閑話-4 手紙
あぁ、君と一緒に暮らしていた時のことを思い出すよ。
本当に暴食だったよねぇ。
次に君と出会った時に、君はどのような表情を見せるのか。
優しい表情だろうか、いや、それはないだろう。
怒りの表情を見せるのだろう。
君と私とではすべてが違う、真逆といってもよい存在である。
少なくとも、生まれてからしばらくの境遇は真逆だったのなのだから。
いま、君が生きていることに僕はホッとする、しかし、今、君が私が生きていることに君が気付いたら、君は憤怒を見せるのだろう。
あの時は仕方がなかったとはいえ、幼いころだったとはいえ、止められなかったことに今でも後悔している。
君は今、何を求めるのか。
大体予想はできるが・・・それはかなわないとでも割り切ってしまっているんじゃないかな。
そんなことはない。いつか、夢や希望は必ずかなうものだ。それに向かうまでの過程がどれだけ厳しいものであっても。あきらめなければ、だが。
君は、もうあきらめているのかい。それとも、まだあきらめていないのかな。
もし、君がまだあきらめていないとしてだが、もしアトに直接手を出すのならば、容赦はしない。
確かに君の望みを叶えるためにアトは必要不可欠だが、アトに直接ではなく間接的にアプローチをかけることも不可能ではないはずだ。
もし、彼女に害をなすならば私は君の夢も希望も何もかもを壊しにかかる。
ないとは思うが、アト対する感情が色欲的なものだったらマジでぶっ潰すからな。
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君がどのような大罪を犯そうが、私は興味はない。
ただ、アトだけは、譲れない。
だけども、君も、譲れないのだろう。アトのことだけは。
アトとこうも仲良くしている私に君は嫉妬でもしているのかな。
君の望みが強欲だとは私は思わないけどね。
・・・怠惰なのは私かもしれないね。
君のために何もしてあげようとしない。しようと思っていても実行に永遠と移さないのだから。
それはそうと、君の主人は傲慢になってしまっていたりはしないかい。心配するまでもなく、大丈夫だとは思うが。
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ともかく、君と次に会うときは敵同士だろう。
覚悟はできているのかね。
私は、昔のようにまた、二人で仲良く暮らせることを望むけども。君はそんなこと、望まないのだろう。
君を見捨てなかったのは、私でもナノでもなくアトだけだもんね。
君の調べはもうついている。最後に大事なことでも教えておこう。君と戦うのは私じゃない。君の運命はすでに決まっている。
『君は私たちには勝てない』
夢や希望は叶うものだと、私は確かにさっき言った。しかし、それを超越するものがいたとしたら?君はそれを超えられるのかい?第一、利用されているだけの君が、運命なんかにあらがえるのかい?
これが最後の忠告だ。君は君に負け、アトに負け、運命に負ける。意思を強く持て、仲間を、自分を信じろ。私は信じなくてもいい。ただ、君の今の仲間たちは君を裏切らない。絶対に。裏切るとしたら君の方だ。
心配しなくても、その時は必ずやってくる。だから。必ず。その時に運命に打ち勝て。
私たちに負けることもなく、勝つこともなく、勝敗という概念から独立した一つの終着点へと君がたどり着かんことを祈っているよ。
手紙はこれで終わっている。
「・・・ふざけるなよ、お前に、お前に何がわかるというんだよっ!」
「どうだった、手紙の内容は。」
「読まなければよかった。あいつは、絶対に許さない、俺がこの手で。」
「・・・あまり、無茶しないでね。」
「この件は、あなたとは関係ありません。ですから・・・」
「いいのよ、これは私が決めたこと、都合もよかったからね。ただ、実行には時間がかかりそうだけれども。」
「ありがとう、ございます。」
「気にしないで、ほら、もう寝なさい、徹夜はよくないわよ。」
「それは、あなたも一緒で・・・」
「あなたの苦しむ顔は見たくないのよ。」
「・・・っ、おやすみなさい。」
「えぇ。おやすみ。」




