51話 対人魔共同前線-②
51~54話の4話同時投稿です。
四方八方から放たれる魔法の数々。属性は様々で種類も複数。しかも狭い地下で戦っているため、よけるのが非常に厳しい。しかも後方支援とかって言ってトラザがどっか行った。応援を呼ばれているとするとかなりまずい。
「これじゃあきりがねぇ、まったく近づけねぇし、どうするかな・・・」
「なら、魔法は私が受けるから、快成はあいつを攻撃して!」
「未来、この攻撃をすべて受けきるつもりか?」
「龍を舐めないでよ、このくらい龍鱗ですべて無効化できちゃうんだから!だから、あいつの相手は任せた!」
「わかったよ。やられるなよ!」
「ふん、龍王女が簡単にやられるわけがないでしょ!」
未来が自身に魔法が向くように魔法をかけた。そのうちに、自分はシュウヤに攻撃を入れる。
「『龍頭破突』!」
素早くシュウヤ相手に一撃を叩き込むが、シュウヤは難なくそれを受け流す。
ならばと次は、受け流されない量と質の攻撃を叩き込む。
「『天ノ裁キノ喝采』!」
天から放たれる斬撃が、地下の部屋まで届く。それを操りシュウヤの四方八方から放つ。
「なるほど。厄介な———」
斬撃が連続してシュウヤに命中する。砂埃に隠れて見えないが、魔法で生体反応を確認すれば見えなくもない。
「生体反応がない。っ!後ろか!」
「『龍滅閻斬』」
シールドを展開・・・いや、ダメだ、たぶんまた変形を解除される。後ろを振り向く暇も、たぶんない。なら・・・
「『龍頭朧』」
広範囲を高速で切り刻めるこの技で自身の周り全体を切る。正確に言うと、相手の剣に攻撃を当てる。そのまま相手の剣の軌道を少しそらす。ただ、少しそらしただけなので斬られてしまうが、それも計算のうちである。痛覚軽減魔法は使うけどね。
「———っ!、ぐぁ・・・」
そらしたものの左腕は普通に切り落とされた。血が舞う。いや、計算のうちだからいいんだけどさ、痛覚軽減魔法をかけておいてよかった。それでもめちゃくちゃ痛いけど、意識が飛んだり、行動不能になるレベルではない。気合でぎりぎり動けるレベルの痛みである。
「外した。急所を狙ったんだけど。まぁいい、次で仕留め・・・がはぁ!」
シュウヤの心臓部を切り裂いた。
「———っ!それは、鬼の専売特許じゃ・・・」
作戦は成功したらしい。
何をしたのかを簡単に説明すると、血を操って相手を切り裂いたのである。
実はこの間、バテンにあったときに空間魔法の基礎を教えてもらったのである。(あいつが使うのは能力だけれども。)
空間魔法は扱いが難しい。具体的言うと周りの状況をしっかりと認識していないと、使えない。要するに、視認できていない範囲では使用することが難しいということである。(これは能力になっても変わらないらしい。)
また、空間魔法は物理法則をかなり無視する魔法であるから、魔力の消耗が激しい。また、それによって相手に感知されやすい。(物理法則を無視するのに魔力がなぜ大量に必要なのかの原理は知らないけど。)
ちなみにバテンの場合は能力なので魔力は関係ないらしい。
で、今回特に重要になってくるのは先に言った方。
それと、腕を切り落とされたこと。正確にはそれによって俺から血が出たこである。
百夜と戦った後、百夜の能力は強力だったので再現できないのかと考えていた。
その時に思いついたのが、空間魔法による血液の操作である。
しかし、血液自体は元々視認できる範囲に存在しておらず。俺みたいな空間魔法初心者が扱えるものではない。それに、自分で自分の体を切るにはまだ度胸が足りていなかった。しかし、相手に切られるのなら、いや、怖いけどね、痛いけどね。まだなんか諦めがつくいうかなんというか・・・それに、左腕を使えない相手には油断すると思ったからだ。実際に、シュウヤは一言喋る余裕くらいあると判断した。その時間が俺の魔法を操る時間を作ったのである。
それで、操った血でそのまま相手の急所を切り裂いてしまえばいいのである。
「打ち抜いた方がよかったな。かなりグロテスクな・・・」
切り裂いた跡が生々しい。
