26話 VSナノ-②
付和は王城の地下の一室にいた。
光源がないにもかかわらず、視界は良好、しかし、真っ暗といえば、真っ暗でもある。そんな空間の中に、一つの円卓があり、それを囲むように、今回は5席椅子が並んでいる。すでに、4席には座っているものがいる。なので、残っている席にOTS団長として、付和が着席する。
しばらくの間、沈黙が訪れる。一瞬なのに、数分とも思わせるような、静寂。そして、一人の女性の発言が、その静寂を破る。
「で、付和ちゃん、なんで私達を呼んだわけ?私達、これでも忙しいんだから、要件によっては、ね?」
「おい、脅すのはそのくらいにしておけ、付和、要件を告げろ。忙しいのは事実だからな。」
今、この空間には5つの存在が存在している。
順番に特に意味はないのだが、北から順に時計回りに、付和、特殊な少年、白い女性、黒い男性、人を超えし男性。という風に並んでいる。付和を除く全員が、形容しがたい存在であることが分かる。
「今回お集まりいただいた、理由は、ナノ様の暴走に関して何か知っていることはないか。ということをお聞きしたいというものです。」
その発言に、特殊な少年は絶句し、白い女性と黒い男性は威圧感を強め、人を超えし男性は・・・どうでもよさそうな表情をしている。
「お、お前なぁ、それをあいつらに聞くかよ、普通!」
「その話題なら、俺は関係ないな、一応ここにはいるが、俺の存在は無視してていいぞ。」
「では、質問します。なぜ、あなたたちお二方は今、威圧感を高めたのですか?」
「おい!馬鹿ぁ!」という声が聞こえたが、なかったことにされた。
「へーぇ、そういう態度、とっちゃうんだ。」
次の瞬間、付和の首が刎ねた。
「罪人よ、死ね。『ミリアステル』」
流星のごとき速さの斬撃がナノより繰り出される。
「アブノーマル・セル:シールド!」
初めてアブノーマル・セルを使ったが(実は練習では使用していたが実践では初めて。)うまく盾を作れたと思う。
「チィッ、なんで今の攻撃が・・・まぁ、いいわ、このままなら倒せそうだしね。」
「なに、寝ぼけたこと言ってやがる。どこが、『このままなら』だ。まだ試合は始まったばかりだろ。」
「情徒、これ、試合じゃないからね。わかってる?」
「たぶん絶対分かってないわよ。あいつ。」
「さすがにわかってるはボケ。」
「さすがギルドの冒険者、軽口を叩ける余裕があるなんて。」
「ユニコスさん?たぶんそこ感心する場所じゃないですよ?」
まあ、こんな軽口を叩けるのには理由がある。
だってナノがミリアステルしか使ってこないんだもん。
しかもほとんどこちらに当たってないし。
おかげで情徒の能力でミリアステルの解析終わりそうだし。
「こちらもそろそろ仕掛けに行かないと失礼というものなのかな?」
「たぶんそうだろ。一気に行くぞ。」
「何?今から行動しようとしてるの?だとしたら、遅すぎる。」
がくん、と床が揺れた気がした。すると、床が抜けて、階下に落とされた。
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「随分と、暴れてくれたみたいじゃないか。」
キルトはギルド本部を見て、つぶやく。
爆破されたものの、消火はすでに住んでおり、建物の耐久性の高さから、ほとんど壊れていない。
「建物は無事でしたが、空間が破壊されてしまっていて、侵入は厳しいとのことです。」
「連絡ありがとう、ホスカ。そのまま爆発時の状況について情報を集めておいてくれ。」
(あの爆破、ナノが仕掛けたものだろうが・・・作ったのは別のやつだな。ナノにあのレベルの爆弾は作れないだろうし。それに、フェンか、ユニコスと同じナノの側近だったな。どうやって拘束から抜け出した?)
