67話 休暇だから、飯を食う。
本日二回目の更新です。
「自然、なかなか起動しないな。何がだめなんだろう。」
ヒカリは戦いが終わった後、しばらくして均衡の島に戻っていた。
「こんな時に兄がいれば、なぁ・・・」
目の前の自然は植物に取り込まれており、いや、もはや植物と一体化しており、救出は困難な状態であった。
「しばらくはこの島で過ごして、経過観察になるのかなぁ・・・」
「うまい、もう一杯。」
「おいしい、御代わり。」
「こんなの生まれて初めて食べた。もう一個。」
「隊にもこのくらいの料理人が欲しいわね。もう一皿。」
「何なのこの人たち。私の作った料理をほめてくれるのはうれしいんだけど、なんかアポもなく家に入られて勝手に食べられるのむかつく。」
「もう、ナナったら、そんなこと言わないの。ほら、どんどん食べてってね。」
俺たちは、アリスの邸宅でご馳走をいただいていた。
うまい、おいしい、美味、の三拍子そろっている。・・・全部同じような意味か。
「そう言えば、今回は近くの遺跡で戦闘があったみたいだけど、何をしてたの?」
「簡単に言ってしまえば古代兵器との戦いです。快成君たちも頑張っていたみたいですよ。」
「大体バテンが終わらせちゃったからな。なんというか。」
「なるほどね。まぁ、勝ったならよかったじゃない。ということで、いっぱい食べていってね。」
「いや、だからその料理を作るの私なんですけど。」
「あ、そういえばこの間未来ちゃんを連れてきた龍の人が来てたよ。なんだか龍の国も大変みたいだね。」
「そうなの?」
「まぁ、確かに、王がいない国が混乱するのは当り前よな。」
「何があったんだろ?」
「なんかいろいろと大変だったって言ってました。」
「うん。何もわかんない。」
「で、快成君。今後はどうするの?」
「どうするって、ゆっくりじっくりぬっくりと過ごすだけですよ。」
「じっくりぬっくりって何よ。」
「そう?なら、面白い話を聞いたから共有しておくね。なんか、今度魔国で大きな大会?みたいなものが開催されるらしいわよ。」
「あ、そうなの、まぁあんな物騒な国もう行かないと思うけど。」
「何の大会!?見てみたい!」
「おい、未来、やめてくれ。あの国はどう考えても治安が・・・」
「行く。絶対行く。絶対楽しい。」
「トメイ、おまえまで何を言ってやがる。前にどんな出来事があったか話してやろうか?」
「まぁまぁ、お二人がそう言っていることですし。ね?」
「付和まで・・・お前ら・・・」
その後、なんやかんやあったが、結局俺が押し負けた。
「あーわかったわかった!連れて行けばいいんでしょ、連れて行けば!」
「「なんでおこってるの?」」
「なんでって、お前ら・・・あ、でも別の国に行くには国境超えなきゃいけないのか。」
「国の転移門魔法陣使えばいいじゃん。」
「なんでさも当たり前に使えるかのようにいうんだよ。」
「使用許可、出してあげようか?」
「そんな簡単に使用許可出るものなのかよ・・・ちなみに、大きな大会って、どんなものかわかるか?」
「ちょっと待っててね。確かここら辺に招待状をしまっていたはず・・・あ、あった。内容はね―――」
その内容は、魔国の将来を決めるような重大なものだった。
簡単にいうと、次の魔王を決定するための催し物であるらしく、強いものどうしが戦って、最終的に最後まで残ったものが魔王のなるらしい。
自由参加可能で、書類検査的なものも無し。各地で開かれる地方大会優勝者たちが戦うらしい。
トーナメント方式で64の地区から一番の者が魔王になる権利をもらえるらしい。
「本来ならあの国は一族で魔王という位を受け継ぐんだけど、今は一族には魔王カレン様しかいないからね。跡継ぎ問題があるってことかしらね。」
「なるほど、それで大会を。」
「参加者はもう決まっていて、ほぼ全員私がどこかで見たこと、聞いたことがある猛者たちよ。さすがに、魔王となるためには一定以上の強さが必要となる。そうなってくると、国の情報網にもにも引っかかるってわけ。ちなみに、各国の主要人物には招待状が送られているはずだから、たぶん龍王女様は特別席で見れると思うわよ。」
「なにそれ、すごいの?」
「たぶんすごいと思うよ。」
「ずるい・・・」
「一般客も入れるみたいですし。アリス様ももちろん行きますよね?」
「・・・が、・・・そんなはずないから・・・まさか・・・してる?・・・そんなはずは・・・」
「ぶつぶつと独り言言ってますけど、何かありましたか?アリス様?」
「あ、私!?あはは、私も行こうかな~。最近はこう、なんというか人生における刺激が足りない気がするからな~。」
「もう、心配するじゃないですか。」
「あはは、領地で育てる作物に新しいものを組み込もうと思ってね。それについて考えちゃってた。」
「新しい作物って、何育てるんですか?」
「そう、それを転生者である君に聞いて、発想のヒントを得ようと思っていたの!」
「あ、そうなんだ。」
その後、俺たちは夕飯をしばらく楽しんだ。特に新しい作物についての議論はものすごい白熱した。
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「さて、久しぶり、気分はどう?」