「なるほど、空間魔法で血を操りましたか・・・いや、でも魔力は感じなかった。なんで・・・」
そう、空間魔法には相当な魔力量を必要とする。しかし、セブンからもらった魔導書を介してならばどうだろう。
あれは国家機密レベルの物だ。魔力を隠す魔法を同時に発動すれば、そこら辺の相手では魔力の流れを感知できなくなる。(俺も感知できないけど。)
そのまま魔導書を介して魔法を使えば相手にばれずに血を動かせるわけだ。
まぁ、血を凝固させるためにほかの魔法の使ったけどそこはどうでもいいや。
「この四方八方から飛んでくる魔法、止めてくれません?」
そう、心臓部を切り裂くなんて言うことをやったのにあいては立っているのである。魔法も継続して放たれている。
「無理な相談ですね。ここで敵を逃がしたりでもしたら、後で後悔するでしょ。」
なら、仕方ない。今から使う技、ものすごく使いたくないけど、やるしかない。だってオーバーキルなんだもん。
「『ブラッド・スマッシャー』」
シュウヤが体の内側から切り裂かれる。
したことは簡単だ。
シュウヤの傷口が見えていた。要するにシュウヤの血が見えていたということである。
それを操って体を内部から切り裂いただけである。
たぶん、やられた側はめちゃくちゃ痛い。
死なない程度に調節してるけど普通の人ならショック死しそう。(見た感じ強そうだから死なないだろうという判断。)
絶叫が聞こえてくる。うん。ものすごく痛そう。たぶん、痛いとかそういう次元じゃないんだろうなとは思う。見ていられるものではないが、見ていないと魔法を操作できないので俺も苦しい。
大体一分間くらい続けた。四方八方から放たれる魔法が止まったからやめたという感じである。
「痛い・・・よくもやってくれたじゃないの・・・」
流石に、もう立ててない。倒れこんでいる。(なぜ喋れるのか。)
「これ以上続けるようなら、次は殺す。」
「あなたに人を殺すようなことができるとは思えないけど?そういう目をしていないから。」
「っ・・・・その通りだが、気絶くらいならさせられる。」
「へぇ、やってみてよ。」
「こいつ・・・!」
「快成!魔法止まった!よくやった!」
「おう、未来、よく魔法を全部受けれたな。」
「いや、最後の方は少し痛くなってきたからよけてた。」
「まぁそうだよな。」
流石に龍鱗があっても痛いものは痛いか。
そういえばもう片方の戦闘もすでに終わっているらしい。
「・・・なるほどね。あと少し早くやられていたら、負けてた。」
「どういう意味だ。」
「龍王女の方は私にとどめを刺せるだけの度胸がある。いや、違うわね、別に、人の命をそこまで重いものだとは思っていない。というところかしらね。」
「だとしたら、どうなる。」
「私はたぶん、この会話が終わったら龍王女に殺される。そうでしょ。」
「うん。殺すよ。この世界は弱肉強食だからね。今、殺してほしいの?」
「そんなわけがないでしょ。」
「話くらい最後まで聞いてあげる。」
「あっそ、馬鹿だね、龍王女は、同族まがい物の接近にも気づけないなんて。」
「おい、どういう意味だ。答えろ。」
「まだ、気づかないんだ。答え合わせをしてあげましょうか?」
「あぁ、なるほど、トラザが仲間を呼んできたとかそういう感じか?残念だが、入口の周りには魔国の兵士たちがいる。少しくらいの敵なら相手取れるはずだ。」
「少しくらいの敵なら、でしょ。」
「ねぇ、快成こいつ殺していい?何か、嫌な予感がする。」
「龍王女ちゃん。一ついいことを教えてあげようか。人はね、何か大切なものを失いそうになった時には命に代えてもそれを守り抜こうとすることがあるんだよ?」
「でも、あなたにはもう、その代えるための命はない。」
「どうかな?私はまだ、やれるよ。」
「未来・・・やるぞ、とどめを刺そう。こいつは危険すぎる。」
「うん。これは必要な犠牲だから、ごめんね。シュウヤ。」
「思ってもいないことをよく口から出せるよ。あと、一つ訂正させて、犠牲者は龍王女、あなただ。」
次の瞬間。天井が崩落した。そして、そこから入ってきたのは巨大な龍であった。




