44話 龍王女の力
「はーかわいいかわいい。癒されるわぁ・・・」
「近づくなぁ!離れろおぉぉ!」
「あいつってあんなキャラだったっけ?」
「昔からかわいいものを前にするとああなるんだよな。あいつ。」
現在、遺跡に向かって歩いているところである。
未来はスイアに抱っこされている。
「それにしてもお前ら、龍王女とわかってからの適応力すごいな。全然驚かなかったし。」
「いや、こないだまで起きていたことが衝撃的過ぎてそんなことどうでもよくなってたんだ。」
「スイアの同じような感じかな?」
「いや、たぶんあいつはかわいいものっていう認識でいるから、龍王女ということを意識していないと思う。」
「なるほどね。っと、遺跡についたか。」
遺跡を見ての第一印象は『山』である。
何千年前の物かは知らないが、もう埋もれてしまっていて見た目だけではわからなくなっている。
ちなみに発見された経緯は土砂崩れで入口が見えたことらしい。
「お前の武器もこの遺跡出身だったよな。」
「あぁ、アブノーマル・セルのことか?全然使ってないけどね。」
実はこの武器、使いやすく持ちやすいため非常に使い勝手が良いのだが、普通に剣と魔法を使うだけで今まで戦えて来てしまっているため、盾としてしか使ったことがないのである。
「さて、遺跡に入るけど、準備できたか?」
「もちろん、準備は万端だぜ。」
「うん、準備はばっちりよ!」
「もう疲れたんですけど・・・」
未来だけはなぜか疲れているけれど、このまま遺跡に入らなくても疲れていきそうな感じだったので遺跡に入る。
「洞窟って感じだけど、これのどこが遺跡なんだ?」
「もう少し進んでみようか、何かあるかもしれない。」
最初の5分くらいはただの洞窟となっていて非常につまらない。たぶんだが、ここはまだ厳密には遺跡ではないのだろう。遺跡の前にできていた空洞というのが正しいのかもしれない。
しばらく歩き続けると、人工的な建造物が見えてきた。
「・・・なんだこれ?鉱石の採掘場みたいだな。」
「たしかに、遺跡というよりは採掘場あとといった方がよさそうな感じしてるよね・・・」
「でも、確かここら辺って鉱石とかはあんまり取れなかったはずよね。」
「だけどキルトから渡された地図を見る限り、採掘場とかではなさそうなんだよね。下向きに進めるところが一か所もない。」
「どうなってんだここ・・・」
このような場所で第一階層しか発見されていないというのは異常だと感じさせられる。
「でも、微弱だけど龍素の気配は感じるよ?」
「未来、何か見つけたのか?」
「あのね、龍じゃないと気づけないくらい微弱なんだけど、龍素・・・人でいう魔力みたいなものなんだけど、奥の方から染み出てる感じかな?」
「人だと気づけないくらいってことか。それなら何か今まで見つかってこなかったものの手がかりかもしれないな、じゃあ、案内よろしく。」
「任せt」
「さすが未来ちゃん!やっぱりかわいいね~」
「離れろって言ってるでしょ~!」
「「・・・」」
「助けなさいよぉ!」
「仲がいいってことで、」
「そうしておこう。」
「道案内しないぞぉ~!」
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しばらく道案内通りに進んでみた。
魔物は出たが、質より量といった感じで大したことはなかった。(量も最大で8体の群れだった。)
「あれ?この先から龍素が染み出てるんだけど。行き止まりになってる・・・」
「スイア、お前の能力で染み入って奥に空間があるかどうか確認してくれ。」
「任せなさい!」
「うおぉ、お姉ちゃんすごい!」
「いいわね。もっと褒めなさい!」
「やっぱりすごくないや。」
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・
5分後
「奥には確かに空洞があったわ。」
「おぉ、じゃあ壁を壊して進めばいいってことだな。」
「いや、それなんだけどさ、土の中に人工的に加工された金属があったから簡単には壊せないと思うんだよね。」
「金属?なんで?」
「ちょっと待ってろ、今調べる。」
情徒が能力を使う。
あれ?最初からこいつが能力使っとけばよかったのでは?と思うかもしれないが、壁の向こう側という隠された事実だったため初めは能力の効力が機能しなかったらしい。
「なるほどね。」
「何かあったか?」
「あったよ。しかもかなりでかい。」
