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神と魔法と転生が、世界を結ぶ物語。  作者: 安全シフト
第四章 龍王動乱編
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閑話16 あの日部室で交わした約束を-1

記憶がよみがえる。その記憶に飲み込まれないように、意識を集中させる。

数億の歴史刻まれる。その悪意に飲み込まれないように、心を落ち着かせる。

負の感情が流れ込む。その絶望に、打ちひしがれないように、意思をしっかりと持つ。


自分は、なんのために生きるのか。

答えなど、最初から出ている。


自分が、誰かの掌の上で転がされているとして、そんなのどうでもいいから。

運命が、最初から決まっているとして、それなら、命運を変えればいいから。


真名解放、これは、禁忌だけに許された。本当に危険極まりない行為であり、自分だけでなく、他者をも害する可能性がある。

だから、禁忌は偽名を名乗る。

そのため、一人では使えない。基本的には少なくとも他二名の禁忌による許可が必要となる。

その存在意義は、世界に干渉する。簡単に言ってしまえば、それだけのことであるが、逆に言うと、世界を簡単に変えてしまうほど強力な力なのである。

扱い方によっては、人の命など、一瞬で消せる。しかし、正しい使い方をすれば、数億の単位で人を守れる。

この力を授けた人間がどちらを正しい使い方としたかは知らないが、少なくとも、自分は人を守ることを正しいことだと思っている。


ある国では、真名解放した禁忌は崇められ。崇拝されている。

ある国では、真名解放した禁忌の存在はなかったこととされ、忘れられている。


真名解放したらどうなるか、そんなもの、解放している本人も実際のところよくわかっていない。

少なくとも、魂を燃やして、一時的に全ステータスを底上げ、および、世界自体の力を取り込み、使用可能になるという点。これは理解しているが、それ以上は理解できていない。

魂を燃やしているのだから、もちろん寿命は縮む。ただし、禁忌の寿命がどのくらいなのかわからない、それどころか寿命が存在するかさえわからないのだが、少なくとも、解除後に一定時間ほぼ行動不能な状態に陥る。

ちなみに、先ほど一度解除状態にして、しばらく動けた理由は、完全に真名解放状態を解除したわけではなく、消費エネルギー量を減らし、極限まで解放していない解放していない状態にしたからである。


歴史の転換点となった戦いにおいて、真名解放が使われたことは、幾度かあった。その戦いのほとんどが、真名解放させた側の勝利となっている。

また、真名解放によって引き分け、もしくは、敵味方双方が壊滅するだなんてこともあった。


今から話すのは、かつて真名解放が行われたある世界大戦についての話である。忘れられし、忘れられてはならない、戦いの記録でもある。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔統暦(まとうれき)二九年十月十九日:十五真名事変発生


被害者数及び被害額等:不明(算出不可)


「最初から、目的は俺たちだったんだな。」

「いやぁ、確かに目的は君たちだったけれども、最初は目的が一体どこにあるのかもわかっていなかったからねぇ。ありがたいことに、目標は何よりも脆弱な人間そのものだったからねぇ。」

「脆弱?最強の間違いじゃないかな?」

「まさかぁ、『もう一つ』の方は一瞬で獲得できたんだ。どうせぇ、君たちも同じようなものだろう?」


全員に悪寒が走る。その『もう一つ』が一瞬で獲得された(倒された)という事実ではなく。その事実を聞いてしまった味方・・・トラグレに対して。


「いま、なんて言ったのかな?よく聞こえなかったから、聞き間違いかもしれないな・・・」

「もう一つが倒されたっていってあげたんだよぉ。あぁ、そうかぁ君はたしかぁ・・・」


全員が、その事実を知った上で黙っていた。その発言がトラグレを怒りを買うことを知っていたから。

もし、そうなってしまったら、何が起こるかわからない。そして、想定される中で最も最悪なパターンが、発生した。いや、後に起きたことも含めれば、想定なんかよりもずっと最悪だったのかもしれない。


「もういい、消え失せろ。真名解放。あんたは、今、ここで殺す。」

「っ!一人で真名解放しやがった!?」

「へぇ、これが真名解放ねぇ。大した事なさそうだねぇ。」

「トラグレ、ここは一度おちついて・・・」

「黙れよ。タジン。」


トラグレを止めようとした。タジンが口から血を噴き出して倒れる。トラグレの肩に触れていただけで、何もされていないはずなのに。


「おい!何をやってる!?仲間を殺すつもりか!」

「言葉すら今の私には武器になる。邪魔だからどいて。」


続いて、トラグレに怒鳴ったセブンが、今度はトラグレから数メートル離れているにもかかわらず。口から血を噴き出して倒れる。


「くくく・・・仲間割れですかぁ?敵である私が目の前にいるというのに。」

「あ?次はてめぇだよ。とっととくたばれ。」


トラグレが、自らに向けて銃弾を放つ。その銃弾は、トラグレの脳を突き破る。禁忌であるトラグレは、そのくらいでは死なない。だが、その一発の銃弾が阿鼻叫喚の地獄絵図を生み出す。


