人魔共同前線が魔王カレンの身内ってどういうことですか。」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「えぇ、この間はうまくはぐらかされましたよ。」

「あー、そうだったね。ほかの二人には伝えてあったから、君にも伝えたつもりになってたよ。」

「は?自分だけ置いてきぼりってことですか。」

「ごめんって。とにかく、単刀直入に言うと、人魔共同前線のボスは魔王カレンその人。そして、人魔共同前線っていう組織自体が独立したものではなくて、ある組織の傘下に入っているの。その組織の名前がミカエル。」

「ミカエルってあの世界的犯罪組織のことですか?」

「そのとおりね。」


『ミカエル』とは、世界的に有名な犯罪組織であり、テロ・奴隷売買・密貿易等、ありとあらゆる悪事に手を染めている組織である。一方で、裏社会の均衡を保っているとも言われている。

拠点はナノ国郊外の高層ビルであり、基本的にすべてが謎に包まれた組織である。

構成員もほとんどが不明である。


「その構成員の内の一人がカレンであるっていうことは、いつから知っていたんですか?」

「さあね、さぁ、現地調査に行くわよ。」

「エルミナ様、隠し事はよくないですよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


全てが憎い、だから、壊す。

その先に何があるかなんてわからなくても。

その先に希望がなかったとしても。

全ては、自分のために。

己の欲望に従って、全てを壊す。

久々に出た外の世界は眩しすぎた。

分かっているつもりだ。

自分が駒の一つに過ぎないってことなんて。

それでも、自分のため、自分の運命にあらがうために。

もう一度、もう一度だけ、この世界で自由に生きたいから。

壊して、壊して、壊して、何が見つかるかなんてわからないけど。

それでも・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


会場の盛り上がりは現在最高潮である。

いや、最高潮だった。ついさっきまでは。


「いやー警備体制は万全だったはずなんだけどなぁ・・・これは後で説教だなぁ・・・」


カレンがその場に倒れる。

倒れたカレンを中心に大きな血だまりができる。

そして、会場に一人の男が現れる。

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