「どんなやつだったの?」
「ゴーレム。しかもまだ動きそう。」
「じゃあ、よけて掘り進めればいいのでは?」
「いや、ゴーレムがあまりにもでかすぎてよけるのが困難だ。」
「じゃあ、倒さないとだめってことか。」
「ゴーレムってどうやって倒すの?」
「コアを破壊すればいいはずだけど。古代遺跡のだから、無理そうだったら逃げるよ。だけど幸いコアは露出しているみたいだから、苦戦はしないと思うよ。」
「壁を壊したら襲ってくるって認識であってる?」
「たぶんそうなるな。」
「壁ごとゴーレムを吹き飛ばすのはだめ?」
「できればやってもいいけど、それはさすがに難しいと思う。奥には遺跡もあるだろうから威力調節難しそうだからな。」
「じゃあ、壁を壊して倒せばいいってことだよね!」
どっかーん
と大きな音がして、壁が吹き飛ぶ。
「おい、未来まだ壊していいとは言っていないんだが?」
「よーしかかってこーい!」
「元気ならいいんじゃない?」
「そういう問題じゃないだろ・・・」
ゴーレムが動き出す。
「情徒、ここまで来たらあなたの能力で調べられるでしょ。詳細を教えて。」
「えぇっと、鉄製で人型、コアは人間でいう心臓部に位置していて、かなり大きい、露出しているからすぐに壊せると思う。対魔法障壁をまとっているから、できれば物理で壊したいな。」
「でも、ゴーレムって物理属性に対して強かった覚えがあるんだけど。」
「その通りだな。」
「じゃあどうするんだよ。」
「一番乗りぃ~」
「おい、未来、危ないぞ!」
ゴーレムが複数の魔法を未来に向かって放つ。
未来はそれに突っ込んでいく形となった。
「あれ、やばいんじゃない?」
「確かに、普通の人だったら死んでるな。」
「じゃあ、助けないと!」
「何言ってるだ?普通の『人』なら死ぬだけであいつは龍だぞ。そもそもSランクの人を普通とは言わない。」
迫りくる魔法の中を未来は駆けていく。人間の姿をとっているため見た目では判断できないが、皮膚の性質などは龍の鱗と似ている。そのため、多少の魔法を受けたぐらいならば傷一つつかないのである。
「これがコア!」
金属製のゴーレムの胸のあたりに、赤く光るものがあった。
それを———
「龍爪斬!」
瞬間的に伸ばした爪で斬る。
すると、ゴーレムの心臓部は赤く光を増し、爆発した。
「よーし!ゴーレム倒したぞー!」
「さっすがぁ、未来ちゃん!お姉ちゃんがほめてあげます!」
「だー!触るなあぁ~!」
「さて、先に道があることもわかったし、依頼は達成か。この後はどうする?」
「そうだな、帰ってもいいけど・・・」
「新しい階層が見つかったんだから一番乗りでお宝を見つけないと!」
「お宝お宝ー!」
「ただ、未知の階層は危険なんだよな・・・まぁ俺の能力もあるから、ちょっとだけだぞ。」
「よし!そうと決まれば出発だぁ!」
「「おー!」」
「ところで、キルトさんこないだ話していた遺跡の件。どうなったんですか?」
「ブン。お前、気になってたなら今からでも派遣してやろうか?」
「いや、ちょっと気になることがあったので。」
「ふーん。教えてよ。」
「あの遺跡がある山についてなんですけど。あの山、昔の資料を見る限り・・・あ、約1000年くらい前の資料ですけど。存在していないんですよね。」
「そうだね。あの山が出現したのはちょうど985年前だ。」
「それなんですけど、あの山、どれだけ調べてもどのようにしてできたかが書かれていないんですよ。どれだけ記録を見てもまるで最初からあったかのように扱われています。」
「それで?」
「結局あの山はいや、遺跡は何なんですか。」
「いやに真剣な顔だね。そんなに彼らのことが心配なのかな?」
「何か知っているのでしょう。」
「・・・」
「あなたは世界の隠された真実もいくつも知っている。そんなあなたなら・・・」
「あの遺跡は、島だ。」
「・・・は?」
「『均衡の島』、秩序と混沌が入り乱れる島だよ。」
「島って、陸にあるのに?」
「そうだ、陸にあるが、島だ。まぁ今の状態を島と呼べるかといわれると怪しいところだが。」
「昔は島だった。みたいな感じですか?」
「まぁそうだね。あの島は昔は美しかったんだよ。ただ、今は・・・」
「今は?」
「コスモスは消えカオスのみが残る島。それが均衡の島だよ。君たちは絶対に近づいてはいけないからね。あの島は、存在してはいけないんだ。だから———」
「歴史から、抹消されたんだよ。」




