Past Stories-0-0 School Collapse
「させない・・・誰も、殺させない。」
1人の女性・・・名をトニユという。
「何を言っているのさっぱりわからないな。すでに君たちの後ろにいる者たちは死んでいるというのに。」
「ッ・・・だとしても、これ以上は・・・」
「あきらめたらどうだい?君たちでは、神には勝てない。」
「そんなことは・・・」
「いいや、勝てる。いつになるかはわからなくても。そのために研究してきたんだ。」
「べつに、私達教師の仕事は生徒を守ることであって神を倒すことではないですがね。ただ、生徒の幸せを守るためなら、神を倒す必要もある。」
この場には4人の人物がいる。神と呼ばれた存在と、トニユ、そして、トニユと同僚である二人の男性教師である。
「君たちも、私がいたから、今、ここで生きているんだ。私がいなければ、君たちが生まれることもなかった。」
「だから・・・なに!」
「・・・君たちにこの世界を作った理由を教えてやる。」
「『理想郷だ。』」
「ユート・・・ピア?」
「この計画のために俺は残りの全神生・・・を懸けるつもりだ。彼らの意思を、無駄にはできない。」
「残念ながら、意思を無駄ににできないという点では、こちらも同じだ!」
「禁忌や異細胞、人造人間計画を行ったというのによくそのようなことが言えるな。さすがは、人間というところか。」
「だがまぁ、お前の場合はお前一人を幸せにするが、こいつの場合は複数人を犠牲にする代わりにほぼ全人類を幸せにすることができる。」
「ほう、よく言ったものだな。俺の理想郷が誰も幸せにしないというのか?」
「えぇ、しないわね。感情無き世界など、誰も幸せにはしない!」
「感情無き世界が誰も幸せにしない?では逆に感情があれば人は幸せになると?否、感情があるからこそ、人は争い、苦しみ続けるのだよ。」
「だとしても、人はその苦しみや悲しみの感情をばねにして成長して生ける!」
「きれいごとだな。そのようなことはない。たとえ成長したとしても、一個人だけだ。結局また、争いは繰り返す。」
「そんなことはない!苦しみも、悲しみも、全て分かち合える!」
「・・・耳障りだ、やはり不良品に言葉をしゃべらせるだけ損だな。」
「トニユが不良品だと・・・!」
「もちろん、君たちもだが。まぁ、いいさ、不良品には不良品らしい運命を与えよう。そうだ、最近魔王という職ができたようだな。魔法を統べる王か、だが、魔族がいないというのもおかしな話だろう。」
トニユがその場に崩れ落ちる。と、同時にトニユが苦しみだす。
その光景を教師たちは見たことがあった。
人間の肉体を改造すると、人は苦しむ時があるのだが、それと酷似していたのである。
なぜそれを知っていたのか。その理由は片方の男性教師が人体実験を行っていたためである。
後に禁忌と称される者たちもその実験の被害者たちである。
さて、トニユの様子であるが・・・
「ぐ・・・ぅあ、苦し・・・あああぁぁあ!」
トニユが持つ魔力量が一気に増大する。
それと同時に、トニユの体に変化が起きる。
角が生え、爪が伸び・・・
まるで、魔物の姿に近づくかのように、体が変化していっていた。
「おっと、不良品と遊ぶのも悪くはないが・・・こちらもやることがあるのでね。帰らせていただくよ。」
「逃げるつもりか・・・!」
「逃げるだなんてひどい言い方だな。俺は君たちが弱すぎて相手にならないから、放置するだけだ。」
「神が強すぎるだけだろう?」
「ま、そういう認識もあるということだな・・・そうだな、次は君たち人間の手で世界が滅びそうになったら遊びに来てやる。またな。」
その言葉だけを残して、神は消え去る。
「逃げやがったか・・・っ!トニユ!大丈夫か!?」
「大・・・丈夫かな・・・ぁ?私、何か変?」
「・・・これが、魔族ということか。」
この時、原初の魔族:『トニユ』が誕生した。
この世界に、救いがあらんことを、
この世界に、幸せがあらんことを、
この世界に、奇跡があらんことを。




