69話 最強の冒険者-①
「うま、オムライス御代わり~!」
「私もオムライス御代わり!」
バテンのこの店、そんなにオムライスが人気なのだろうか。
いや、確かに前に食べさせてもらったらうまかったけどさ、他のもうまいと思うんだよね。
「かぁぁ、やっぱりこの店と言ったらオムライスとコーヒーだよな。」
だからなんでなんだよ。
「あれ?言ってなかったか?俺が『コーヒー』っていう作ったコーヒーをさらにおいしくできる能力を持ってるってこと。」
「その話はどこまでが本当なんだよ。てか、いつの間にか営業再開してるのなんでなんだよ。お前、前回の戦いで相当な重症だっただろ。」
「全部本当だ。それに、あのくらい、一週間で自己回復する。」
「おかしいだろ。あと、オムライスについては謎が残ったままなんだが?」
「あ、いらっしゃいませー」
「おい、無視すんな。」
ちなみに、このままだとヘイダルの店がまるで城下町にあったかのように思える流れだが、実際はギルドの転移魔法陣使って移動しているのでかなり移動している。
「てか、二つも能力を持つ人って存在したんだ。」
「三つくらいまでなら探せばいる。」
「いや、探さないけどさ・・・」
「敵の能力について知っておくのは最優先事項だと思うんだが?」
「じゃあ、敵って誰だよ・・・」
「お前の場合は・・・そうだな、人魔共同前線あたりだろ、前に戦ったんだろ?」
「あ、そういえば、その魔国に行くとか行かないとかいう話があったな、いつだったかな。」
「たぶん、明後日くらいじゃないか?王族の連中が招待されてて数人行くらしいから、その時に合わせてお前らもいくだろ未来がいることだし。」
「お、魔王決定戦を見に行くのか?いいな、あのチケットは入手困難だからな、俺も入手しようと思ったが、通常の方法では入手できなかったからな。」
「え、なに、ヘイダル、てことはもしかして不正規ルートで手に入れたの?犯罪とかじゃないだろうね。」
「バテン、安心しろ、今回俺は壊れた武器の修繕係兼警備員だ。キルトから招待状を渡されてな。」
「あー、要するに大会関係者の方ね。仕事頑張れ。」
「バテンはいかないの?」
「いや、俺はあくまでも一般人として生きてるつもりだから。・・・つもりだから。」
「なぜ二回言った。いや、言いたくなる気持ちもわかるけれども。とにかく、一般人はそんな大会に行くこともできないってわけね。」
「そういうことだ、それにしてもよかったな、ヘイダル、普通に買ったら金貨3枚くらいの値段したからな。」
「あぁ、移動費も宿泊費もただになったからもうお得どころの騒ぎじゃないな。」
そんなに楽しみなものかな、魔国に行くのって、俺の記憶が正しければ前回は散々な目にあった記憶しかないのだが。
「誰が優勝すると思うか?」
「いや、別に俺は興味ないけど、」
「おい、バテン、つまんないことを言うじゃないか。快成、君は誰が優勝すると思う?」
「そんなこと言われても、第一誰が戦うかとか知らないし。」
「いや、さすがに知ってろよ、そのくらい。」
「64人の中から一番強い奴が決まるんだぞ、少しくらい興味持てってもんだよ。」
「そんなこと言われても・・・」
「まぁ、確かに、快成はこの世界に来てから日が・・・浅くはないかもしれないけども、それゆえにこの世界の有名人たちを知らないのは無理もないか。」
「そういうものなのか?でも、今回のゲストくらいは知ってるだろ。」
「え、誰それ、てかゲストとかあったの?」
「数試合ごとにゲスト同士の試合が挟まれるんだよ。基本的に他国の本戦への参加資格がない人たちがゲストとして呼ばれているみたいだね。国の長を決める戦いで他国の勢力が跋扈するのは面白くないっていう理由で本戦には出られないんだろうけど、それでも呼ばれた理由としては、たぶん、刺激が足りないからなのかな?」
「刺激とは?」
「なに、簡単なことじゃないか、魔国の連中だけで戦ってたら64もの地区から人が集まっているとはいえ同じような戦い方がいくつか出てきて観客も飽きてしまうだろ。そうしたら、高い金を払う意味もなくなる。なら、他の国の猛者たちを集めてその場でもっとハイレベルな戦いを見せて観客たちを盛り上げるっていう方がいいだろ。」
「そういうものなのか?」
「「そういうものなんだよ。」」
「魔王カレンとしては、魔国の本戦参加者たちへの刺激という点でも考えていると思うよ。新たな戦略とかはそうやって生まれるからね。」
「ちなみに、ヘイダルは出ないの?ゲストとしては、」
「まさか、こんな老いぼれが出てもつまらないだけだろ・・・と、言いたいところなんだが―――」
え、まさかゲスト参加するのか、お前、みたいな目で二人でヘイダルを見つめる。
「あ、おいおい、俺は出ないさ、ただ、俺の仲間が出るみたいなんだよ。」
「まさか、オルガンか!?」
「そう、そのまさかだ!」
いや、だから誰それ。この世界で俺が知っている人とか本当に一握りしかいないからね?
「その顔、まさか、オルガンを知らないな。」
「バテン、お前が驚くほどってことは、相当すごい人なんだろうけど、一体どんな人・・・」
「一昔前のSSSランク冒険者だ。俺と一緒のパーティーだったのさ。まぁ、たぶんバテン的には驚いてるのはそこじゃなくて、同業者が大会に出ている点だと思うがな。」
「え?同業者?」
「小さいけど、喫茶店だったかな?店を開いているんだよ。本人曰く、趣味らしい。」
「あいつが大会に呼ばれるって、相当大きな大会ってことだろ。それ以前に、よくオルガンもよくOK出したな。」
「最初は参加したくなかったそうなんだがな。参加せざるを得ない理由ができたらしい。」
「理由?」
「あぁ、今回の対戦相手がな、勇者らしいんだ。」
「勇者か、なるほどね。それで戦いたくなってしまったと。」
「そう、現代最強格の人間と戦ってみたかったらしい。老いぼれのくせに、しょうもない。だが、まぁたまにはそういうのもいいのかもしれないな。見ているだけであろう自分も現役時代を思い出せそうだ。」
そんなこんなで会話はしばらく続き、魔国へ向かうまでの情報収集もできたのであった。
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そのころオルガンは、ゲストとして戦うこともあり、他の招待客たちよりも少し早く現地入りしていた。
「ほう、これが魔国の闘技場か。前に来た時と建物自体は何も変わっていないように思えるが、実際はどうなんだろうな。」
「ふふ、オルガン様、この町は先代の時代よりもはるかに活気がよくなっていますよ。もちろん、それは闘技場も例外ではありませんよ。」
「案内ありがとうな、フランソル。だが、道案内はここまでで十分だ。」
「そうですか、闘技場は一人でご覧になりますか?」
「あぁ、だが、その前にだ。」
「?」
「私は、私が信じる正義の道を進む。そのために今回の大会へのゲスト参加を承諾したつもりだ。」
「えぇ、あなたが正義を重んじる方だというのは重々承知の上ですが・・・?」
「フランソル、まずは君が何者か、確かめさせてもらう。」
その人形は、最初こそ戸惑いの表情を見せた、しかし、すぐにその表情はなくなり、笑みへと変わっていった。
「その様子だと、この大会が、何のためのにあるのか、すでに理解されたご様子ですね。」
「その通りだ。そして―――
この世界が何であるかも、私はすでに理解している。」