「あ゛ァ゛あぁグぅがァ゛」
「人の言葉も忘れちゃったかー、かわいそうに。」
「ガぐぇンゲぇザン・・・!」
「あ、聞き取りにくいけど、一応喋れるには喋れるんだ。」
「ゆるザなィ゛、ゆグさヌ゛ァい゛ぃ、ゼッダイニ!」
「あれ?まだ根に持ってたんだ。まぁ、いいけどさ、どうせ、あなたは一生そこから出られない。」
彼女の目の前あるのは鉄の柵。そして、その中にいるのは、人のように見える化け物、はたまた化け物のように見える人。
化け物が手を伸ばす。だが、鉄の檻に阻まれる。
「あなたは魔族なんかじゃない。ましてや鬼ですらない。生物というカテゴリーに収まらない、無価値未満の存在!」
檻の中の化け物は、形容しがたい表情を見せる。それが、本当に表情なのかどうかはわからないが。
「ただ、私はそんなあなたに、価値を見出せる!なに?また痛い目にあわされるんじゃないかっておびえてるの?まさか、私がそんなことするわけが!・・・だって、これ以上気づつけても無意味だからね・・・今度、その檻から出してあげるよ。あまり、私の期待を裏切らないでね。」
しばらくの沈黙の後、彼女はその檻のある部屋から出ていこうとする。
「じゃあね。また来るから。」
「無価値なのはァ゛・・・どっジ・・・だ・・・あ゛ぁぁ゛!」
化け物は、咆哮する。
その衝撃で、檻と、檻が入っていた小さい小屋は崩れ落ちる。
檻から出てきた怪物の爪が、彼女のすぐ目の前にまで迫りくる。
「私が、無価値・・・か、そうね。証明してみなさい。あなたが無価値でないということを!」
そう言い残し、彼女は転移魔法で消える。
「私、はぁ゛、無価値なんかじゃ゛・・・ない゛!」
その夜。絶叫が響き渡り。怪物によって、魔国の村が一つ、滅びた。
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「はぁ~食った食った。」
「おなかいっぱいだよう。」
「眠い、帰る。」
「アリス様、ありがとうございました。」
「いえいえ、そのセリフはナナに行ってあげてください。」
「もう来ないで。大変だから。」
「ナナったら、そんなこと言わないの!」
「はぁ~い。」
「あ、そうだ、この手紙、ナノ様に渡しておいてくれませんか?」
「手紙、ですか?あ、そういえばアリス様はナノ様と仲が良かったですものね。」
付和がアリスから手紙を受け取る。
「じゃ、ここで解散ということで、」
「お疲れ様~」
(さて、久しぶりに休憩できたわね。明日からも公務を頑張るとしますか。)
付和は、皆と別れた後、即座に転移し、王宮に戻っていた。
(えぇっと、あれをやって、次にこれやって・・・)
その時、手で手紙を持っていたことに気づいた。
「あ!大変!ナノ様に早く届けないと!」
急いで手紙をナノに渡そうと思い王宮の廊下を走っている途中で、手紙が一通ではなく、二通あることに気が付いた。
(あれ?もう一通?私宛だ。なんだろう?)
疑問に思いながらも、まずはナノに手紙を届けた。自分の執務室にもどって、封を開けた。
その中には、三枚の写真と、一通の手紙が入っていた。
「写真なんて、珍しい。」
一枚目の写真にはいくつかの新聞が写っていた。写真なので、細かい字は読めないが、新聞のの題名くらいは読むことができた。
『魔王様殺害、いまだ犯人見つからず。』
『生き残り、カレン様のみか』
『周辺各国、追悼の意を表明』
「カレン様の家族が、殺されたときの事件の新聞?なんで・・・」
二枚目、真っ赤な部屋が写された写真だった。その中心にいるのは、今よりも少し幼い魔王カレンであり、その横にはいくつかの死体が転がっていた。
「いや、違う、これは真っ赤な部屋なんじゃない。血で部屋が染まっているだけだ。でもこの写真。違和感が・・・」
三枚目、事件についての新聞の一文の切り抜きの写真。
『事件発覚時、カレン様は自室におられた。』
「あ、前の写真はこの文と矛盾する。血で染まっている部屋の真ん中にカレン様がいる写真を撮れるはずがない・・・」
そして、手紙の内容。
「貴方には、荷が重いかもしれないけれども、真実を知りたいならば、今度の魔国での大会に来ること。逆に来なければ、一生知らずに生きていける。選択肢は貴方達にある。真実は、その目で確かめなさい。」
「貴方達?・・・まさか、ナノ様にも同じ手紙を!」
アリスのことを信頼しきっていた。魔力で調べて何も罠や仕掛けがないことを確認していたとはいえ、失態だった。
「ナノ様!」
部屋に入ったときにはもう遅かった。すでに、ゼナ、ユニコス、フェン。この三名との情報交換はすでに終わっていた。
個体名:トメイ
攻撃:108
防御:98
速度:204
HP:57
MP:190
SP:89
能力
『みんな友達』
自らのエネルギーを使い一定以下の力を持つ魔物の生成、操作、および、自らと契約を結んだ(友達になった)存在の召喚(応じるかどうかは任意)そして、これまた操作(これも身体を預けるかどうかは任意)することなどが可能
これらの生命力等はすべてトメイのエネルギー量に比例するため、自らより格段に強い存在を呼び出した場合、危険が伴う。




