37話 休憩したい
さてと、絵の中に入ったのはいいが、転移系の魔法がかかっているだけである。転移先の魔法陣が下向きだったため、床と激突した。
「痛!」
「転移先がどうなってるかくらい予想しなさいよ。」
「いや、魔法陣が下向きなのはさすがに予想できないだろ・・・」
「確かに、下向きなのはさすがに思ってもなかったことだけど、転移前に魔力の流れ見とけばわかるでしょ。」
「確かにそうだけど・・・第一、なんで魔法陣が下向きなんだよ・・・」
「客人を床にたたきつけるなんて、私としたことが・・・あ、掃除中だったの。ごめんね。ほかの家具も散らかってるから、それと同じようなものだと思ってくれると嬉しいわ。」
でた、誰かわからない人。
前回の会談時に集まっていた重要な人たちを覚えるので今は頭がいっぱいなのに、また増えた。
それよりも、なぜだろうか、目の前に立っている人が人ではなく見える。どう見ても人なのだが、感覚的に違うような何かを感じる。近い存在と言えば、神のように感じられる。(もちろん神に会ったことなどない。)しかし、考えていても仕方なく、よくわからない人と言えばアトという前例がいるため、異世界はそういうものなのだろうと、そういうことにする。
「・・・で?アトちゃん、君に頼まれたものは用意したけど、報酬は?」
「こいつ」
アトが俺を指さす。
「お前・・・」
「あっはははは・・・あー、快成君もかわいそうに。」
「具体的にはどこら辺がかわいそうなんですか。というか、あったことありましたっけ?」
「へ?ないけど。」
「やっぱりか、会議にはいなかったもんな、こんな人。」
「初対面でこんな人って言いきるあたり、すごいわね。」
「で、俺が報酬ってどういうことですか?」
「こういうことよ。」
そう言って彼女は俺の周りに魔法陣を展開する。
そして、一瞬で魔法陣が消える。
「なるほどね。あ、今のは君の記憶を読み取っただけだからね。そんなに心配しなくても大丈夫よ。」
どこが大丈夫なんだよ。
ふざけんな。
「じゃあ、アトちゃんにこれをあげないとね。」
そして、棚の中から、箱を取り出す。
「『管理番号13-7-c』であってたかしら?」
「どれどれ、あぁ、そうそうこれこれ。ありがと。」
「じゃ、私たちは帰るよ。」
「あら、もう帰宅しちゃうの?」
「私の方の人格が長い間あっても問題でしょ。」
「確かにそうね。じゃ、また会う日まで。」
「おい、ちょっと待て、これって俺いらなかったんじゃ・・・」
「君は私が呼んだから、ここにいるだけだから、いるだけで目的を果たしているのよ。」
「???」
「えーと、この人は白様って言って、ナノ国の国家機密の軍の長だね。詳しくは言えないけど。あ、今日私がここにあなたを連れてきたことはほかの人には内緒にしといてね。」
「もしほかの人に言ったら?」
「たぶん殺される。私じゃなくて、どっかの組織に。」
「おぉ、怖い。」
「なんで私が国家機密の軍の長っていう点については触れないのよ・・・」
「とりあえず、やりたいことはできたから、私たちは帰るよ。」
「はぁ、完全にペースがあなたに合わせられてるわね。まぁ、元気にしててね。」
「保証はできないかな。」
そんな感じで話しながら、魔法陣入ろうとする。
「あぁ、そうだ。快成君。」
「ん?何か用ですか?」
「そのアトは私達ですら、正体がつかめてないの、だから・・・気をつけなさい。」
「もう!白様ったら、そんなに私の信用がないって言いたいんですか。」
「言いたいわね。どうせ今も利害関係が一致しているから、私たちに協力してくれているだけでしょう。」
「・・・ま、否定はしないわね。」
「・・・次に会うときにあなたが敵でないことを祈るわよ。」
「さすがに次は大丈夫でしょ。じゃ、いい加減、帰るね。」
そうして、俺らは魔法陣で転移して・・・王宮まで帰った。
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そのあとはアトはすぐに気絶してしまったので、今回は付和が近くにいたので渡しておいた。