「能力、『凶気復讐』、応用して、『命等シク燃エ尽キル』。」

「あはははは、自殺ですかぁ?かわいそうにねぇ。せっかく実験材料として利用しようと思っていたのにぃ・・・あれぇ?」


敵が、自らの体の穴という穴から出血していることに気が付いたのは、その時だった。それと同時に、敵の肉体が飛散した。

それだけではない。トラグレから約半径5㎞以内の命あるもの、そのほぼ全てが滅びた。禁忌達や強力な力を持つ者たちは、耐えきったものもいたが。

これによって、禁忌への被害も出た。タジンおよびセブンの肉体が崩壊した。


「禁神武具十一ノ八:生命をあざ笑う絶望」


鞭型の伸縮する禁神武具である。それをもって敵の飛散した肉体をさらに砕きつくす。

数メートルもの長さがある鞭による攻撃であるため、止めようにもトラグレの周辺全体が攻撃範囲となっているため、トラグレに近づくことすらできない。

だが、この時、トラグレは攻撃に夢中になりすぎており、防御をおろそかにしていた。そのため、魂を敵に乗っ取られた。

この事態は禁忌の誰もが想定していたことであり、それゆえにトラグレを止めに行きたかったのだ。禁忌は全員が年齢が等しいが、トラグレは特殊な事情により、精神年齢及び、肉体の年齢が著しく低かった。そのため、一種の興奮状態となる真名解放は危険が大きかったのである。そして、真名解放によって疲弊した魂だったため肉体の主導権を握られるのも一瞬でありトラグレの暴走が開始した。


禁忌は、全員強力な力を持つが、人によってその力の強さは変わってくる。トラグレは基本的にほとんどの成績が精神および肉体の年齢の低さからあまりよくない。しかし、潜在的な能力の危険度でいえば、一番高かった。


その能力は、先ほども使った。『凶気復讐』、自らへ攻撃したと認識した相手が実際に自らに攻撃していた場合、トラグレが設定した威力、方法、速度等で相手に反撃を与えるものである。これは、実際にトラグレが攻撃されなければいけないという最大のデメリットを持つが、同時に、トラグレを殺す場合には、少なくとも一名の犠牲が必要となることを意味する。要するに、相打ちである。攻撃者は一撃でトラグレを仕留める必要があり、なおかつその一撃分のダメージ以上のダメージで自身の身体が破壊されるためである。


また、真名解放状態の攻撃手段も伸縮する鞭ということで近、中、遠距離全てにおいて間合いを取れるというわけで非常に優秀であった。真名解放すれば、トラグレは相当優位に立てる。しかも今回は敵が操っているのである。敵分の力も足されている。要するに、基本的には対処不能な状態になってしまったというわけである。


「ふざけるなよ。このままだと普通に避難区域にまで被害が及ぶじゃねえか。全員、本気出せ。タジンとセブンも意地でもついてこい。」


「「「真名解放」」」


全員が真名解放を行う。そして、十三人が同時に攻撃を仕掛ける。だが、トラグレ相手では勝ち目はない。だから、十三名で挑んだのではあるが、

残る一名、バテンは一応真名解放したものの、一人避難区域に向かって転移していた。それは、トラグレの能力を止めるために。


避難区域には強力な結界が展開されており、聖域のような状態となっている。そのため、生半可な能力は受け付けない。真名解放したバテンの転移すら受け付けないため、避難区域の入口付近に転移する。


「バテン!大丈夫だった?どう?戦況は?」


バテンに駆け寄ってくる女性。トニユである。


「戦況は最悪、だから、あいつの力も必要だ。神殿に入る許可、とって来てもらえますか?」

「・・・だよね。観測データが間違っていることに期待した私がばかだった。ほかに必要な支援は?」

「そうだな、エルフらはどこにいる?」

「っ!だめ!それはダメって言ってるでしょ!あなたたち、また喧嘩するでしょ!」

「緊急事態なんです。」

「・・・分かった。三人までだよ。絶対に喧嘩したらダメだからね。許可もらっておくから、避難区域に入ってすぐに神殿に向かって。エルフたちは連れてきてあげるから。」

「了解、ありがと、先生。」


神殿に向かってバテンは全力で走り出す。

神殿とは、ある宗教団体の本拠地のことを指す。バテンの目当てはそこにいる教祖である。

その教祖とはバテンは幼馴染なのだが、ある事件を境にあまり会っていなかった。

本当だったら、全てが片付いた後で会いに行く予定だったのだが、彼女の力が必要になってしまったからには仕方がない。

ほどなくしてバテンは神殿にたどり着く。

神殿の外は、神殿に向かって祈りをささげる人たちであふれかえっていた。バテンは、この宗教の教義を知っているし、崇めている神の正体も知っている。だから、彼らの行動が間違っていることだとは思わない。ただ、意味のある行動かどうかといわれると、答えられない。


