41話 平穏な生活はいったいどこへ
「話したい事?」
「えぇ、少し重要なことでね。」
すると、アリスは防音魔法を展開する。
「重要なことって、何ですか?」
「よく聞いてね。これは世界の均衡にもかかわってくる話だから。」
「なんでそんな話が俺に・・・」
「あなたが家を不在にしている間に大変なことが起こったの。」
「確かに一週間くらい家を空けてましたけど・・・もしかして火事とか!?」
「いいえ、違うわ。単刀直入に言うとね、龍が住み着いたわ。」
あーなるほどね、よくある空き家に人が住み着いちゃうやつね。なるほどなるほど。・・・は?
「え、何それ、討伐しろってこと?」
「あぁ、えーとね、そういう龍じゃなくてね。あなたが思い浮かべてるのは野生の龍だと思うんだけど・・・」
「龍って野生のものと野生じゃないものがあるんだ・・・」
「今回のは東龍国の上位龍でね。まだナノちゃんには報告してないんだけど、ってその前に東龍国が何かについての説明ね。」
アリス曰く
東龍国とは東側にある大きな島一つで構成される国であり。龍の生息地であるらしい。
もちろん西にもあるのだが、そこは別の国で別の龍が治めているらしい。(別に対立関係にあるとかいうわけではない。)
で、上位龍というのはその中でも特殊な存在らしく。昔話などでも語られるような存在達らしい。
「いったい、どんな上位龍が住み着いたんですか?というか、家の中によく入りましたね。龍のあの大きさで?」
龍の大きさについてはハンドレッドから本で見せてもらったりしているため、わかっているつもりではある。
「上位龍は、ほとんどの龍が人の形態をとれるのよ。だから、その姿で住み着いてるわ。体が大きすぎてもいろいろと不便みたいだからね。あ、言い忘れてたけど、知能は人以上と言われているわ。」
なるほど、まぁ、見た目だけなら人と大差なく、知能も人以上。そのような存在が俺の家に住み着いたということは・・・
「不法侵入では?」
「そうね、今回の龍は野生の生物じゃないから、法で裁けるわよ。」
しかし、問題なのはその上位龍という存在である。
「で、さっきの質問に戻しますけど、どのような上位龍なんですか?」
「それなんだけどさ、この国って実は龍の加護で守られているって知ってる?」
「知らなかったですけど、その龍がどうかしたんですか?」
「その加護を与えている龍っていうのは青龍っていってね。」
『青龍』元の世界でも聞いたことがある存在である。
たしか中国の伝説上の神獣で東西南北を守護する四神の1つだった気がする。
「そういえば伝説上でならこっちの世界にもいましたよ。青龍って名前の龍。」
「えっとね、たぶんその龍は別固体だと思うんだよね。一応、こっちでも東龍国を代表する四龍の一つには数えられるけども。」
「なるほど、まぁそのなんというか強そうな龍が俺の家に住み着いたってことですか?」
「それがさぁ、青龍だけならよかったんだよね。というか青龍だけだったら追い返してた。」
「追い返せるんですか?」
「一応、こっちには神獣やら何やらがいますからね。」
「あぁ、事後報告でいってた鬼国の一軍を壊滅状態にさせたやつですね。」
「ただ、今回は追い返せない相手が一緒にいてね。というよりももはや青龍が護衛している感じだったんだよね。」
「なるほど、まぁ東龍国を代表するだけでそれより強かったり偉かったりする存在はいるってわけですか。」
「そうなんだよね。まぁ、そんなものは龍王様くらいしかいないんだけどさ。」
なるほど、龍王ね。確かに偉そうな存在で———あってたまるか!
「なんでそんな奴が住み着いたんですか!」
「お、落ち着いて落ち着いて!」
「龍王って言っても代替わりしたばかりだからまだ15歳よ。」
「なるほど、同い年か。」
「まぁ、龍は成長が遅いから頭脳はともかく外見とか性格とかは6歳くらいね。」
「性格まで6歳なのかよ。」
「あ、でも龍の王族はそこら辺の成長がちょっと早いだろうからさすがに性格は12歳くらいあってほしいわね。」
「で、いったいなんで俺の家に・・・」
「あぁ、その理由は簡単でね。おーいキルトーこっち来れるー?」
「ん?どうした?」
「ちょっとこないだ建築したこの子の家の件で話したいことがー」
「わかったー!今そっちに行くー」
「・・・」
「なんやかんやで仲いいよな。」
「仲良くはないと思うわよ。」
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「なるほど、その家に龍が住み着いたと。」
「そう!その時にあなたって異世界の技術大量に詰め込んでたわよね。」
「あ、確かに電機は通したよね。水もいい感じに通したし。あれは太陽光魔法発電とか利用してるんだけど。」
「たぶんそれがあるからこの家はいい家だと思って住み込まれたんだと思うのよね。」
「確かに防衛設備も整ってるし。安心といえば安心だが。」
「おい、ちょっと待て、なんで防衛設備があるのに龍が入って来てるんだよ。」
「だってあれ、使用電力大きいから基本は電源切ってあるんから。」
「何のための防衛設備・・・」
「ま、あそこにある防衛設備くらいじゃあ上位龍なら一瞬で突破するだろうけどね!」
「なんで『!』つけて話せるのかな。」
兎にも角にも、これは一大事である。
「国に報告しなくていいのか?」
「いやーそれがちょっと報告しにくくてね。」
「「なんで?」」
「それがさ、住み着いちゃった理由がさ、話を聞いた限り・・・」
「あ、話は聞いたんだ。」
「国の公務が忙しいから抜け出してきた説が濃厚なのよね。」
「・・・」
「・・・」
「いや、ほら、さすがに相手は龍といっても子供だよ?抜け出したくもなるない?たぶん。」
「ま、まぁ、一度会って話した見るか。」




