17話 本当の敵-➂
「というわけで、事後です。」
「事後ですってなんだよそれ。」
ここにいるのは俺とキルト、スイアと情徒、与李とソウ、そして、あとは回復した付和である。後はそれなりな人数(計132名)の 王国対災害軍略してOTSの皆さんである。
「・・・OTS増えてない?」
「あんた、かなり前から私をだましてたわね。」
「あー何のことやら。」
さっきまでいなかったOTSの皆さんには事後処理を手伝ってもらっていた。
なんかよくわからないが、優秀なOTSが多いとこちらが苦戦するだろうとのことで戦力をあらかじめ減らしておいてくれていたらしい。方法はあんまりよいものではなさそうだったが。
兎にも角にも今は付和にいろいろなことを聞くのが最優先である。
「さて、王国対災害軍OTS団長付和さん。あなたはなぜこの小屋を狙ったんですか?」
「えぇ、それなら、反逆者の処刑というのが目的ですが・・・あくまでもこの国ではなく、女王様・・・ナノ様に対する反逆者の処刑です。が、どうやら、何者か、いや、ナノ様にでしょうね、思考誘導されていたみたいですね。ご迷惑をおかけしてしまい。すみません。」
あ、この付和とかいう人どこぞの与李と違ってこういう時でも全然口調が変わらないや、たぶん与李は仕事と日常で口調が違うんだろうけど、それを焦ってさっきも仕事中なのに出してしまっていたのだろう。それに対して付和は常に仕事口調である。確かに今日常の口調でしゃべられても困るんだけどさ。
というか、思考誘導か、あの大剣を通じて操られていた。という解釈でいいのかな?
「なるほどね。本来の君ならば、彼女は反逆者とはみなさない、と?」
「そうなりますね。特に今回の標的となったアト様は私が即刻処刑などできない存在ですからね。今回はナノ様に命じられていたため例外ですが。」
「要するに、今の君にはアトを殺す理由がないということだね。」
「その通りです。」
「だそうだよ、出てきたらどうだい。アト様。」
すると、小屋のドアが開き・・・少女が出てくる。6歳くらいだろう。本当に幼い。
「あ、あのぉ、付和さん、大丈夫でしたか?キルトさんも、すみません。」
ぺこりと頭を下げてくる。かわいい。
「こちらこそ、本当にごめんなさい。あなたには何の罪もないのに、こうやって反逆者に仕立て上げてしまって。」
「いえ、反逆者なのは事実ですから。ナノ姉様に対する、ですが。」
「それよりもアト様?もう一方小屋の中にいませんでしたか?」
「ソウ、それはあまり聞かない方が・・・」
「いませんよ。ずーーーと私一人でしたよ。」
俺でもわかるが、それは嘘だ、彼女は見た目が幼い。そしてハンドレッドみたいな存在がまとうような気配も感じられない。本当に幼い子供としか思えない。よって、OTSのような軍隊から一人で逃げ切るのは不可能である。と考えられる。第一、反逆者が2名だという情報がOTSには入っていたはずで。
「・・・」
「何ですか、ソウさん。」
「いや、なんでもない。ただ、あいつはいつも通り高みの見物か、と思ってね。」
「ソウ、『あいつ』だなんて、やめなさい。」
「はいはい。」
何か釈然としないが、今はたぶんその話をしている場合ではないのだろう。今必要なのは・・・
「キルトさん、この依頼のいろいろな事実って何ですか。」
こういう時は単刀直入に聞いてみるに限る。
「今回の依頼内容は小屋を守るわけじゃなくて彼女・・・アト様の護衛、というよりも警護か、を目的としていたのはもうわかっているよね。」
「そして、その依頼者はアト様と同時に行動していたもう一人の人物ってことかな?」
「正解だよ。まぁ、誰かというのは君たち3人には言えないんだけどね。」
「それで、アト様を警護したかった理由はなんとなくわかるんだけど、分かんないのはアト様がどのような罪で・・・いや、反逆罪なんだけど、どういうことをして反逆罪となっているかなんだよね。」
「え、知らないの?逆に?」
「まさか、スイア知ってたの!?ということは情徒も・・・」
「最近は有名だろ、女王様への反逆罪で処刑される人が毎日のようにいるじゃん。それで、アト様が指名手配なのは知らなかったの?」
「知らんな。」
「セブンのやつ・・・なんでこういろいろ教えてないのかな。」
「セブン・・・それ、人名ですか?」
「あ、あぁ今は安全だから大丈夫。」
「そう、情報提供してくれると嬉しいのだけれども。」