「久しぶりだね。バテン。」


神殿には即座に入れた。先生が素早く許可をとってくれたのだろう。

そして、神殿の奥、本来ならば司教しか入れない場所へと入るとすぐ、教祖である。『少女』が出てきた。


「あぁ、久しぶり、まだその効果持続させてたんだな。」

「私について何も思い出せない効果のこと?別にいいでしょ。あなたたちは私の名前以外は大体認識できるんだから。」

「相当抵抗しているつもりなんだが、それでも名前が思い出せないというのはね。」

「可愛そうだから教えるけど、私の名前は『アルメリア』ね。どうせまたすぐに忘れるでしょうけど。」

「それはお前が能力を使い続けるからだろ・・・と、こんなに話してる時間はないんだった。」

「でしょうね。いつまで話すんだろうこの馬鹿はって思ってた。」

「お前なぁ・・・とにかく、本題に入ろう。単刀直入に言わせてもらう。お前の協力が必要だ。能力を使ってほしい。」

「却下。」

「やっぱりか。」

「一応言っておくけど、大体戦況は把握しているつもりだからこそ却下してるからね。私の能力をトラグレちゃんに使えってことでしょ。最悪の場合、トラグレちゃんが死ぬよ。」

「それも承知の上だ。あんまりこういうこと天秤にかけたくはないんだが、トラグレ一人の命でほかの命が守れるなら、それが最善だ。」

「『最善』は違うでしょ・・・いいんだね。最悪の場合、仲間が死ぬんだよ。って、言っても聞かないか。いいよ、今から始める。干渉先はトラグレちゃんの能力でいいのよね。能力の無効化、それが無理なら出力の低下を行う。それと、同時に真名解放に関しても解除できるようにアプローチをかける。さらに、敵の魂が排出されるようにも努力してみる。やるなら徹底的にやるからね。」

「あぁ、頼む。」

「能力発動・・・自由能力『---エラー---』能力の発動はしたから、今からプログラム化していろいろといじるから、集中したいからさ、部屋から出てくれる?」

「了解、頼んだぞ。」


自由能力、それは、この世界において複数回存在が確認された能力であり、何らかの方法を使えばだれでも使えるのではないか、と言われる能力のことである。一説ではすべての能力が自由能力なのではないかという説も存在する。自由能力といった場合は一般的には七大自由能力のことを指すことが多い。アルメリアの能力は、この七大自由能力であり、非常に強力なものである。効果としては、世界構築自体に干渉が可能といったものだ。今述べた世界構築というのは世界管理システムのことを指しているのではない。本当に、世界そのもののことを指している。やっていることは、神と変わらないのである。


「さて、『エルフ』、いるんだろ。」

「久しぶりだね!バテン!今日は何のようだい?」

「テンション高いな。この状況でよくもまぁ・・・」

「自分以外にも二人くらい連れてきたけど。いる?」

「人を物みたいに言うな。」

「あはは、ごめんごめん。」

「おまえ、そんな性格だったか?」

「まっさか!最初からこの性格だよ。」

「・・・そうか、まぁ、なんでもいいが、本題に入りたい。トラグレを助けるために協力してほしい。」

「なるほど、仲間がピンチだから助けてほしい。と、」

「何か問題が?」

「トラグレは、もともと俺らの勢力だったんだ。第一に、俺たちがお前ら禁忌を助けるとでも思っているのか?」

「・・・っ!緊急事態だって言うのに、今その話題を出すのかよ・・・!」

「だから、トラグレを助けることは承諾しよう。ただし、協力はちがう。俺たちによる一方的なトラグレの奪還作戦を実行させてもらう。」

「ふざけるなよ。トラグレをお前らに渡せるかよ!」

「冷静になれ。お前ならわかるはずだ。トラグレにとっての幸せが一体何なのかが。」

「家族と過ごして、普通の生活を送ることって言いたいのか。」

「そうだ。残念ながら、その願いはすでに叶わないが・・・こちら側なら偽りだとしても彼女に幸せを与えることが可能だ。」

「偽りの幸せの中で一生を過ごせってことかよ。そんなことが許されるわけが!」

「交渉決裂ならそれでもいい。一対三で勝てると思うなよ。」

「・・・っ、分かった。それでいい。ただ、こちらも同時に奪還作戦を行う。先に奪還した方に従う。それでいいならだ。」

「いいね。そうしよう。バテンならわかってくれると思ってたよ!」

「じゃあ、行くぞ、トラグレを止めるために。」

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