06話 contraindication
転生してから6日目
かなり話が飛んでいる気がするが、別に語ることもなかったのでよしとする。(同じことが繰り返されて地獄だっただけだなんて言えないしね。)
この期間で俺は冒険者としては普通に活動(人外の二人が相手なので基準が怪しいが)できるようになったらしい。
どのくらい強くなったかといえば、10000体のゴブリン相手に戦えるぐらいである。あれの数をセブンが召喚したときはえぐかった。ハンドレッドでさえ引いていたからな。
急成長の加護、これがどのくらいのものかといったことがすぐにわかる結果である。冒険者ギルドではE~Sまでの階級で区分され受けれる依頼が変わってくるらしいのだが、俺の階級はB相当ではないかとの話だった。
ちなみに、階級ごとにできることの基準としては
Eが薬草等の採取
Dが村の警備
Cが害獣駆除
Bが各国との共同作戦への参加
Aが古代遺跡等の踏破
Sが人外
となるらしい、
また、のちにハンドレッドから聞いたのだが、この階級区分ですべてではないとのうわさらしい。
とまぁ、雑談はこの程度にしておいて、
今日はハンドレッドとの対人戦である。
正直に言って勝てる見込みは全くない。そのため剣先がハンドレッドの体のどこかに振れれば俺の勝ちとなるらしい。(触れるといっても手などで剣を止められた場合はカウントしないらしいが)
「というわけでぇー、さっそく開始!」
セブンの声が聖域内に響き渡る。
それと同時に両者は一気に相手に近づく。もちろんハンドレッドの方が早く俺との間の間合いを詰めてくる。
ちなみにハンドレッドは現在武器なしの状況である。
剣を持っている俺が圧倒的有利に見えるが、実際のところハンドレッドは空間属性の異空間収納を使えるため、ありとあらゆる武器を好きな時に使える。
対して俺はまだ基本三属性しか教えてもらえなかったためそんなものは使えない。なので今ある剣一本で戦うしかないのである。
一応奥の手はあるのだが、勝てるかは非常に怪しいのである。
そして、最初に攻撃したのはハンドレッドだった。
「くらえ、永遠の壊滅」
最初から何属性かもわからない魔法を放ってきやがった。しかも至近距離からの攻撃。
もちろんだが、こちらは初見の技を撃たれているので対処に困る。まぁ、実際に戦いに陥ったら、初見の技しか来ないんだろうな・・・
「アイスウォール!」
一応防げるかはわからないが、氷の壁を出現させる。が、一瞬で塵とかした。
そのまま対象(俺)に向かって飛んでくる複数の魔力弾、仕方ないのですべて剣で切る。この剣は一応時空さえも切るのである。魔力弾ぐらいなら軽く切れる。が、数が多すぎる。というわけで早速奥の手①を使う。
剣に魔法を重ね魔法剣としての真の力を引き出させるのである。これは奥の手というよりも普通の使用方法なのだが、セブンは俺に教えていなかった。だが彼らの家にある本を読み漁って俺が覚えたのだ。独学で。
「龍頭朧」
何とかすべての攻撃を切り裂く。
「な!・・・魔剣の使い方はまだ教えていないはずじゃ!」
「あぁ、それね。独学で覚えちゃいそうだったからあえて教えなかったんだよね。夜な夜な頑張ってるの僕は知ってたからさ。というか地味に水属性の応用までしてるなぁ、氷を使うだなんて。」
「いや、それ以上に使っている流派の方が問題でしょう!あの流派は私と相性が悪すぎるんですけど!?」
ちなみに何の流派かはしらないが、今回俺が使った技は広範囲を高速で切り刻む技である。本来1対1ではあまり使わない技のはずなのだが、なぜかハンドレッドとは相性が悪いらしい。
動揺して動きが鈍るハンドレッド、そのすきを狙って、攻撃を仕掛ける!