「今は無理かなー」
「では、可能な時にでよいので情報提供お願いします。」
「ん?セブンってなんか指名手配にでもされてるの?」
「いえ、そういうわけではないのですが・・・簡単に言ってしまえば監視対象ですね。私たちの。」
「監視に成功してるの数えるほどしかいないくせによく言うよね。」
「キルトさん、ぶん殴りますよ。」
「おぉ、怖い怖い。」
「付和姉、そんなこと言っちゃだめですよ。今はあくまでも仕事中でしょう。」
お前が言うかよ、それ。
ともかく、いったん話を戻そう。
「そのぉ、アト様はどのようなことをしたのかを教えていただきたいんですけれども。」
「お姉ちゃ・・・ナノ様の殺害を目論んだのですが、失敗してこのざまです。」
「そして、OTSとしては女王の命令には逆らえないからアト様を追っていた。というわけです。また、私自身はナノ様に反逆したのですが、返り討ちにされて、この大剣を持たされ、後は、まあ、察してくださるとうれしいです。」
「要するに、今回の件はすべてその女王様・・・ナノ様かのせいってことですか。」
「情徒さん、正解です。なので、あなたたちにギルドを通じて依頼を頼みたい。と思います。」
「えぇ、また依頼?少しは休ませてよぉ。」
「スイアさん、安心してください。すぐに依頼を実行していただくわけではないので、その間ゆっくりと休んでいただけると思いますよ。」
「で、その依頼内容って何だい?ものによってはギルドを通さずに直接彼らに依頼してほしいのだが。」
「じゃあ、そうしましょう。お三方には私たちとともにナノ様を倒してほしいのです。」
「なるほど、政治的になるから、ギルドは介入できない。ということか。」
「いいんじゃない。最近、やけに税の支払いも大きくなってきてたし。ちょうどいいわよ。私たちで倒しに行きましょ。」
「でも、俺たち3人で女王を倒せるか?ましてや女王なんて王宮かなんかにいるんだろうし、警備体制もばっちりだろう。そんなところに行くだなんて自殺しに行くようなものじゃないか。」
「そこは・・・仕方がない、ギルドが少し支援を、というよりかは自分の知り合いを紹介してその人たちにも女王討伐作戦に参加してもらおう。」
「ギルドとして、それは大丈夫なんでしょうか。」
「大丈夫、とはいいがたいけど、俺個人で進めることだから、まぁ、何とかなるさ。」
「では、ナノ様を倒すために、こちらもいろいろと準備しなければなりません。1週間後とかでどうでしょう。その時にどこかに集まってナノ様を倒しに行きましょう。」
「じゃあ、集まる場所は・・・城下町に、俺の行きつけの・・・食べ物屋さんがあるから、そこでどうかな。」
「食べ物屋さんって具体的に何屋さんだよ。」
「コーヒーとか酒とかオムライスとかパフェとか出してくれるお店。」
「レストランだろ、それ。」
「それがちょっと違うんだよね。なんというか、うん、認識は飲み屋とバーとレストランのはざまだと思っていればいいよ。」
「では、そこのお店で会いましょう。あ、店の名前を教えてもらっても?」
「店の名前か、ないんだよね。名前が、ただ、店主は『バテン』という人だね。」
「『バテン』ですって?そのお店なら知っていますよ。あそこ、私もよくいきますから。」
「じゃあ、そういうことで、それまでは各々ゆっくり休むとしますか。」
本当の敵はナノと呼ばれる王女であると判明した今自分の頭は混乱している。しかし、転生したからにはこのくらい乗り越えていかなければ。
という思いを胸に、物語は進んでいく。
『スイア』
個体名:スイア
攻撃:1612
防御:1488
速度:1568
HP:632
MP:657
SP:669
その他
『痛覚軽減8』『基本三属性耐性6』『基本三属性強化7』『物理属性耐性9』『空間属性耐性3』『通常属性耐性4』『通常属性強化3』等
能力
『化学式 H2O』
水(H2O)を作り出し、操る能力。
状態変化可能。
自身の体を水へと変化させることが可能。
操作可能範囲は彼女の認識可能な範囲全体。
Aランク冒険者であり、非常に強力な能力を持つ。
基本ステータスは低めではあるが、ステータスに反映されない技術面や能力面でほかのAランク冒険者と同じレベルにまで達している。
かつて、大災害時にギルドから一度だけ城下町に情徒とともに派遣されており、一部では名が知れ渡っている。
本人たちは自覚がないが、Sランクまであと少しである。