「はぁ・・・転生してからろくな目にあってねぇぞ・・・」
正直なところ、そろそろ疲れてきたのである。
「いい加減、どこかで羽を伸ばしたいー」
っと、声に出てしまったが、変なことを言ったわけでもないので、良しとする。
「・・・それなら、旅行にでも言ったらどうだい?」
「びっくりしたな・・・キルトか。」
「実はねぇ、今回の会談に出席したときに魔王カレンと話す機会があってね。」
「だからどうした。」
「あまり先を急ぐなって・・・そこでビジネス的な話になって、ギルド支部を魔国にもおいてくれないかって話になってね。今度話し合おうってことで、魔国に招待されたんだよね。」
「それと、旅行に何の関係が・・・?」
「俺以外にも複数人連れていけるから、お前も来ない?」
「・・・考えておく。」
「VIP待遇なはずだから、おいしいものたくさん食べれるよ?」
「・・・それっていつ?」
「えーっと一か月後だね。」
「悪くないな。あ、でもそうなると俺に少しは雑用が回ってくるわけか。」
「まぁ、そこは旅行費用だと思ってくれれば。」
「そうだな、じゃあ、行くか。どうせお前も俺を誘ったってことは何かしら連れていきたい理由があるんだろ。」
「それはどうかな?」
「おい!」
「よく、考えといてくれよ。じゃ、俺はここらへんで、他の仕事もあるんでね。」
「おう、じゃーな。」
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あー、キルトの相手も疲れる。やばい、疲労がやばい。帰れるようになったら早く帰ろ。
ちなみに今日は王宮に泊っていってくれと言われているので、帰れない。しかし、王宮でもゆっくりできないことはないので、ゆっくりと休もう。
「へぇ、負けだんだ、お前。」
「うっさいわね、負けるところまでが計画内容でしょうが!」
「いや、それにしても思ってたより盛大に負けたな。」
「ヤタ、てめぇ・・・」
「ははは、それにしてもいいのかい?そんなところで念話したら、誰かに傍受されるんじゃないか?」
「べつに、アンタと話す内容はただの事後報告なんだから、傍受されても何の問題もないでしょう?」
「言われてみれば、確かにな。ということで、事後報告よろしくな。」
「えぇ、まずは私の可愛いお人形ちゃんが一つ壊れたところから・・・」
「あー、いいそういうのいらないから、重要な点だけに絞れ。」
「つまらないわね。」
「そういうものなんで。」
「まぁ、あるとすればセブンの介入でしょうね、あいつ、今回はいレギュラーを有効活用しようとたくらんでるみたいだけど。どうする?」
「べつにどうするって言われてもな、別に今敵として立ちはだかっているんでないなら、消す必要も無いだろ。今回のも、ことを早く終わらせようとしただけみたいだしな。」
「敵じゃないっていうのも、敵の定義を考えさせられるわね・・・あ、そうだ、ハンドレッドから確認したんだけど、今回の彼、どこぞの誰かが作った剣とアブノーマル・セルそして、例の魔導書すべてを持っているみたいね。」
「すべてだと?」
「そう、全て、正直言って非常に危険な状態ね。どうする?」
「・・・放置しておくと、危険か?」
「それを試す意味でもやってみる必要はあるかもね。」
「なるほどね。はぁ、仕方がない。ボスの許可は取ってあるのか?」
「うん。さっきアンタと念話する前に確認した。」
「なら、第2フェーズといこうか。なにか聞きたいことはあるか?」
「あるとすれば、私の人形3体しかいないんだけど・・・あ、今は2体か、補充手伝ってくれる?」
「そのくらいなら、交渉しておく。」
「なら、盛大に始めよう。」
「おーい。あんまり暴れすぎるなよ。」
「大丈夫よ。ちょっとは加減するもの。」
「まぁ、いいか・・・」
ヤタは念話の対象者をを必要最大限の人数に広げる。
「お前ら、たった今決めたので、ちょっと急かもしれなくて申し訳ないが作戦変更だ。作戦内容は・・・」
そして、ヤタの口から、無慈悲な作戦内容が告げられる。