「エンチャント・テラ3連」
攻撃をした相手に任意のデバフを与える斬撃である。もちろん3発も当たるとは思っていない、一撃当たったらラッキーな程度である。ちなみにもちろん当たらない。
「ちぃっ、あいつの間合いに入るのは危険か。」
距離を置くハンドレッド、8Mくらいは距離の取ったのだろうか、そこまで距離をとられると、俺は魔法を命中させられる気がしない。が、ハンドレッドの技は俺に命中する。
ハンドレッドが異空間収納から剣を取り出すのが見えた次の瞬間。
「鏡月賛華」
「なぁ!」
ハンドレッドの前方を扇形に約120°を半径にすると10Mほどの範囲で攻撃してきた。なぜそんな距離の斬撃が繰り出せるのか謎である。
だが、あくまでも今のは剣による斬撃であって、ハンドレッドのいる方向からしか斬撃は飛んでこないはずである、今回はそれを利用して回避する。
彼女の斬撃を剣で受けてそのまま後ろに押し飛ばされるといった作戦である。そうすれば斬撃の範囲からは逃れられるはずである。
作戦は成功、そのまま後ろに吹き飛ばされて・・・100Mほど吹っ飛んだ。意味が分かりません。
なんとかきれいに着地したが、つかの間、またしても彼女の永遠の壊滅が飛んでくる。
またしてもすべてを切り裂くことになるのだが、このままではらちが明かない。というわけで奥の手②である。
「くらえ!禁忌の暴虐!」
まだ教わっていない属性、禁忌属性の技である。本を読み漁ったときに見つけた魔法の中で自分が打てる最大威力の魔法である。と、思った技である。
「な、禁忌属性だと・・・」
「っ!禁忌属性は反則でしょ!私一人じゃあの技は、まずい!」
半径10Mを優に超える黒球が空に浮かぶそしてそれを、ハンドレッドに向かって超高速で飛ばす。ちなみにちゃっかりとセブンは避難済みである。
ハンドレッドは動揺したままもろに禁忌の暴虐を食らった。そのまま禁忌の暴虐は彼女の心臓部で凝縮し、彼女の体の内側から爆発した。
「っ・・・やりすぎたか?これ・・・」
「ま、死ぬことはないだろ、あいつなら」
その場に崩れ落ちるハンドレッド、心臓部が焼失し、前から見ると傷は貫通していて普通の人なら危険な状態である。が、さすがは・・・何歳のなのかセブンと違って聞いてはいないが、たぶん億単位を生きているのだろう。ゆっくりと立ち上がった。
「まだ、いける。私はぁ!」
「あーさすがに戦闘続行は無理だね。あいつの首切っちゃっていいよ。今ならまだ、切れるだろう。」
「は?」
発現内容がとち狂っていて思考が追い付かなかった。
「あぁ、あの状態になったハンドレッドは一度倒さないと負けを認めないで落ち着かないからねぇ。大丈夫、首を切ったって再生ぐらいできるからさ、あいつぐらいになってくれば。」
「え、そういうものなの?」
「あ、来るよ。よけな。」
セブンがいる場所ごと一閃が放たれる。だが、それは彼女がすぐ近くにまで近づいてきた証拠。
「contraindication0・斬」
俺の技が炸裂した。そして、彼女の首が吹っ飛ぶ。
「勝者は快成かな?だけど、これでもう限界かな?」
セブンがそうしゃべり終わるよりも先に俺は・・・全身から血を噴き出して倒れた。
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「それにしても禁忌属性ねぇ、ふぅーん。」
「・・・ついにこの時が来たか。」
そう言って少年は険しい顔、だが、楽しそうでもある顔をする。
彼が読んでいるのは一通の手紙である。送り主はセブンと書かれている。彼が執務室に入ると机の上に置かれていたのだ、見張りの者たちにも確認すると、誰もこの部屋には入っていなかったらしいのだが。
「俺の仕事が忙しくなってくるってことか・・・はぁー、参った参った。・・・でもこれで、ようやくこちら側も手札がそろったんだ。」
そういうと彼は複数人に念話を飛ばす。
その念話でなにか確認を取り、そして少年は安堵した表情を浮かべた。
「今回もイレギュラーな点はなし。落ち着いて行動できるといったものだよ。」
彼は窓の外を見る。その外にはきれいな城下町が見える。
「この町の、いや、この世界のための戦いを始めようじゃないか。覚悟はできているんだろう。『天改』の皆さん。」
彼は決意を固めたような表情を浮かべる。
「絶対に、今回で倒す。倒して見せるんだ。お前らを、そして、俺たちは未来を手に入れる!」
彼の言葉は皆の総意と同じである。そして、彼は急いで仕事へと取り掛かる。冒険者ギルド現リーダーとしての仕事へと。