「ブン、フミ、お前らは、例の食べ物屋さんにでも行って店主のバテンを呼んで来い。これは、あいつがいないと厳しい。」
「わかった!ほら、お兄ちゃん、行くよ!」
「え!あ、ちょ、あぁ、キルト、ギルドはよろしくな。」
「おう、任せとけ、」
二人の姿が見えなくなった後、キルトはギルド本部に向かって、歩き出す。そして、中に入り、最上階まで、空間破壊を無視して、進もうとする。
「だめか、半分までしか、登れないか。一度本部から出てバテンが来るのを待つか・・・!?」
強烈な殺気が、キルトに襲い掛かってきた。
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「痛てぇ・・・どこだ?ここ?」
「さっきまでいた部屋がナノ様のお部屋だったので、この部屋は書庫でしょう。」
周りを見ると、崩れた天井(さっきまでは床だったもの)の残骸と崩れた本棚と、それからあふれてきた本が散らかっている。
「この付近は、魔導書が大量に置かれていますね。ですから魔導書を早く使ったもの勝ちです。」
ユニコスがさっきから説明してくれているが、こんな書庫なんかで魔法戦なんてやったら、よけるスペースもなく、最悪味方の攻撃に当たってしまう。完全に魔法戦には向かない場所である。ナノだって、こちらが範囲攻撃を全員で連発すれば、重傷を負うのは間違いないだろう。
「俺たちを落としやがって。目的は何なんだ?ナノ様?」
「あ、情徒少しキレてる。」
「目的なら、今から見せてあげましょう。」
すると、落ちているたくさんの魔導書が宙に浮かび始める。そして、それはだんだんとナノの方に集まっていき・・・
「何をするつもりかわからないけど、止めるよ!時雨百矢!」
なるほど、魔法所を濡らして、使えなくする作戦か。と、ここで疑問、魔導書って濡れたら使えなくなるものなのか?
「魔導書は、濡れても別に使えるが・・・魔法式を読み取れなくなったら、使用できなくなるな」
なるほど、今回はそれを狙ってるわけか。
「まずいわね。このままだと先に複合魔法が完成しちゃう・・・」
そうなると、俺たちはこの狭い空間で、魔法に直撃してしまい。やられてしまうわけだ。
どうにかしなければ・・・
「これって、魔導書から術者を切り離せば発動を中止させれたりする?」
「中止させられるな。ただ、50mくらいは切り離さないと難しいぞ。」
「じゃあ、ダメか。」
全員でナノを弾き飛ばそうと考えたのだが、50mはきつい、ハンドレッドやセブンでもあるまいし。
「なるほど、切り離す、か。わかった。俺がナノ様を魔導書から切り離そう。おい、快成、俺の背中に乗れ。」
「へ?背中?」
「人化を解いたらすぐに飛び乗れよ。では、いくぞ。」
すると、ユニコスの体が光り輝き・・・
「その姿・・・なるほどね。」
「かはっ・・・!」
付和の首は刎ねた。が、確か首は、今身体と結合している。
「どうだった?首を斬るという現象を起こして、首が斬れなかったという事象で上書きしてみたの。」
「やりすぎだと思うが、どうなんだ。」
「立場をわきまえられない子にはこのくらいが適当な対応なの。」
付和は何か、深淵のそこを除いてしまったかのような絶望した顔をしている。
「おい、大丈夫か?お前、普通に首刎ねられてたからな。」
「無事ならいいだろ、それで。」
「大丈夫。ちょっと、予想外だっただけ・・・」
「ふーん、そういう態度、やっぱりとるんだね。まぁ、いいや、今回は首を刎ねたことに耐えたことに免じて少し教えてあげるわ。」
「今回のナノの暴走の件は私達黒とこいつら白の両方が関与している。が、関与していなくても暴走していただろうな。」
「それは、どういう・・・」
「暴走する時期を早めただけよ。ことを早く終わらせたかったからね。」
「で、どうだ、たぶんお前の望んでいた回答ではないと思うが、今はこれで我慢してくれ。これ以降の干渉はしばらくはしないと約束する。」
「・・・じゃあ、これ以降ナノ様が暴れたら、それには責任を取らないということですか。」
「いや、今回のナノの件までは責任を取ってあげてもいいわね。ただ、それ以降に何か起きても、責任は取らないよ。」
「まるで、この後に何か起こるみたいな言い方をしていますね。何か知っているのですか?」
「秘密だよ。それは。さ、要は済んだでしょう。皆さん、解散としましょう。」
「っ!待て!まだ全然と聞き出せてな・・・」
気がつけばその場にはもう、誰も残っていなかった。




